日下部保雄の悠悠閑閑
夏の終わりを告げるお祭り
2025年9月22日 00:00
秋の気配を感じる頃になると、神社からは御神楽が聞こえてくる。今年はとても秋とは言えない毎日の酷暑で神輿からも湯気が出そうだ。祭りは負けない熱気がある。
奥沢神社は疫病退散の大蛇祭りだ。藁で作った大蛇が町中を練り歩くのが奥沢の祭り。土曜日は子供神輿が家の前を通る。威勢のいいかけ声に続いて、ウチの孫もトコトコついていく。帰りには大きなお菓子袋をもらってご機嫌だ。そして雨乞いの神様でもあるのか、いつも期間中に1日は雨が降る。酷暑が続く今年もやっぱりパラパラと雨がきた。最近の東京を襲った集中豪雨を連想して恐怖さえ覚えるが、幸い夜店も店じまいすることなく、にぎやかな神社の祭りが続く。
祭りの最終日、日曜日には町内会から6基の神輿が集まって迫力の掛け声とともに自由通りを練り歩く。担ぎ手は人の熱気と折からの暑さで汗びっしょり。時折、散水機で水をかけられ、汗だか水だかわからなくなっていたが、祭りの熱気はそれを上まわる。神輿を追いかけながら横で見ているだけで、こちらも気分が高揚してくるのが祭りだ。
外国の人もカメラを向ける。祭り独特のオーラを楽しんでいるようだ。
比較的交通量もある自由通りも神輿のために1時間以上も通行止めになる。年に一度のことなので自動車も仕方ないなぁと迂回していく。日が沈んでからは「かわいい、かわいい」の掛け声とともに女子神輿も出て、今年のお祭りはお開きになる。
翌日はいつもの静かな町に戻りあの熱気はきれいに払拭されてしまった。神輿が通った道は暑さだけが残った。
ハレの日の風景を書き連ねたのは、ラリーの恩人、タスカエンジニアリングの石黒邦夫さんのことを記しておこうとPCを開いたのに、いろいろな思いが流れて書き進められなかったから。「やすー」とか「やっさん」と呼ぶ声が蘇る。突然の訃報に心の柱が折れてしまったようだ。
タスカとラリーについて触れるのはもう少し時間がかかる。会えるときに会わないと後悔すると今日ほど思ったことはない。その日は強い雨が降った。




