2013フランクフルトショー

インフィニティ、コンパクトサイズの「Q30コンセプト」

シャシーにベンツ「Aクラス」の新プラットフォームを採用した、ブランド初のFFモデル

日産自動車のデザインのキーマンである中村史郎氏は「凝った形状の造形は、市販モデルでも再現可能」と語る
2013年9月12日~22日(現地時間)

独フランクフルト Messe Frankfurt

プレスカンファレンスにはF1ドライバーのセバスチャン・ベッテル選手が登場。Q30の市販モデルのテストドライブを行う予定だとか

 2011年のジュネーブショーで発表されたコンセプトカー「エセレア」から約3年、噂されていたコンパクトサイズのインフィニティが登場した。

 「INFINITI Q30 Concept(インフィニティQ30コンセプト)」と名付けられたモデルは、インフィニティシリーズの末っ子モデルであると同時に、新世代のインフィニティモデルとしては初となる2WD(FF)駆動を採用しているのが特徴だ。パッと見ると、ショースペシャルの20インチタイヤを装着していることもあり、クロスオーバーSUVの「EX」の後継モデルのような雰囲気にも思えたのだが、インフィニティは「カテゴリーと言った古い価値観に縛られない、新ジャンルのモデル」とコメントしている。

 現在、インフィニティは次期スカイラインである「Q50」がボトムレンジのモデルであるが、サイズが大きく価格が高価であることもあり、Q30はより若く、新しいユーザーへの提案と言ってよいだろう。ちなみに、ボディーサイズは4460×1850×1440mm(全長×全幅×全高)と、欧州Cセグメントより若干大きめ。

 特徴的なグリルとヘッドライトなど、Q50からスタートした新しいデザインテーマを踏襲したエクステリアデザインは、ノーズも低くFFを感じさせないプロポーションに仕上がっている。また、サイドのキャラクターラインやCピラーなど非常に凝った形状になっているが、これらは市販モデルでも再現が可能と言う。

横置きエンジン搭載のFF駆動を採用するものの、まるでFRようなプロポーションに仕上がっている。シャシー関係は、メルセデス・ベンツと共通の新プラットフォームをベースに開発される

 ブラウンとホワイトでコーディネイトされた水平基調のインテリアは、質感や品質の高さはもちろんのこと、クラフトマンシップを感じさせるデザインに仕上がっている。そのまま市販化しても問題なさそうなクオリティだ。

 今回はデザインコンセプトということで、メカニズムなどの詳細は公表されなかったが、シャシーは資本提携関係にあるダイムラーと共用で、メルセデス・ベンツ「Aクラス」で使用している新プラットフォームをベースに開発されることが決定している。どのような乗り味に仕上がるのか非常に興味深い。パワートレーンはメルセデス製なのか? それとも日産独自なのか? 気になる点は多い。

 ちなみに、市販モデルの登場は2015年。英国のサンダーランド工場で生産が予定されている。新ジャンルと言いながらも、コンパクトプレミアムセグメントモデルに属するモデルとなるため、メルセデス「Aクラス」、BMW「1クラス」、レクサス「CT」あたりがライバルとなりそうだ。

 さらに、Aクラス/CLAクラスのような関係のセダンボディーの投入予定や、4WDモデルの設定など、Q30をベースにした派性モデルの登場も期待できそうだ。

インフィニティ初のコンパクトプレミアムモデルは、若い世代のユーザーの獲得を狙うモデルだ。フロントマスクやライトなどはQ50(次期スカイライン)のデザインテーマを踏襲
見る角度によってハッチバックやクロスオーバー、クーペにも見えるスタイリング。インフィニティは「従来のカテゴリーにとらわれない新ジャンルのモデル」と発表している

山本 晋也