日下部保雄の悠悠閑閑

ロードスター三昧とPEC

午後6時、3時間耐久のメデ耐は日が暮れて暗闇に包まれた中でフィニッシュした。皆さんお疲れさまでした

 メディア耐久(メデ耐と言われている)は初めての富士スピードウェイ開催、しかもウェットの中で一度もセーフティカーが出ることもなく決勝は無事終了した。我がチームは、ファーストドライバーの小林編集長が特訓の成果を活かしてバトンを自分につないでくれたが、リズムに乗れないまま不甲斐ない結果でパートを終えた。注目は後を継いだ瀬川彰斗さん。実車での初のウェットレースにもかかわらず、速くて燃費の良い走りはビックリ! レースは12位で結果的に自分が足を引っ張ってしまった格好でナサケナイ。

 翌日はマツダファン・エンデュランス(マツ耐)の2時間半レース。こちらはナイトスポーツからエントリーで中村社長とメカニックのセン君、永井歩夢さんと自分。今年の活動の集大成。こちらはウェットからドライになり気持ちよく走れた。予選を担当した永井さんがクラス5番手のタイムを出して決勝をスタート。セン君も中村さんも初めての富士で難しい燃費走行をこなして最後は自分の番。アレ、燃料がバク余り。燃費計算では燃料がなくなっているはず?? おかげで気持ちよくエンジンを回し、後半は同じく燃料が余ったNDと大人のバトルができました。結果は完走だけだったけど、チームに一体感が出たのが嬉しい。こちらは来年のプログラムもスタートしたところ。2日間の濃密なNDとのレース生活だった。

ドライとなった翌日のマツ耐は2時間半の耐久レース。スタートドライバーは永井さん。右はセン君。頑張り屋さんで限られた時間の中でみるみる腕を上げた

 さて、同じ走りの場所でもポルシェ・エクスペリエンス・センター(PEC)はちょっと趣が違う。ミニミニ・ニュルブルクリンクのような1周約2km強のコースをメインに、スリッパリーハンドリング路、スキッドパッド、スラローム路、スライド路面などが整えられており、PECが用意する最新のポルシェでドライブできる。インストラクターが同乗してくれるので安全に走れる。

木更津の山の地形を巧みに活かしたポルシェ・エクスペリエンス・センター。略してPECと呼ばれる。ドライビングプログラムはふるさと納税の返礼品としてもラインアップされている

 スライド路面はリアタイヤがスライド板に乗った時に板が横にずれる。反射神経を試されるコースで、一発目は見事にスピン。初速が40km/hを超えると修正舵が遅れそうになる。スライドコースだけでなくどのコースもよくできている。

 ここで乗ったのは911 カレラ GTS T-Hybrid。2輪駆動と4輪駆動のハンドルを握った。新しい3.6リッターフラット6に高電圧コンポーネントを搭載したハイブリッド。ターボは電動排気ターボでタイムラグがなく、PDKも電動モーターを使って隙間のない加速力を出す。バッテリはコンパクトな400Vのリチウムイオン。

 構成要素はシンプルだが緻密な制御はいかにもポルシェらしい。長年にわたる911の技術にこれ以上何をするのかと思っていたが、ポルシェらしく内燃機関を残していこうとする執念に感動すら覚える。T-Hybridはまさに滑らかでパワフルだ。

 伝統のRRも素晴らしいのはもちろん、コントロール性に優れ安定性の高い4輪駆動はよりイージーに911をドライブできる。

 ホスピタリティはもちろんシミュレーターまで整ったPEC。最新のポルシェが堪能できる美しい場所だった。

PECでこの日付き合ってくれた911 カレラ GTS T-Hybridとともに。バラエティに富むコースで楽しめる
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。