イベントレポート

スズキ、2026年度内に軽乗用BEV国内発売へ コンセプトモデル「Vision e-Sky」披露

2025年10月31日~11月9日 開催(一般公開日)
軽乗用BEV「Vision e-Sky」について紹介するスズキ株式会社 代表取締役社長の鈴木俊宏氏

 スズキは、2026年度内に軽自動車クラスのBEV(バッテリ電気自動車)を発売することを「ジャパンモビリティショー2025」(プレスデー:10月29日~30日/一般公開日:10月31日~11月9日)のプレスカンファレンスで発表し、そのコンセプトモデルとなる「Vision e-Sky」を披露した。

 スズキが日本国内で初めてリリースする軽乗用車のBEVとして「スタンダードなサイズ」に仕上げたもの。プレスカンファレンスで登壇した同社代表取締役社長の鈴木俊宏氏は、「日々の通勤や買い物、休日のちょっとした遠出など、軽自動車を生活の足として愛用されるお客さまの毎日に寄り添うモデルを目指す」とした。パワートレーンや航続距離、価格などの詳細は明らかにしなかった。

軽乗用BEV「Vision e-Sky」

 また、合わせて電動二輪の「e-VanVan」も発表した。1970年代に初登場したバンバンシリーズの外観や「遊びバイク」としてのコンセプトを受け継ぎ、「バイクに乗る楽しさ、操るワクワク」を味わってもらうことを狙ったコンセプトモデル。実用性やスポーティさよりも、担当者いわく「街中でテンション上げて走ること」に重きを置いているという。こちらは今のところ市販化の計画はない。

電動二輪「e-VanVan」

 プレスカンファレンスでは2023年のジャパンモビリティショーで初登場した「MOQBA」(モクバ)の進化形となる「MOQBA 2」も紹介した。近距離の移動をサポートするパーソナルモビリティで、関節を持つ4本の長い脚先にモーター駆動の車輪が取り付けられている。アップダウンの激しい地域での活用を想定し、平地や坂道はもちろん階段の昇降にも対応している。

 前モデルからはモーターやブレーキなど各部の技術要素の改善を行なっているほか、またがる形ではなく脚を揃えて乗るスタイルにして横幅のサイズを抑えた。関節部にブレーキの仕組みを取り入れることで自立している間の電力消費を抑え、稼働時間の拡大も図っている。

「MOQBA 2」

 さらに「多様なロボットの足まわりとして活用できることを目指した電動モビリティ」の「MITRA コンセプト」も披露した。電動のコンパクトな車台のようなもので、導入企業がこれをベースに荷台など独自の架装を施して活用することが想定されている。「自律走行やAIなどの技術を組み合わせることで、さまざまな用途に対応したロボットの開発」が可能になるとした。

「MITRA コンセプト」

 今回のスズキブースでは、多様なエネルギー源を活用する「マルチパスウェイ」によるモビリティ社会の実現がテーマの1つとなっている。BEVやハイブリッドのほか、主にインド市場で展開するCNG(圧縮天然ガス)/CBG(圧縮バイオメタンガス)対応車両とその燃料自体の製造拠点も紹介している。

多様なエネルギーを活用する「マルチパスウェイ」で社会課題の解決とモビリティの発展を目指す

 鈴木氏は「お客さまの生活に寄り添った適所・適材のモビリティこそがCO2の削減の近道になる」として、エネルギーの循環まで考慮に入れた形で「カーボンニュートラル社会の実現に向けてCNG/CBG事業に取り組んでまいります」と宣言した。

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターに。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、四輪・二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。2009年より参戦したオートバイジムカーナは2年目にA級昇格、2012年にSB級(ビッグバイククラス)チャンピオン獲得。