【2011ジュネーブショー
日産、EVスポーツカー「ESFLOW(エスフロー)」などを展示


EVスポーツカー「ESFLOW(エスフロー)」の前に立つ、日産自動車 COO 中村史郎氏(左)と、欧州日産セールス&マーケティング担当上級副社長サイモン・トーマス氏(右)

2011年3月1日~13日(現地時間)
スイス ジュネーブ
GENEVA PALEXPO



 日産は事前の発表どおり、電気自動車(EV)のスポーツカー「ESFLOW(エスフロー)」を公開した。

欧州日産セールス&マーケティング担当上級副社長サイモン・トーマス氏

 プレスカンファレンスは、欧州日産のセールス&マーケティング担当の上級副社長サイモン・トーマス氏の現状報告から始まった。昨年、日産は欧州で10種類のニューモデルを発表した。どれも好調な売れ行きを示していて、特にSUVモデルの販売は予想以上だという。好調なセールスを軸に、今後は欧州でトップの日本メーカーになるための歩みを続けていると語った。

 続いて、CCO(チーフクリエイティブオフィサー)の中村史郎氏がエスフローの解説を行なった。エスフローは、日産が強く推し進めるゼロエミッションビークルとスポーツカーを融合させたコンセプトモデル。リアアクスルに2基のモーターを搭載し、それぞれが左右輪を駆動する。バッテリーはリチウムイオン電池で、前後に配置することにより重量バランスを最適化している。使用するモーターとバッテリーは既存のものを使っているが、シャシーはEVスポーツカー用として新たに作られた。そのため、重量物の搭載位置などに自由度があり、車両の回転軸をドライバーのポジションと一致させている。クルマの挙動やフィーリングをドライバーが敏感に感じることができ、スポーツカーならではハンドリングが実現できているという。

エスフローの解説を行う日産自動車 COO 中村史郎氏ジュネーブで世界初公開されたエスフロー
エクステリアデザインは、クーペスタイル
2シーター構成を採る

 発表されたスペックによると、0-100km/hに加速は5秒以下、1回の充電で走行できる距離は240km以上となっている。国産メーカーでは、初のEV専用シャシーを持ったリーフを発売した日産。今後もゼロエミッションモビリティの実現を進め、それと同時に、車種バリエーションを増やしていく姿勢を強く打ち出していた。


昨年のパリショーで公開された電気自動車のコンセプトカー「Townpod(タウンポッド)」。創造的な個人起業家に向けて提案したEVコンセプトカー
欧州版の「リーフ」
欧州日産専用車の「PIXO(ピクソ)」。ベースはインドで生産されるスズキのAスター

インフィニティ
 日産ブースとは別に設けられたインフィニティブースでは、高級車ラインというこれまでのインフィニティブランドに囚われないハイブリッドコンセプトカー「ETHEREA(エセレア)」が公開された。

 欧州でのセダンのラインアップは「G37(スカイライン)」と「M37(フーガ)」だが、エセレアはこの2台よりもコンパクトなサイズとなり、全長は4400mm。ボディーサイズのコンパクト化により、これまでのターゲット層よりも若いユーザーを意識している。ボディーサイズがこのままで市販されれば、インフィニティ初のCセグメントとなる。

 エクステリアデザインは、クーペライクな5ドアハッチバック。2009年に発表されたインフィニティ「エッセンス」とCピラー以降は似たものとなっている。フロントまわりやサイドラインなどは、昨年のロサンゼルスショーで日産ブランドから発表された「エリュール」の面影がある。「日本の伝統的な美意識やクラフトマンシップをモダンに再構成して表現している」と言い、これはエリュールにも使われた表現。日産、インフィニティともに、今後のCセグメントクラスのデザインの方向性を伺うことができる。

 搭載されるエンジンは、4気筒の2.5リッターをスーパーチャージャーで過給する。電気モーターも組み合わされるので、動力性能はかなり期待できる。またEVモードでの走行も可能だというので、トランスミッションは、フーガハイブリッドに搭載されている1モーター2クラッチ方式になるのかもしれない。

インフィニティ「エセレア」
エセレアは観音開き、シートは独立4シーター

G37カブリオレ

ジュネーブショー 2011 レポートリンク集
http://car.watch.impress.co.jp/backno/event_repo/index_c270s1157.html

(真鍋裕行)
2011年 3月 7日