長期レビュー

高橋敏也のトヨタ「86(ハチロク)」繁盛記

その10:ラクラク開閉、「SUPERGRID ボンネットダンパー」取り付けました!

 「開けたり閉めたりすると、嬉しいものってなーんだ?」、答えは「ハチロクのボンネット!」。もう、この段階で相当に危ない人である。だが、本当のことなのだから仕方がない。ハチロクのオーナーなら分かってもらえると思うのだが、ボンネットを開けて「このエンジン、水平対向なんだよ~」と説明するのは、一種の快感であり喜びなのである。別にチューンしてなくてもよいのである。愛車のエンジンを人に見てもらうのが嬉しい訳で、まあ、チューニングしてあればもっと嬉しいのだろうけど。

 人には言いづらい喜びは別として、ハチロクに限らずボンネットを開閉する機会は意外と多い。そう、整備点検のための開閉だ。オイルチェックなどではもちろん、ウォッシャー液を補充したり、バッテリーのチェックでもそうだ。いずれにしてもエンジンにアクセスするためには、ボンネットを開けなくてはならない。また真面目な話として、自慢のチューニングエンジンを見せたいという場合もあるだろう。

 ボンネットは開けて閉めてなんぼの代物、それはハチロクでもまったく一緒。ならば楽しく快適に、そして便利に開け閉めしたい。「いや、そんなに気にする必要ないだろ」とか思わないでくださいな。実はボンネットの開け閉めにも、ちゃんとクオリティってものがあるのだから……。

ボンネットダンパーを取りつけるのだ!

 ノーマルのハチロクでボンネットを開ける場合、まず運転席側に用意されるレバーでボンネットのロックを解除する。そしてボンネットに移動して、ボディーとボンネットの隙間に指を入れてレバーを動かし、「えいっ」というかけ声とともにボンネットを持ち上げる。さらにボンネットステーを引っ張り出し、ステー穴に差し込んでボンネットをオープン状態で固定する。

ノーマル状態のハチロクでは、ボンネットステーを引っ張り出して、それをステー穴に差し込んで固定する
固定するとこの状態に
格好わるいとは言わない。ごく普通の状態だが、これを格好よく、しかも便利にできるらしい

 もしこの作業から、ボンネットステーを引っ張り出すのとステー穴への差し込みを省略できて、なおかつ「えいっ」というかけ声も必要なくなったらどうだろう? レバーを動かしてボンネットを軽く持ち上げるだけで、スムーズにボンネットを開くことができる。逆にボンネットを閉じる際には、軽く下げ戻して最後にちょっと押し、ロックを確認するだけでいい。

 そう、これを実現するのがSPKから発売中の「SUPERGRID ボンネットダンパー(以下、ボンネットダンパー)」なのである。このボンネットダンパーを取り付けると、ボンネットの重さを気にすることなくスムーズな開閉が行えるようになる。さらにボンネットステーを使わないため見栄えがよくなり、エンジンの整備性なども向上する。まさにいいことずくめの、小さなカスタムパーツなのだ。

SUPERGRID ボンネットダンパーの製品内容。部品点数はさほど多くない

 製品としてはドイツ・スタビラスが開発した高性能ガスダンパー2本がメインのパーツで、それをハチロクのボンネットに取り付ける。ちなみにここだけの秘密だが(まあ、サイトには掲載されているんですけどね)、このボンネットダンパー、なんとBRZにも取り付け可能なのである(はい、当たり前とか言わないように)。

スタビラス製の高性能ガスダンパー。これを2本、ボンネットの左右に取り付ける
スタビラス社というのは分かるが、ドイツ語はちょっと……

 このパーツに私が飛びついた理由はいろいろあるのだが、大ざっぱに言ってしまうと「自分で取り付け可能な上に、コストパフォーマンスが最高」ということが大きかった。税別で1万3800円という価格なのだが、取り付け後の満足感と充実感はまさに「お値段以上」。さらにボンネットステーを使わなくなるので、ボンネットを開いた時の見た目がいい。エンジン部分をカッコよく見せたいというなら、このボンネットステーは必須パーツと言えるだろう。また、エンジンをよく触るという人にとっても、超便利なパーツである。

 そして、自分で取り付けることも可能。基本的に私は可能ならDIYをしたい男である。なので今回は、入手したボンネットダンパーを自分で取り付けてみた。

慎重に作業すれば、誰でも簡単に取り付け可能!

 はい、ここにドイツのスタビラス製高性能ガスダンパーが2本あります。もちろんステー類はハチロクに合ったものが用意されています。工具は10mm、12mmのスパナかレンチ、メガネレンチが必要です。もしあるならラチェットレンチも用意すると便利ですね。さらに可能であればネジロック剤も用意するとよいでしょう。ではさっそくお料理、もとい、作業に入りましょうか。

 といってもマニュアルの内容を見れば一目瞭然、というかマニュアルのシンプルさが作業のシンプルさを物語っている。左右を間違えないようにしながら、確実に作業をこなしていけばよい。コツとしては最初にパーツを取り付ける部分にあてがってよく観察し、自分がこれから何をしなければならないか、シミュレーションして理解することだ。ちなみに製品付属の薄いレンチは、ダンパーとブラケットを固定する際、ダンパー側のネジがクルクル空転しないように固定するためのものだ。

付属するマニュアルはペラ2枚。イラストをよく見ながら、向きを確認しつつ作業すればよい
製品付属の工具は、ここに差し込んでネジの空転を防ぐためのもの
ボディー側のブラケットを固定している。ここはラチェットレンチを使うと便利
ボンネット側のブラケットも、ハチロクへ取り付ける前にダンパーに固定する
ブラケットをダンパーに取り付けた状態

 もっと具体的なコツというかポイントは、ボディー側ブラケットをボディーに取り付ける際、六角フランジナットをプレートの下側から入れて、ボルトで固定するのだが、その際にナットを落としてしまうと大変ややこしい話になってしまう。ナットを落とさないように充分注意して欲しい。また、作業中は一時的にボンネットがフリーになるので、作業はできれば2人以上で行うのが望ましい。

こんな感じに取り付けるのだな……と思っている、とても嬉しそうなおっさん。本当に嬉しそうだ
基本的にハチロクに元からついているボルトを流用することが多い。ハチロクに元からあるボルトを外しているの図
赤いボルトはハチロクに元々ついていたもの。ブラケットをしっかり固定する

 レンチやスパナといった工具に親しみのある人なら、なんの問題もなくスムーズに作業できるだろう。もしこれが初めてのDIYという人であっても、適した工具を用意して、慎重に確認しながら作業を進めればまったく問題ないはずだ。しかし、ほんの少しでも不安や疑問があるなら、ショップやディーラーに工賃を支払って取り付けてもらうことをお薦めする。まあ、素人の私がやっても1時間もかからない作業である。工賃といっても大したことはないはずだ(要確認ですからね、この点は)。

唯一ハチロクから取り外して、以後は使わないパーツがこれ。ボディー、運転席側のワイヤーを抑えている樹脂クリップ。取り外したら記念に取っておこう
ボディー側のブラケット取り付け作業。裏に指を入れているのは、ナットを押さえているから。このナットを落とすと、回収が大変なので要注意
運転席側のダンパー取り付け完了!
助手席側のブラケットは、バッテリーのアース端子と共締めになる

 もちろん私もオーディエンス(Car Watch編集、カメラマン)の妨害を受けつつも、スムーズに作業を進めて無事終わらせることができた。撮影しながらの作業でも正味1時間かかったかどうか。楽しいし達成感もあるし、もし興味があるならDIYにチャレンジしてみて欲しい。

ごにょごにょと作業をしつつ……
完了!

スムーズな開閉、そしてエンジンルームの素晴らしい開放感!

 ボンネットダンパーを取り付けて以降、無駄にボンネットの開閉を行っている高橋である。とにかく開け閉めがスムーズ。スタビラス製という高性能なダンパーを使っているだけでなく、ハチロクのアルミボンネットの重さににちょうど合うガス圧になっている。さらに開閉の度合いによってガス圧が3段階で変化するので、レバーを押してボンネットを上げると、ある位置から「スーッ」と開いていく。そのスピードは絶妙で、速すぎもせず遅すぎもせず。そして上がり切る直前で開く速度が遅くなり、音もショックもなくスッと止まる。

どうよ、この開放感! エンジン丸見えの図
何かを威嚇しているのではなく、ドヤ顔をしているおっさん
ああ、本当に嬉しそうだな、このおっさんは(自分で見てても腹立たしくなってきた)

 閉める時の感覚がまた優れもので、ごく普通にボンネットを押し下げてやると、ちょうどよい力加減で閉まり、ロックされる。ボンネットダンパーがしっかり働いているので、慎重に閉める必要はない。逆にゆっくり慎重に下げすぎるとロックの手前で止まってしまい、ボンネットを手で押してロックすることになる。ハチロクのアルミボンネットを押してロックするのに抵抗がある人は多いだろうから、ボンネットダンパーを信じて普通に閉じればよい。

 なお、写真を見ても分かるとおり、ダンパーが邪魔になることはなく、エンジンへのアクセス性はボンネットステーを使っていた時よりも向上する。整備性がよくなるだけでなく、見た目にも美しい。ちなみに使わなくなったボンネットステーは取り外すことなく、そのままにしておくことができる。とにかくよくできた製品である。

 ではこのボンネットダンパー、プロはどう見ているのか? そして気になるのはガスダンパーということで、寒冷地での動作具合はどうなのだろうか? そこでSPKさんにお願いして話をお聞きできる人を紹介してもらった。結果、この人しかいないということで紹介されたのが、北海道石狩市にあるマルマン・モーターズ(http://www.maruman-motors.com)の萬年社長。同社、そして萬年社長、実はこのボンネットダンパーの寒冷地テストを行っていたのである。

「ハチロク&BRZは雪国でとっても遊べるクルマなので、これこそ北海道に最適なオモチャだと思います」と語るのは萬年社長。まずボンネットダンパーのテスト環境に関して伺った。

萬年社長:天候は曇りで、気温は約-5℃くらいでした。ダンパーの動きは開閉ともに夏場とまったく変わらず、開く時はボンネットの開度が目測で4割以上になったあたりから、自力で開いていくので手で支えながら開ける必要がなく、最大開度時の瞬間がとてもソフト(上品)です。反発力の強いボンネットダンパーだと、最大開度に達した瞬間が勢いよく“バンッ”と開いてしまいますが、スタビラスダンパーの場合、最後がスッと静かに開きますからね。閉じるときは手でボンネットを押さえ付けますが、羽毛布団の感触を確かめる程度の軽い力で充分。最大開度から閉じる方向へ6割程度まで行ったあたりから、自力でボンネットロックまできちんと閉まってくれます。その動きはまるで電動のようで、不思議な感覚です。

 次にプロから見て、ボンネットダンパーはどういったシーンに役立つと思われたかを聞いた。

萬年社長:ボンネットを支える棒を必要としないので、エンジンルームの整備性が向上するのと、閉じるときにも自然に落とせばロックまで行くので、ボンネット表面を素手で押し付けたくない人(特にワックス掛けした後など)には、とても楽だと思います。

 なるほど萬年社長、ありがとうございました。

 寒冷地、問題なし! プロも認める高級感、そして性能。まさに言うことなしのハチロク用パーツ、自分で取り付けることも可能なこのボンネットダンパーがなんと1万3800円(税別)であなたのものにっ! いやいや、通販番組じゃないから、この連載。ちなみにSPKではこの製品を順次、ハチロク&BRZ以外の車種向けにも発売予定とのこと。いや、ボンネットダンパーを取り付けたハチロク乗りとしては「ハチロクだけのものにしてください」と言いたいところなのだけどね……。

 ちなみにハチロクはトランクの左右にも、純正でダンパーを装備している。これは某所で仕入れた情報なのだが、実はこのダンパーもスタビラスが製造しているものなのだ。実際に確認してみるとスバルのマークが入っていたので、OEM品なのだろう。ボンネット、そしてトランクのダンパーをスタビラスで統一! よい話のネタになりそうな情報だ。

左右にダンパーステーが取り付けられている
このダンパーもスタビラス製。SUPERGRID ボンネットダンパーを装着すれば、スタビラスで統一できる!(なんか格好いい!)

 なお、このボンネットダンパーを私が導入したのには、DIYが可能なこととコストパフォーマンスのよさ以外にも理由がある。近い将来、私のハチロクのエンジンへ「人に見せたくなる加工」をしようと思っているのだ。そのための準備として、ボンネットダンパーは最適なパーツだったのである。果たしてその加工とは……現在準備中!

今回使用した工具たち。もっとシンプルにレンチだけでも作業可能。できればネジロック剤を用意、使用してください

ボンネットダンパー作動状態

SUPERGRIDボンネットダンパーを装着して嬉しげにボンネットを開閉するおっさんの図。開き切るタイミングで動きがゆっくりになるのがポイント。閉める時は普通にグッと下げれば、ロックまでかかるため、ボンネットを上から押す必要がなくなる

高橋敏也

デザイナー、コピーライターを経て、パソコン関連のライターとして独立。SF小説なども上梓している。ライター歴は20年を超えるが、最近10年は真面目なレビュー記事というより、パソコンを面白おかしく改造する記事などを書いている。若い頃はオートバイをこよなく愛していたが、体力の衰えと共にクルマへの興味を持つ。このため自動車免許を取得したのは1998年。現在、クルマはトヨタのハチロク、オートバイはカワサキのNinja 1000とZ1300を所有、都内を縦横無尽に走っている。インプレスジャパン、DOS/V POWER REPORT誌に「高橋敏也の改造バカ一台」を連載中。ほかにImpress Watchでインターネット動画「パーツパラダイス」を配信中。