【北京モーターショー2012】
トヨタは中国生まれの3台のコンセプトカーを初公開

ハイブリッドユニットの現地生産の準備を開始

ユンドンショワンチンの開発責任者と豊田社長

2012年4月23日~5月2日
中国 北京市 中国国際展覧中心



 北京モーターショーのプレスカンファレンスでトヨタ自動車は、セダンとハッチバックの2タイプをラインアップする「TOYOTA Dear~チン~」と、現地でデザインを行い開発したハイブリッド車(HV)のコンセプトモデル「雲動双擎(ユンドンショワンチン)」のワールドプレミアを行った。

 カンファレンスでスピーチした同社の豊田章男社長は、チンについて「2009年6月の社長就任以来、会社内でもっといいクルマを作ろう、ということだけを言ってきました。そして実際に乗ってみて、何がよいのか現場と語り合ってきました。そのやり取りから生まれたのが『チン』です。チンを担当するチーフエンジニアは、中国に何回も足を運び多くのユーザーから意見を聞き、開発を繰り返してきました。とくにデザインについては私から見ても進化しました」とし、よいクルマ作りと中国現地の生の声を反映したのがチンであることが述べられた。

プレスカンファレンスでスピーチを行う豊田章男社長トヨタブース
プレスカンファレンスでのパフォーマンス

 もう1台のユンドンショワンチンに関しては、「自動車販売台数で世界最大となった中国市場の商品評価は、これから現地主体にシフトすることが不可欠です。そのため常熟市に研究開発センター『TMEC』を設立しました。“クルマは道が作る”という言葉のとおり、開発には徹底したテストが必要です。TMECのテストコースは世界最大規模で、中国のあらゆる道路環境を想定しテストを行える設備を持っています。また、TMECではハイブリッドユニットを現地生産する準備をしています。トヨタが世界に誇る環境技術のハイブリッドを、中国生まれのハイブリッドカーでお届けしたい。そんな気持ちの表れとして現地のハイブリッドを搭載したモデルが『ユンドンショワンチン』になります」と述べており、ユンドンショワンチンの特徴は、中国市場を想定したクルマ作りを行い、現地で生産されるハイブリッドユニットを搭載することになる。ハイブリッドユニットに関しては、中国国内で生産し、そのほかのモデルにも搭載すると言う。

 同社のブースは環境技術への取り組みが随所にアピールされる作りとなっていたが、中国国内でも「ユンドン運動」と呼ばれる、トヨタのプラグインハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車などの環境技術を、より深く知ってもらうための活動を行ってきた。今後はハイブリッドカーラインアップの増加と販売台数の拡大を目指し、より多くの環境先進車をユーザーに届けていくようだ。

 そして、スピーチの最後に「中国で勝ち抜き、生き残っていくためにはスピードが必要となります。そのために私が先頭に立って中国に関わる仲間と一緒に、中国にとって最善となることを即断、即決、即実行していくつもりです」と意気込みを話していた。

コンパクトモデルのコンセプトカー「チン」のセダン
「チン」のハッチバック
中国市場を意識して制作したというコンセプトカー「ユンドンショワンチン」
AE86と86も展示されていた
会場に展示されていた次期ハイブリッドカーコンセプト「NS4」

(真鍋裕行)
2012年 4月 25日