日下部保雄の悠悠閑閑

今年の10ベスト

カー・オブ・ザ・イヤーも1年に1回のクルマのお祭り。神輿の上に乗るのはどのクルマ?

 2026年も「カー・オブ・ザ・イヤー」、今年のクルマを選ぶ季節がやってきた。今年のノミネート車は国内メーカーとインポーターからエントリーされた33台。この中から各選考委員が10台を選び、「10ベストカー」として推薦する。

 COTYに対するメーカーやインポーターの取り組み方はそれぞれ異なる。しかし60名(今年は59名)の選考委員がそれぞれの視点と考え方で選ぶイヤーカーは、その年の自動車業界を象徴するクルマが選ばれていると思う。

 ちなみに、2025-2026年のイヤーカーはスバル・フォレスター。ホンダ・プレリュードとの激しい争いを制して栄冠を手にした。その前年はホンダ・フリードが受賞している。派手さこそないが、優れたパッケージングと使い勝手を備えたコンパクトな3列シート車は、確かに完成度が高い。さらに今なお進化を続けるマツダ・ロードスター(ND型)は2015-2016年のイヤーカー。これもまた選ばれるべくして選ばれた1台だった。

2015-2016COTYに選ばれたND型ロードスターは、今年も新たにPSグレードを出して進化し続けている。販売も好調だ

 振り返って1980-1981年の第1回、マツダ・ファミリアから始まったCOTYの歴代のイヤーカーには、それぞれ時代を映す個性があり、今なお記憶に残るクルマばかりだ。

 さて、今年のイヤーカー候補となる10ベストカーは次の10台に決まった。

 国内メーカーからは、日産・エルグランドとキックス、トヨタ・RAV4、マツダ・CX-5、スズキ・e SKY、ホンダ・Super-ONE。インポーターからは、ボルボ・ES90、BYD・ラッコ、BMW・iX3、Kia・PV5が選ばれた。

 興味深いのは、10台のうち3台(軽自動車ベースとするSuper-ONEを含めると)の軽自動車が、すべてEVであることだ。ここにも日本の自動車が大きな転換点を迎えていることが表われている。

 10ベスト全体で見ても、ピュアEVが6台。残るクルマもシリーズハイブリッド、マイルドハイブリッド、ストロングハイブリッドやPHEVと、何らかの形で電気の力を活用している。もはや電動化なしには世界各地で厳しさを増す燃費規制への対応も難しい時代になった。

 この10台が11月18日の試乗会を経て、12月3日にいよいよ開票される。各選考委員の持ち点は101点。これを10台すべてに配点する。ただし、自由に振り分けるわけではない。上位から25、18、15、12、10、8、6、4、2、1点という配点方式だ。

 どこかで見たことがあると思った方もいるだろう。そのとおり! F1のポイントシステムと同じ考え方である。もちろん、F1も長い歴史の中で配点方法は何度も変更され、紆余曲折を経て現在の形に落ち着いている。

 さて、今年のチャンピオン、いや、イヤーカーの栄冠はどのクルマに輝くのだろうか。

ホンダが突然F1に参加したのは1964年のRA27から。日本中が興奮した。1966年、1.5リッターF1の最終戦 メキシコGPで優勝を飾ったのは、その改良型となるRA272だった。この時代のドライバーズポイントは上位6台が9、6、4、3、2、1とシンプルだった

 クルマ好きにとっては、年末のお祭りのようなイベントでもある。しかし、その1票には1台のクルマの評価だけでなく、自動車の方向性を見る意味もある。お祭りを楽しみながらも、選考委員の1人として、その責任の重さを感じている。

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。