CES 2016

旭化成エレクトロニクス、起動からコマンドまでを“声”で実行する車載端末向けデバイスを展示

伸縮自在のケーブル「ROBODEN」も

2016年1月6日~9日(現地時間) 開催

 旭化成エレクトロニクスは、米ラスベガスで開催中の「CES 2016」でプライベート展示を行ない、声による起動も可能なボイスコマンド技術を展示した。このほか、車内コミュニケーション技術や、車載向けハンズフリー技術の応用例なども提案している。

 旭化成エレクトロニクスのDSP「AK7707」と、旭化成のソフトウェアを組み合わせて実現したボイスコマンド技術は、その名のとおり声でコマンドを指示して処理を実行させるもの。

 特徴の1つは起動も声で行なえる点で、物理的なスイッチを用いることなく、起動させるための“トリガーワード”を認識することでスタンバイ状態から復帰し、ボイスコマンドを受け付ける状態にできる。音声は日本語と英語に対応。話者特定はしていないので、ほかの言語もサンプルを用意すれば対応できるという。

 もう1つの特徴は、クラウドと連携したソリューションではなく、コマンドも含めてすべてチップに埋め込んでいる点。クラウドと連携すればコマンドとして利用できるボキャブラリも増やせるが、応答の速さや、インターネットに接続しない環境で利用しやすいメリットが活きる用途へ提案していく。

 旭化成エレクトロニクスでは、10年ほど前から車載向けのハンズフリー技術としてウィンドウノイズの低減やアダプティブなゲインコントロール、ダブルトーク(双方向同時通話)時の品質を高めるなどの技術で高い通話品質を売りにするDSP製品を提供しており、その技術も利用している。

 パネルで紹介されていたデータによると、アイドリング時でトリガーワードの認識が約98%、コマンドの認識が約99%。高速道路走行時がそれぞれ約97%、約95%。窓を開けてエアコンを全開にした厳しい環境でも約81%。また、トリガーワードではない言葉の誤認識はいずれも2時間に1回程度と、高い棄却率と認識率を示している。

 本デバイスは、サンプルを配布できる状態にあり、2016年にもリリース予定としている。

「AK7707」を用いたボイスコマンドシステムのデモ機
トリガーワードを発するとボイスコマンドを受け付ける状態になる。デモではオーディオ機器の操作コマンドが用意されており、「Mute」や「Volume Up」などの言葉を認識していることが実演された
パネルによるボイスコマンドのプロセス紹介
車載テストによる条件別の音声認識率/棄却率のデータ
AK7707の情報
Bluetoothスピーカー/マイクを用いたTV会議などへの応用例で、高品質のハンズフリー通話を、シンプルなデバイス構成で実現できることを示したデモ
同じくハンズフリー技術の応用で、ロードノイズや音楽などが流れている車内でドライバーの声を後部座席へ届きやすくする車内コミュニケーション技術も開発しているという

 このほか、伸縮性を持つ電線「ROBODEN」も紹介していた。これは旭化成せんいが販売する製品で、USBタイプやリード線タイプなどを販売している。

 4芯のケーブルを最大40%まで伸長させられ、最小10mmの半径で曲げることができる。伸縮、屈曲が自在にできることで耐久性を高められ、屈曲部でも“たるみ”を最小限に抑えて配線できることがメリットとなる。

旭化成せんいが提供している伸縮できる電線「ROBODEN」。40%までの伸長が可能
ROBODENのさまざまな応用を紹介例
ROBODENの仕組み。は伸縮性のある芯素材に電線を巻き付けることで伸縮する

編集部:多和田新也