日下部保雄の悠悠閑閑

EXPO2025

大屋根リングを背にしたEXPO 2025のフォトスポット

 とりあえず本屋でガイドブックを購入することから始まった大阪万博。まだ6月の初めで、暑い夏が来る前に行こうと6月末の日程だけは決めていた。

 デジタル音痴なので苦戦するとは思っていたが案の定、IDを取得し、日程を予約するまでなかなかアクセスできず、あきらめモードに入ったころやっと到達。

 電車の路線図を見て決めた天王寺のビジネスホテルから夢洲の会場まではJR大阪環状線と大阪メトロ中央線に乗ることになるが、EXPOの人気から山手線並みの大混雑を予想していたのに拍子抜け。しかも乗換駅も間違いないようにEXPOの表示があってスムーズに移動できる。

 会場は広い。セキュリティチェックまで長い列ができていたが、初日は夜間券で入ったので混乱もなくミャクミャクに迎えられて入場。と言っても大屋根リングまではかなりある。

大阪メトロ中央線で、終点駅の夢洲が会場。メトロは広いし快適だった。ここからは東ゲートに入ることができる。人の波には驚かなくなった
発表当初は変なの、と思っていたミャクミャク。見慣れると愛着が湧いてくる。高いなと思いながらも土産物屋で買ってきた

 早くやってきた真夏に閉口しながらパビリオンを偵察。残念ながら前評判の高いパビリオンは入場予約が必要。抽選に落ちたわれわれには権利がない。

 それでも空いているパビリオンで見る外国の景色や文化は知らないことばかりだ。1つ1つのブースはとてもコンパクトで展示も限られているが、その国の「らしさ」や産業をアピールするために使われているところが多い。大陸ごとに相通じる文化圏を形成しているのがよく分かる。

 やっと日が落ちたころ、大屋根リングに上がる。海風が涼しくTシャツだけでは肌寒く感じるほどだ。1周2kmある回廊から見るパビリオンは1つの町のようで独特の光を放っている。ぼんやり眺めながら万博らしさを感じるのもいい時間で実は今回のハイライトだった。

夜の大屋根リングは海風があって涼しいほど。人並みも落ち着いてきてホッとできる場所でもある

 翌日はのんびり行くことにしたのが失敗。セキュリティゲートにたどり着くまで1時間。列の後端に置いてある日傘を借りてしのいだが、ちょっとくじけそうになった。

 会場内には水の補給ポイントが至るところにあって、水分を取れるのはありがたい。想像のとおり人工の町はなんでも高いのである。

 結局AからDまであるコモンズと呼ばれるドームを中心に見学することにしたが、国によっては珍しいアルコール類も並んでいる。販売しているのかも分からなかったがちょっと心惹かれる。

パラオ共和国はミクロネシアにある500以上からなる群島。第二次世界大戦前は日本が統治していて、その時代の地図が展示されていた。マリンレジャーなど観光資源も豊富だ
全く知らなかった国も沢山ある。ベリーズもその1つで、中南米にあった。表示看板は親切だ
こちらも全く知らなかったボリビアワイン。気になる

 ウクライナからの出展は地味だが強い意志を感じさせるものだった。多くの人が小さなブースに並んでいるのはみんなこの国の行く末に強い関心を持っているのだ。

戦争状態にあるウクライナはヘビー級ボクシングのチャンピオンのサインが入った電力会社のヘルメットの展示。ダウンしても何度も立ちあがる不屈の精神を象徴している

 暑くて食欲もなかったが、地中海に浮かぶマルタ共和国の屋台で買ったサンドイッチとか、アフリカと思しきカレーみたいなモノとか……。初めて食べたものばかりなのも万博の楽しみ。

アフリカンフード。バオバブと呼んでたような……星の王子さま? マフェはカレーに似ているけど全く辛くない。ハイビスカスのお茶といただきました

 結局、壮大(?)な計画を立てた2泊3日のEXPO 2025プライベートツアーは、見たいところには行けなかったという予想どおりの展開になった。再来場希望者が多いと聞いたが確かにまた行きたいと思うのが万博だ。今度はうまくやれそうな気がする……。

天王寺駅を降りたら「あべのハルカス」があった。大きな商業施設があってこちらも面白そうだったけど今回はパス
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。