長期レビュー

正田拓也の中古「サンバー」生活

第7回 ついにサンバー壊れる!

エアコンのONの緑のランプが付くが、冷たい風はいっこうに出ない……

 ちょっと古くてボロいクルマの長期レビューとなれば、期待される(?)のが“壊れた”というお話。いぢわるなみなさん、大変お待たせしました! 今回やっと壊れた話をお届け! その場所は……前回、酷使した場所がとうとう逝ってしまった!!

それはある日突然やってきた

 ある日エンジンをかけ、暑い日だったのですぐエアコンスイッチをON。ところが風は出てくるものの、アイドル回転数アップもコンプレッサーのクラッチが作動するカチっという音もしない。ファンも静かなままだ。おかしいおかしい、まさかと思いつつも、淡い期待を抱くもので、3分待ったら冷たい風が出てくるかな? 走りはじめて5分、10分……でもまだ出てこない……。

 サンバーに乗る上でエアコンは鬼門という話があることは知っていた。常識で考えてもエンジンが5000rpmで回るようなことが多い使い方で、ずっとエアコンもかけっぱなしでコンプレッサーの劣化が進まないわけがない。だから、前回紹介した大阪往復でもエアコンは少しに気を使いながら走行していた。

 それでも大阪往復も無事に終え、壊れたところや気になるところはなかった。というよりもむしろエンジンの回転が軽くなった気がして、逆に行ってよかったとまで思っていた。しかし、帰路の6時間、高回転でエアコンほぼかけっぱなしは何かしら劣化を進めていただろう。

 エアコンはそんな状態でも走行性能は問題なく、しかもエンジンの上のトラップドア(カバー)を開いて見る時間の余裕もなかったので、目的地に着いてサンバーを降りてしまったあとは、まずはスマホからネットで検索した。

やはりコンプレッサー

やっと明るい時間にエンジンルームを確認、そこにはオイルが飛び散った光景が。ベルトにもオイルが飛んでいる

 エアコンパネルのランプが点灯するのに冷たい風が出てこないのは、コンプレッサーが壊れる場合ももちろんあるが、高圧ホースの劣化や単なる配線不良まで原因はさまざま(というネット情報)。壊れてもエンジンの回転にひっかかりも何もなかったので、部品としては高価なコンプレッサーは大丈夫と信じたかったのだ。

 ほかにも、エバポレーターやコンデンサーの漏れなども考えられ、壊れたコンプレッサーから破片がガスのラインに飛び散ってしまえば、エアコンのパーツを全交換という恐ろしいことも頭をよぎり、これはもう、ほかの安い軽トラに乗り換えか? などとも考え、ヤフオクで今度はアクティトラックを検索する始末。

エンジンのフタであるトラップドアの裏側にはオイルが飛び散った跡がべったり

 翌日、明るい時間にやっと確認することができ、恐る恐る荷台にあるトラップドアを外してみると、やはり、エアコンオイルがエンジンルーム内に飛び散っていた。コンプレッサーのプーリーにかかったオイルがあちこち飛ばされたようだ。高圧側のホースからは漏れた形跡はなく、コンプレッサーしかない。コンプレッサーのお代はいくらか? と頭の中でそろばんが弾かれた。

 自分で直してしまうことも考えたが、エアコンを修理するにはかわりのコンプレッサーのほか、道具としてゲージマニホールド、真空ポンプが必要で、エアコンオイル、そしてガスも必要。コンプレッサー破壊があったので、念のためガスのラインの漏れなどもチェックもしないといけないので、自分で修理は無理と判断した。今は順調に回っているがいつコンプレッサーのプーリーが固着してさらなるトラブルが起こらないとも限らない。一刻も早く対策が必要と考えた。

コンプレッサーもけっこうくたびれているのが汚れている。走行16万kmなので、新車時から1個目とは考えにくいが、とにかく壊れてしまった

どう修理するか

 次に、どう修理するか、どこに頼むかが問題となる。壊れたのは8月下旬だったので、このままエアコンなしで我慢する方法も考えた。壊れたコンプレッサーを外してガスのラインに封をし、Vベルトをサンバーのエアコンなし仕様の長さのものに交換する方法だ。これなら自分でもできそうでVベルトの数百円しかかからない。

 しかし、エアコン以外は快調のサンバーに乗ってみると暑い。もうすぐ涼しい季節なのは分かっているが、曇り取りにも必要な機能なので、1日悩んでやはり修理することにした。

 次にどこに頼むか。これも大きな問題だが、中古やリビルトパーツの扱いが得意そうなところがよさそうだったので、近所の知り合いが関係する修理工場にお願いすることにした。

 エアコン修理方法も実はさまざまで、最も確実なのは新品純正のコンプレッサーに交換、ガスラインの確認を行なったあとでリキッドタンクなど消耗品まで交換までしてしまう方法。そうなるとせっかく安く買ったサンバーにはもったいない。全体的にはいつまで持つか分からないボロいサンバーに、クルマ本体よりも長持ちしそうなエアコン修理はバランスがわるい。

 であれば、「最小限の修理」ということでお願いしてみた。壊れていたコンプレッサーはリビルトよりも安い良質中古品に交換。ほかには、検査の結果、若干の漏れがあった高圧側のホースの交換にとどめた。それでも技術料などを入れれば4万円をオーバーする金額がかかった。

一段と寒いエアコンに

中古部品なのでピカピカではないが、少しきれいなコンプレッサーが付いて戻ってきた

 修理はプロ任せにしてしまったので、途中の様子はないが、サンバーのエアコンは見事復活した!

 壊れる前も非常によく効くエアコンで、暑い日でも車内を寒くするくらい冷やすことも可能だったが、修理後はさらに冷えるようになっていた。吹き出しの方向を少し上に向けておいてもなんの問題もなかったのが、修理後はそれだとリアガラスに風が当たり、ガラスが冷えてリアガラスの外側が曇ってしまうくらいになった。しっかり冷えてほしい自分にとってはなんだかうれしい。

高圧側のホースは新品に
コンプレッサーは元と全く同じ型番でシリアル番号が新しくなった。旧ゼクセル製。新品ならヴァレオのマークでも付いてるのだろうか
中央部分の吹き出しを少し上に向けているとリアガラスに風が当たるのか、ガラスの外側が曇るようになってしまった

 また、エアコンONではほぼコンプレッサーが動いていたが、修理後は一定期間のONとOFFが繰り返されるようになった。つまり、まわりを走っているふつうの軽自動車と同じような動作となったので、これで正常になったと思われる。

キャビンの下の液体の跡は……エアコン動作中に出てくる水。エアコンが直り、ちゃんと効いてることの証明だ! うれしい!

まだまだ走る、サンバー

 エアコンの修理も終わり、ますます快調なサンバー。実は非常に細かい不具合や不満なところがあったのだが、エアコンがちゃんと直ってしまうと不具合が気になるようになってしまった。

 次回以降、細かな不具合や気になっているところをなんとかしたいと思う。

自転車をそのまま荷台に積んで外出できることが軽トラの利点。レジャーに使うならエアコンがあると便利! (横に写っているクルマは特に関係ありません)

正田拓也