日下部保雄の悠悠閑閑

ディーゼルとBEVとPHEV

新潟の長岡へのロングドライブ。ディーゼルとBEVとPHEVと、パワートレーンの異なる3台のクルマがそろった

 あるとうれしいミニバン。わが家でも初代エスティマから5台のエスティマを乗り継ぎ、子供たちが巣立ってからもスタッフや荷物の運搬に重宝した。エスティマの思い出は枚挙に暇がないが今回はトヨタ・アルファードPHEVだ。

 アルファードは今や日本のプレステージカーの代名詞になったが、威風堂々とした外装や高級車らしい内装、それにゆったりとした乗り心地とバランスのよい安定感など、Lクラスミニバンとしての高い資質がある。2.5リッター4気筒のガソリンとハイブリッドのパワートレーンをラインアップし、ベーシックなXグレードのハイブリッドで510万円から、Zグレードのガソリンで555万円から、人気のExecutive Loungeは860万円から用意される。

 今回試乗したのはExecutive Lounge PHEV。車両本体価格は1065万円からの高級車だ。

 子供たち家族で向かった新潟・長岡への旅。上里SAに集まったのはディーゼルとPHEVとBEVの3種類のパワートレーン。ディーゼルは2.3リッターターボの三菱自動車・デリカD:5。PHEVはアルファード、そしてBEVはジープ・アベンジャーだ。

 次男のクルマはデリカD:5になった。2007年に最初のモデルが登場して以来、18年の歳月が経っているが、今も人気のヒット作である。5ナンバーサイズが当たり前だった発表当時は、デリカはほかのミニバンより少し幅広で全長の短いデザインが個性的だった。頑丈な環状構造のボディと真四角のデザインはラフロードによく似合い、特に現在は4WDとディーゼルの組み合わせのみでなおさらだ。都会でもマッドフラップをたなびかせて走る姿をよく見かける。

 3列シートを使うとラゲッジスペースが限られてしまうのが難点だが、その代わりに3列目シートは2列目と同じシートで足下も広い。デリカD:5はルーフキャリアを付けているケースが多い。ディーゼルのガラガラ音は近くにいるとすぐに分かるが、8速ATとの組み合わせで高速燃費のよさも気に入っているようだ。

 アベンジャーは同じステランティスグループのフィアット・600eとも共用しているプラットフォームで、FFのBEV。長男がクルマ選びに迷った末に選んだアベンジャーは爽やかなブルー。コンパクトでもジープらしい精悍なデザインも気に入ったようだ。バッテリは54kWhで航続距離はWLTCモードで486km。実際には空調も使うので400kmぐらいで考えるとちょうどよいらしい。SAや道の駅でちょこちょこ充電していたが休憩も取れてバランスのよい旅になった。3連休の中でも充電設備は結構空いていた。

 アベンジャーとともにアルファードPHEVも充電させてもらった。アルファードのバッテリは18.1kWhで急速充電を使うとすぐに満充電になる。

ジープ・アベンジャーとともに長岡市の道の駅で充電した。18.1kWhのバッテリで、急速ではすぐに満充電になる

 アルファードPHEVは高速道路でも電気を巧みに使いガソリン燃費も意外なほど伸びた。

 今回のロングドライブではバッテリはスタート時に満充電、帰路も長岡で満充電にしただけだったのでEV走行の距離はそれほど長くなかったはずだが、47L燃料タンク(PHEVのみ)でも往復約600kmを無給油で走破できた。大人4人+幼児1人でエアコン全開だから約2.5tのミニバンとして約14km/Lの燃費は優れモノだ。

 PHEVの魅力は特に市街地や郊外路での静かで振動のない乗り心地。後車軸の上にある3列目シートは少し突き上げとロードノイズがあるが、Lクラスミニバンならではの快適さはアルファードの独壇場だ。

アルファードのラゲッジルームから長いキャビンを眺めてみた。左側をたたんでいるのは荷物を積むためです。分厚いシートでスペースは限られます
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。