日下部保雄の悠悠閑閑
カヤバの新サステナルブオイル
2025年10月20日 00:00
油圧機器大手のカヤバが開発してきた技術に環境作動油がある。油圧機器には量の大小はあるが、作動油が使われている。自動車で言えばショックアブソーバーに使われている作動油が代表的なものだ。作動油はほとんどが石油由来で乗用車1台に使われる量はわずかなものだが、年間に廃棄される車両の数を考えると相当量のオイルが分解されないまま処分されている。
長年カヤバが研究開発してきたサステナルブオイルは再生可能な生成オイルでリサイクルできる作動油だ。
もう1つの特徴は、摩擦に着目した技術。この環境作動油は新しいオイルに加えられた添加剤で摩擦をよりコントロールしやすくなった。
走行中のクルマの車体は細かく振動しているが、これを拡大してみるとショックアブソーバーで吸収しているのが分かる。が、ショックアブソーバーの中ではさらに微細な上下動を繰り返している。これまで解析できなかった部分もサステナルブオイルでは反応できるという。
減衰力はこれまでどおりショックアブソーバーの構造やバルブによって決められるので減衰力特性は変わらないが、摩擦の低減によってカーブに現れない細かい上下動の制御の可能性ができた。
具体的には路面の細かい凹凸に応じてショックアブソーバーがより正確に反応することで乗り味が変わってくる。
試乗は2台のヤリスHVで、標準装着されたショックアブソーバーと、オイルだけをサステナルブに入れ替えたクルマを乗り比べた。タイヤも横浜ゴムのブルーアースに統一され、凹凸路と適度に荒れた公道で比較した。標準装着になっているカヤバのプロスムースもしっかりとした乗り味で改めてヤリスを見直した。バランスに優れていてさすが量産車だ。
一方、サステナルブは特に舗装の荒れた路面での効果が大きく、後ろからの突き上げ感が減少してフラットな乗り味だった。サステナルブのレスポンスのシャープさが際立ち、バルブの作動領域に至る前にオイル自体が反応するようだ。またタイヤが発する周波数と合うのか、高周波のロードノイズも変わった印象だ。
なかなかポテンシャルの高い作動油だが、一気に量産化するには設備などを入れ替える必要があり、現在基礎研究を経て量産化を目指している段階と聞く。
モータースポーツでは全日本ラリーでカヤバラリーチームを筆頭に有力チームもテストしており、タイムが短縮した実績もあるという。過酷な海外のクロスカントリーラリーでもJAOSチームに使われており耐久性に問題はないだけでなく、作動油は再使用されているという。ショックアブソーバーのオーバーホール時にはこの分野での使用も期待される。




