2011 SEMA SHOW
【ビッグ3編】フォードレーシング、シボレーともに100周年を記念した展示

クライスラーは「MOPAR」ブランドで展開

フォードレーシングの取締役EDSEL B.FORDII氏

会期:11月1日~4日(現地時間)
会場:LAS VEGAS CONVENTION CENTER



フォード
 フォードは、フォードレーシングが設立されてから今年で100年目を迎えるにあたり、ブースにはコンテナが並べられ、その上には1911年の第1回インディ500マイルに参戦したマシンやデイトナ500マイルのチャンピオンマシン、F1マシンなどが飾られた。

 プレスカンファレンスでは、フォード家の血筋を引くフォード・モーターカンパニーの取締役EDSEL B.FORDIIが、創業者である曽祖父ヘンリー・フォードとの思い出などを語る場面もあった。

ヘンリー・フォードと当時のフォードレーシングマシンフォードレーシングと契約しているジムカーナやラリー、ドラッグレースなどのドライバーが集結
デイトナ500のナスカーとF1マシンが並ぶ

 レースカー以外に展示されていた車両は、先のフランクフルト・モーターショーで初公開されたフォーカスSTや、最新のダウンサイジングエンジン「エコブースト」を始め、レースカーからピックアップトラック、マスタングなどのスポーツカーまで多数のモデルがそろっていた。

北米初公開となったフォーカスST。新世代エンジン「エコブースト」を搭載している。2リッター直噴ターボで、最高出力247hp、最大トルクは250lb-ft
ステアリングも専用のスポーツタイプ。トランスミッションは6速MTシートはホールド性の高いレカロシート
フォードレーシングのエンジニアが作り上げたレースカー「フォーカスST-R」。2012年からアメリカ国内のGrand-Am STシリーズやカナダ国内ツーリングカー選手権、ヨーロッパのツーリングカー選手権などにエントリーする
「フィエスタB-Spec」もフォードレーシングの手によって製作されたレースカー。1.6リッターエンジンに5速MTを組み合わせている。フォーカスよりも手ごろな価格でモータースポーツのエントリーユーザーをターゲットにする。ボディーにはロールケージを張り巡らして安全性を高めている
レースカーのほかにブースでメインとなっていたのが、フォードの新世代エンジン「エコブースト」。直噴技術やフリクションを減らしたエンジン内部パーツ、高効率のターボなどを用いていて、2クラス上のエンジン性能を小排気量で実現したと言う。直列4気筒1.6リッターエンジンはフィエスタSTに、直列4気筒2.0リッターエンジンはフォーカスSTに、V型6気筒3.5リッターエンジンはF150などの大型車に搭載される。V型6気筒をエンジン単体で公開するのは今回が初で、最高出力365hpとV型8気筒並みのパワーを引き出す
3.5リッターエコブーストエンジンを搭載したF150。最大トルクの9割となる420lb-ftを1700~5500rpmの間で発揮するトルクフルなエンジンだが、その一方でクラストップの省燃費性能も保持している

GM
 GMはシボレーブランドが創立されて今年で100周年ということで、同ブランドの車両を展示した。

 ブースのメインステージに飾られたのは、シボレーブランドの中枢となるカマロやコルベットではなく、新型コンパクトカーのソニックだった。ソニックは、同社のクルーズよりもひと回り小さいボディーを持ち、4ドアセダンと5ドアハッチバックのモデルがある。日本国内でも11月からハッチバックを導入すると発表されたばかりだ。

 ステージに飾られたソニックはセダン、ハッチバックを合わせて12台。レースカーや車高を落としたストリート仕様、リアハッチ内をオーディオで埋め尽くしたモデルなど、さまざまなアプローチでソニックをカスタマイズしている。

 プレスカンファレンスに登壇したシボレーのグローバルマーケッティング戦略副社長、クリス・ペリー氏は「シボレーブランドが誕生して100年の間に数百万台のクルマが生産されてきた。これまでのシボレーブランドの歴史を尊重しつつ、新たなブランディングにも意欲的に取り組んでいく」とのことで、これまでのシボレーのイメージとは異なるコンパクトカーのソニックを前面に押し出した展示となったのだろう。

ステージ中央に飾られるソニックプレスカンファレンスで登壇したグローバルマーケティング戦略副社長のクリス・ペリー氏
ソニックスーパー4レースコンセプト。直列4気筒1.4リッターターボエンジンは、最高出力138hpを発揮。トランスミッションは6速MT
ソニックZ-SPECハッチ2コンセプト。18インチのホイールとエアロパーツでスタイリッシュに仕上げている
ソニックDUSKコンセプト。日本には導入されない4ドアセダンのコンセプトカー
ニュルブルクリンクの北コースでGT-Rを凌ぐラップタイムを記録したコルベットZR1V8スーパーチャージャーが発揮する最高出力は638hpに達する
カマロZL1カーボンコンセプト。最高出力580hpを発揮するV8スーパーチャージャーを搭載し、ニュルブルクリンクでのラップタイムはコルベットに迫る7分41秒を記録する

クライスラー
 クライスラーは、純正のパフォーマンスパーツブランド「MOPAR」のパーツを装備したコンセプトカーやレースカーを披露。また、OHVの高出力エンジン「HEMI」を搭載したダッジブランドの旧車も展示していた。昨年に続き提携しているフィアットの500をカスタマイズしたモデルもブース内に置かれていて注目を浴びていた。

ジープラングラーCALL OF DUTYII。バンパーなどの外装を中心にカスタマイズパーツを装備している
クライスラー300 JOHN FORTUNO'S FATCHANCE2.0。MOPARのジェネレーション3というHEMIエンジンを搭載する
ダッジ・チャージャーR/T REDLINE。カーボンファイバーのリップスポイラーを採用
カーボンミラーやルーフスポイラーを装備したフィアット500
フィアット500チタニウムは、MOPARのエキゾーストシステムやインテークを採用してパフォーマンスアップを図っている
ジープ・ラングラーBLUE CRUCH。信頼性、耐久性、パフォーマンスを全面的に引き上げたモデル。エンジンはHEMI426に換装している
2011 RAM TRAXXAS TORC SERIES PRO 2WD RACE TRUCK。ピックアップトラックレースのマシン
1971年式PLYMOUTH HEMI CUDA CONVERTIBLE IMPOSTER
1970年式DODGE CHALLENGER CONVERTIBLE
1969年式DODGE CORONET 440

(真鍋裕行)
2011年 11月 4日