日下部保雄の悠悠閑閑
夏の筑波サーキット
2026年9月21日 00:00
ロータリーエンジン車をはじめ、マツダ車のチューニングやカスタマイズを得意とするショップ「ナイトスポーツ」が参加している耐久レースのマツダファン・エンデュランス、通称「マツ耐」は第4戦を迎え、舞台は筑波サーキットとなった。
夏(レースは8月29日)の筑波は厳しい。1周約2kmのコースに大雑把に数えて9つのコーナーがあり、レーシングスーツを着て暑い車内で頻繁にシフトとステアリング操作を繰り返しながら、ロングランをするのは過酷だ。
スリックタイヤでパワーステアリングのない時代は、グローブに穴が空くのがいつものことで、自分のパートが終わるとコクピットから降りるのが精一杯だったこともある。
それに比べるとパワーステアリングが常識で、マツ耐のようなノーマルタイヤならかなり体力の消耗を抑えられる。
しかもマツ耐では暑いときは窓を閉め切ってエアコンを使用することが義務付けられている。燃費レースとはいえ、マツダらしく人間優先なのはありがたい。もっとも今回はウェットで気温も上がらなかったため、このルールは解除されたのだが。
ナイトスポーツは創業者の釜塚誠さんがレースをやりたくて立ち上げたスポーツカーのガレージだ。早逝した釜塚さんの遺志は、今も受け継がれている。
最近の活動は、みんなが楽しめるマツ耐だ。中村社長をはじめ、社員ドライバーのセン君、予選担当の永井歩夢選手、そして僕の4人にピットを守る村岡君を加え、ドタバタやりながらNDを仕上げている。
前戦のもてぎからは、ナイトスポーツの領域を広げられるTunedクラスに参加している。とはいえ、改造範囲はナンバー付きであることが求められ、エンジンはRF用の2.0リッターをそのまま搭載。サスペンションはスプリングとショックアブソーバーを変更している程度だ。街乗りが前提なので、大きく手を入れることはない。事実、サーキットまでいつも自走し、そのままレースに出ている。
前回から違っているのは、ノンスリップデフのチューニングだ。市販のクラッチタイプだが、現状のNDのサスセットではLSDの効きが唐突だったので、より穏やかにした仕様にしている。
サスペンションはかなりまとまってきたところで、新しいショックアブソーバーもトライした。こちらはもう少しやりたいことが見つかったので、次回に持ち越すことにした。
当日はウェット。今年は雨が多く、筑波もシトシトとした雨に見舞われた。
永井選手に「雨の筑波、走ったことある?」と聞くと、「ないです」との返事。
「じゃ、ドライの筑波は?」
「ないです!」
キッパリ!!
「なるほど。じゃあ、練習がてら予選を走ってみましょうか……」
「ハイ!」
こういうところが頼もしい。雨のコースを少し走ってもらい、まずはコースを覚えてもらう。無難に戻ってきた。初めてにしては上々だ。
タイヤはいつもの横浜ゴムのADVAN A052。ウェットからドライまで使えるオールマイティなスポーツタイヤだ。今日は終日雨の予報なので、空気圧をかなり高めにしてスタートした。DSCは旧タイプで、作動すると減速してしまうが、入れたままできるだけ作動させないように走ってもらう。
2時間半のレースは、永井選手、セン君、日下部、中村社長の順で走り、最後は中村さんにチェッカーを受けてもらう予定だ。
ところが、レースが始まるとウェットの筑波は至るところでスピンやコースアウトが発生し、スタックする車両も出る。そのたびにセーフティカーが導入され、レース中、なんと5回もSCが出た。初めての経験だ。
最後を託した中村さんを送り出して数分。最終コーナーの立ち上がりでスピンした車両に後続車が激突するクラッシュが起き、赤旗中断で波乱に満ちたレースは終了となった。
自分も淡々と走っていたが、猛烈な勢いで迫ってきたのが、旧知の加藤君、通称「デカトー」の60号車だ。クルマの中で忙しく暴れているのが分かる。すぐにストレート1本分、離されてしまった。久しぶりに同じコースを走り、その健在ぶりが嬉しく刺激になった。
結果として、ウェット路面に合わせたセットアップができなかったのは残念だったが、それでもチーム全員がスピンも接触もなく、トラブルなしにペースを維持できた。特にレース2年目のセン君が、乾き始めた路面に応じてペースをコントロールできたのは大きな進歩だった。
いろいろなことにトライしながら、みんなでレースを続けられるのはありがたいことだ。
マツ耐は11月28日の岡山が最終戦。自走するのかな??





