2013フランクフルトショー
ホンダ、欧州専用の「シビック・ツアラー」を世界初公開
「シビック・タイプR」の開発状況も発表
(2013/9/12 16:43)
本田技研工業の“スポーツ”が着々と蘇ってきている。フランクフルトメッセ9号館にあるホンダブースに向かうと、そこでは今年のデトロイトショーでお披露目された「NSXコンセプト(第2弾)」と、WTCC(世界ツーリングカー選手権)にフル参戦して1年目から優勝を含め表彰台を14回獲得している「シビックWTCC」、そして16戦15勝を記録した「マクラーレンMP/4/4ホンダ」がお出迎え。
プレスデー初日の13時30分から行われたプレスカンファレンスでは、イギリスのスウィンドン工場で生産される欧州向けシビックをベースにしたステーションワゴン「シビック・ツアラー」が世界初公開された。
ヨーロッパ、特に南欧でニーズの大きいと言われるCセグメントクラスのステーションワゴン市場に向けて開発されたモデルになる。欧州市場に的を絞ったモデルのため、開発責任者はホンダ初となる欧州人と言う。
欧州のデザインスタジオでデザインされたエクステリアは、フロントからリアドアまではハッチバックのシビックと共通(全幅と全高は同じ)、リアセクションはハッチバックに対し235mm延長された専用設計だ。ギュッと凝縮した感じのハッチバックモデルに対し、伸びやかに感じられるスタイルはステーションワゴンと言いながら、非常にスポーティでスタイリッシュだ。
スポーティなデザインのため、ラゲッジは……と思うかもしれないが、ステーションワゴンを上手に活用するヨーロッパ向けの商品だけあり、ラゲッジスペースは欧州C&Dセグメントトップクラスとなる624Lを実現している。そもそも、欧州シビックは「JAZZ(日本名:フィット)」譲りのセンタータンクレイアウトを採用するため、見た目以上にスペース効率が高い。それをベースにしていれば、この広さは当然のことだろう。
パワートレーンは、ガソリンの直列4気筒DOHC 1.8リッター(i-VTEC)と、ホンダ新世代ユニット「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」のディーゼルエンジンである直列4気筒DOHC 1.6リッターターボ(i-DTEC)の2種類をラインアップする。
フットワーク系は、先代タイプRを超えるシャシー剛性を持つ現行ハッチバックモデルを踏襲するが、今回新たに欧州向けモデルで初採用となる「アクティブダンパーシステム(コンフォート/ノーマル/ダイナミックの3モード)」を採用するなど、ステーションワゴンと言いながらも、走りの部分に抜かりはない。
ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドの取締役社長である西前学氏は、「現時点では欧州専売モデルですが、日本からのリクエストがあれば供給することは可能ですよ」と述べている。また、よりスポーツ性の高いグレード(タイプS)の追加に対しては、「リクエストがあれば今後検討していきたい」と語ってくれた。
また、今回は2015年に登場予定の「シビック・タイプR」の映像も公開された。開発車両のため偽装はされているものの、G・タルキーニ選手による、ニュルブルクリンクでの開発テスト風景などが公開された。
シビック・タイプRは280PS以上を発生するという2リッターターボエンジン+6速MTを搭載し、開発も順調に進んでいるようだ。現在、ニュルFF最速記録を持つルノー「メガーヌRS」の記録8分7秒97に対しても、「射程距離にきている」とのこと。
2年後の正式発売に向けて、さらなる開発・熟成が行われるだろうから、前人未到のニュル7分台……も期待できそうだ。