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【日産360】際立ったキャラクター、未来志向のクルマづくりを目指す「インフィニティ」ブランド

今後5年間でモデル数を約6割増やすとともに、パワートレーン数を約2倍に

プレゼン会場内に展示されたインフィニティブランドのコンセプトモデル
2013年8月19日~開催

 日産自動車は、米カリフォルニア州においてグローバルイベント「日産360」を8月19日から開催している。本稿では、日産360の中で行われた「インフィニティ」ブランドのプレゼンテーションについて紹介する。プレゼンテーターはインフィニティ中国でゼネラルマネージャーを務める石川義人氏と、インフィニティ デザインダイレクター 入江慎一郎氏が務めた。

 インフィニティは、日産の傘下にあるプレミアムブランド。日本での展開は行われていないものの、セバスチャン・ベッテル/マーク・ウェバー選手を擁するレッドブル・レーシングチームのスポンサーを務めており、同チームとの技術交流を行っていることで知られる。プロダクションモデルでは、SUV「FX」をベースにした「ベッテル・エディション」をリリースしていることをご存知の方も多いだろう。

 そんなインフィニティが目指すのは、「ブランドで大切なのはエモーションであること。温かみがあってオープンで、かつ人間味のあるブランドとして表現したい」「目先の販売台数に捕われていては強力なブランドを築き上げることはできない。際立ったキャラクターとパーソナリティを持った未来志向のクルマを作りたい」と石川氏は述べるとともに、インフィニティブランドの今後の取り組みについて説明を行った。

インフィニティ中国でゼネラルマネージャーを務める石川義人氏
インフィニティ デザインダイレクター 入江慎一郎氏

 1989年に北米でラグジュアリーブランドとして始まったインフィニティは、2012年5月にインフィニティ モーター カンパニー(トップは元アウディ・ジャパン代表取締役社長のヨハン・デ・ナイシェン氏)を立ち上げ、それに伴い本社機能を横浜から香港に移した。インフィニティブランドに対し、こうした大規模の投資を行う理由は、プレミアムカーが世界の販売台数で占める割合が約12%にとどまるにも関わらず、「販売利益は50%に達する」(石川氏)ため。インフィニティ車は現時点で北米、中東、台湾、中国、欧州、中南米諸国など世界50カ国で販売を行っているが、さらに販売網を拡大し、より収益率を高めていく構えだ。

 その販売網の拡大に合わせ、インフィニティ車は現在生産を日本と米国で行っているが、これに中国と英国を加えた4個所に増やすとしており、「現地のお客様のニーズに応えるモデルを投入していく。例えば、中国ではQ50やQX50のロングホイールベース車を、英国ではプレミアムコンパクトカーを生産する。今後5年間でインフィニティのモデル数を約6割増やし、パワートレーン数を約2倍にする計画」と、インフィニティ車の販売・生産を精力的に拡大していくことを説明した。

インフィニティはレッドブル・レーシングチームのスポンサーを務めており、同チームとの技術交流を行っている
インフィニティ車は現時点で北米、中東、台湾、中国、欧州、中南米諸国など世界50カ国で販売を行っている
インフィニティブランドのモデルは現在、日本と米国で生産を行っているが、今後これに中国と英国を加えた4個所に増やす

 一方、インフィニティ車のデザインについては入江氏が解説を行った。

 入江氏によると、今後インフィニティブランドから登場するモデルは、高級スポーツクーペのコンセプトカー「エッセンス」、インフィニティブランドのエントリーコンセプト「エセレア」、ミッドシップのスポーツEV(電気自動車)コンセプトである「Emerg-E(エマージ)」で培ったデザイン要素を取り入れると言う。

高級スポーツクーペのコンセプトカー「エッセンス」
インフィニティブランドのエントリーコンセプト「エセレア」
ミッドシップのスポーツEV(電気自動車)コンセプト「Emerg-E(エマージ)」

 エッセンスについては“インフィニティの究極のスタイリング”を表現したとし、「インフィニティのデザインエッセンスをラグジュアリークーペのクラシックなプロポーションに収め、シャープエッジなショルダーラインと抑揚のあるボディーセクションのコントラストが魅惑的で創造的な形を作り上げている」と述べるとともに、「エセレアは前輪駆動のプロポーションを持ち、インフィニティの新しいターゲットカスタマーである“ヤング・プレミアム・カスタマー”の志向に合わせ、若々しくて、クリーンで、クールなテイストに仕立てた」。そしてツインモーター、リチウムイオンバッテリーパック、4つのインバーター、レンジエクステンダー付きの3気筒エンジンを搭載するエマージは、「力強く、ダイナミックで、ソリッドなボディーテーマで作られ、エッセンスの美意識を純粋に引き継ぐとともにさらに進化させ、F1のような軽いボディーパネルを意識してデザインした」と、入江氏はそれぞれのモデルのデザインの特長を解説。

 これら3台のコンセプトカーは、伝統的な日本のアーチ構造の石橋が水面に映る影からインスピレーションを受けた“ダブルアーチ”を採用するほか、ブランドの自信と力強さを表現したヘッドランプ、ダイナミックなルーフアーチ、前方に折れ曲がった三日月状のCピラーなどを採用してインフィニティブランドに共通性を持たせるとともに、独自の世界観を作り出していると言う。

 なお、フランクフルトショーで公開されたコンパクトサイズの「インフィニティQ30コンセプト」については、「彫刻のようなダイナミックさを持つとともに、さらにインフィニティとして進化させたプロポーションになっている。“ヤング・プレミアム・カスタマー”が望んでいる情熱に溢れ、魅惑的で、挑戦的なデザイン表現を十分に備えている。Q30コンセプトは、まさにインフィニティデザインの妥協なき挑戦、あくなき進化そのものを表現している」と紹介した。

伝統的な日本のアーチ構造の石橋が水面に映る影からインスピレーションを受けた“ダブルアーチ”デザイン
前方に折れ曲がった三日月状のCピラー
フランクフルトショーで公開されたコンパクトサイズの「インフィニティQ30コンセプト」

(編集部:小林 隆)