東京モーターショー2013

NTTドコモとパイオニアが共同開発したAndroid OS採用ルームミラー型ドライブネットインフォ端末

Android OS採用ルームミラー型ドライブネットインフォ端末
東京ビッグサイト 西4ホール 4階など

会期:11月20日~12月1日(一般公開日:11月23日~12月1日、プレビューナイト:11月22日17時30分~)

 東京モーターショーの“花形”は言うまでもなく自動車メーカーが展示する新型車やコンセプトカーなどで、多くの来場者の注目はそちらに向いている。その一方で、東京モーターショーに出展しているのは自動車メーカーだけでなく、自動車メーカーに部品を納入するメーカーなど、自動車産業を縁の下で支えるベンダーも出展している。多くの自動車メーカーが存在する日本には、そうした部品メーカーが多数あり、モーターショーはそのソリューションをアピールするのに適した場であるからだ。

 カーナビメーカーはその最たる例で、すでに別記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/2013tokyo/20131120_624435.html)でお伝えしたとおり、富士通テンは新製品や将来に向けて研究開発している技術などを紹介している。本記事では、それ以外で気になった、カーナビや車載情報システムに関連した話題を取り上げていきたい。

NTTドコモとパイオニアが共同開発したルームミラー取り付け型ドライブネットインフォ端末

 通信キャリアのNTTドコモとカーナビメーカーのパイオニアは、西ホール 4階にあるNTTドコモのブースにおいて、両社が共同開発したルームミラーに取り付ける形のドライブネットインフォ端末を展示している。ドライブネットインフォとは、11月14日にNTTドコモとパイオニアが発表した新しいスマートフォン向けのサービスで、スマートフォンと音声認識で対話することで、ドライバーにさまざまな情報を提供する新しい形のサービスだ。12月中旬よりNTTドコモのスマートフォンを持つユーザー向けにサービスが開始される予定となっている(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131114_623682.html)。

ルームミラーの1/3がAndroid端末の液晶画面になっている。右側のメニューのボタンを見てわかるように、OSはAndroidになっている。つまり、Androidのスマートフォンそのものがルームミラーに入っている

 簡単におさらいをすると、NTTドコモとパイオニアが共同開発した新しいクラウドサービス「モバイルテレマティクスセンター」というサービスに、NTTドコモがすでにスマートフォン向けに提供している「しゃべってコンシェル」を組み合わせることで、ユーザーはスマートフォンに語りかけることで、友人にショートメッセージ(SMS)を送信したり、電話したり、渋滞情報を確認したり、最新のニュースを確認したりといったことができる。

 重要なことは、このドライブネットインフォは、よくあるカーナビの機能を置きかえるものではなく、カーナビにはない、ネットに接続してニュースやメールを送ったりできるという点にある。つまり、カーナビはすでに取り付けているというユーザーでも、メールや電話、渋滞情報やニュースの取得などが、プラスアルファの機能として利用できるということだ。

 今回NTTドコモとパイオニアが共同で開発して展示した端末は、そうしたドライブネットインフォを利用することをイメージして開発されたものとなる。端末の形状は、ルームミラーに取り付けて使うことをイメージしており、カー用品で売られているワイドミラーの進化版と思えばよいだろう。

 本体は、ミラーの右1/3が液晶ディスプレイになっていて、残り2/3がミラーになっている。OSは、ボタンの形から分かるようにAndroidを採用しており、撮影することはできなかったがAndroid OS標準のホーム画面などに降りることも可能になっていた。ただ、パイオニアのスタッフによれば、最終的にAndroidのホーム画面が開放される形の製品になるのか、それともドライブネットインフォだけを利用できるような端末(つまり専用端末)になるのかは現時点では未定だという。今後NTTドコモとパイオニアの間で製品化に向けて話し合っていく予定だという。なお、製品ではLTEモデムも内蔵される予定とのことだったので、将来的にはドコモのスマートフォンの1ラインナップとして、発売される可能性も充分にありそうだ。

このようにルームミラーに貼り付けて利用する、左側に見える円筒がカメラで、ドライブレコーダー的な使い方も検討されているという
音声認識の機能を利用してニュースを表示させたり
渋滞情報の機能を表示させたりという使い方が可能になる

 現時点ではデモということで、音声認識などの機能も動いてはいなかったが、バックカメラも用意されていたので、製品化の際にはドライブレコーダ的な使い方をする機能やカメラを利用した様々なアプリケーションなども実装される可能性があるということだった。

NTTドコモのブースでは先日発表されたばかりのスマートフォンフォルダ01など、ドライブネットインフォ向けの製品が展示されている

 パイオニアの関係者によれば、製品化は2014年度(つまり2014年4月~2015年3月)を目指して現在開発が進められているということだった。もちろんメーカーとしては安全性に配慮する必要があるため、ホーム画面を解放するのかどうかも含めて難しい問題はあるとは思うが、それでもユーザーとしては止まっている時にルームミラーでメールの着信などが分かると便利なだけに、ぜひとも普通のスマートフォンの1ラインアップとして出していただけると、さまざまな使い方が考えられそうだ。

デンソーがノブとタッチパッドを組み合わせたユニークなコントローラを展示

 このほか会場ではいくつかの気になる展示があったので、紹介していきたい。自動車関連部品メーカーとして知られるデンソーは、ユニークなカーナビ向けコントローラを出展していた。

 カーナビのマン・マシンインターフェースとしては、スマートフォンやタブレットと同じタッチ式が日本では一般的だが、特にヨーロッパの自動車メーカーの純正カーナビなどではタッチ式よりもホイール型のコントローラが採用されていることが多い。ホイール型のメリットは、走行中にちょっと停止している間であっても操作できることだ。ステアリングから手の位置をセンターコンソールに移動するだけで操作できる。これに対して、タッチ式の場合には位置確認など姿勢を変える必要があるため、走行中はもちろんだが、ちょっとした停止時間であっても操作するのは難しい。

デンソーが展示したユニークなノブ+タッチパッドという3D形状のコントローラ。ホイールの替わりにノブを利用することで、前後左右の操作ができる。上部のパッドとボタンでクリックしたり、文字入力したりが可能に

 こうしたこともあり、欧州車を中心にホイール型のコントローラが普及しているのだが、今回デンソーが展示したコントローラは、ノブ型のコントローラの上部に、スイッチとタッチパッドを3D的に追加したユニークなコントローラとなっていた。このコントローラではノブにより前後左右の動作を行い、パッドの手前にあるスイッチでクリック操作を、さらにはパッドで文字入力などの操作を行う仕組みとなっている。これにより、単なるホイール型よりもより柔軟な操作ができるということだった。

デンソーのインタラクティブ・コミュニケーション・コックピット。左のロボットと対話しながらドライブするというユニークなユーザーインターフェースに。そこのロボットを、萌えキャラにした特別仕様に応用が容易に想像できるので、これはいいアイデアかもしれない

 電子部品メーカーのオムロンは、スマートフォンと連携することができる自動車のワイヤレスキーを参考展示した。このワイヤレスキーは、通常のキーレスエントリーやイモビライザーの機能を利用できるだけでなく、Bluetooth機能を内蔵しており、スマートフォンとペアリングして専用のアプリケーションを利用することで、キーだけではできないより複雑な機能をスマートフォンから操作できる。

オムロンのBluetooth接続が可能なワイヤレスキーのデモ
Bluetoothを内蔵したワイヤレスキーの試作品
スマートフォンのアプリケーション。デモでは実際に車のエンジンをスマートフォンからかける様子などがデモされた

 例えば、リモートでのエンジンスタートをスマートフォンのアプリケーションから操作できる。ワイヤレスキーは900MHz帯を利用しており、300mほど離れたところにある車をリモートで操作することが可能だ。将来的には、より複雑な操作、例えばワイヤレスキーを通じて車のECUと通信して車の状態を確認して、ディーラーに情報を送ったりなどのアプリケーションも検討されているということだった。

カーメイトが参考展示した、スマートフォンから直接操作できる車載用ワイヤレスカメラ
カーメイトが参考展示したQi(スマートフォンのワイヤレス充電を可能にする規格)に対応したスマートフォンホルダ

笠原一輝