編集後記(2011年12月28日)

(休暇中)

小林 隆


 悲しいことが多かった2011年だが、クルマの未来についてとてもエキサイティングな発表が多い年でもあったようにも思う。そんな中で今年もっとも印象に残った記者会見は、帝人とGMによる量産車用CFRPボディーの共同開発だった。米国からのTV会見で、参加した記者の数も少ないという地味な会見だったが、CFRPを採用することで部品点数を減らし、クルマの価格が下がる(かも)というビジョンは大いにショッキングだった。

 そうやって作られたクルマはきっと、1/1のプラモデルのようになるのではないか。これに電動パワートレーンが載っかれば、まさにモーターライズドのプラモデル。金属で作られた複雑な機械というのがクルマの1つの魅力だったが、そうした趣味性が排除されたクルマが、クルマとしての魅力をどう維持していくのかが興味深い。

 というわけで今年もご愛読ありがとうございました。2012年もよろしくお願いします。

田中真一郎


  2011年でインパクトのあったクルマはFRスポーツカーの「86(ハチロク)」と「BRZ」。とくに86は、そのネーミングからして、いろいろな意味での割り切りを感じる。数字だけの名前のクルマって、日本車では近年珍しいし、旧車の型式番号を車名にするとかは、それだけ魅力的なクルマがこれまでなかったのだろうかという疑問もわく。車名にとらわれずに、新しいスポーツカー像を構築してほしいなと思っている。

翼に特徴のあるF-86F。コーヒーのおまけについてきた、ブルーインパルス仕様
 ところで、ハチロクといえば人によって思い浮かぶものが違うのではないだろうか。クルマ好きなら「AE86」だろうし、SL好きなら今でも九州で元気に走っている「8620」だろう。かくいう自分はというと、小学校時代は「F-86F」。6-3ウイングの独特の大きさが格好よかったし、なによりブルーインパルス塗装が印象的だった。

 その後、86といえば「8086」。インテルの大ヒットCPUで、このプログラムに激しくはまった。とくにMS-DOSからのコントロールが楽ちんで、C7のインラインアセンブラから好きなことができた。自分の使っていたPCがPC-9801だったので、μPD7220Dとあわせていろいろ勉強になった。

 で、その次がAE86になるのだが、自分は4A-GEではなくCA16DEを搭載したクルマに乗っていたため、ビミョーにライバル関係。銀黒ヘッドvs.赤黒ヘッドは、どうひいき目に見ても4A-GEのほうがアフターパーツも多く、裾野の広がりをうらやましく思った。

 果たして、86とBRZの発売後にアフターパーツ市場がどれだけ盛り上がるかが楽しみだ。2012年は、これまで以上に、この2台の話題が多くなりそうな気がする。それでは、来年もよろしくお願いします。

谷川 潔