長期レビュー

正田拓也の中古「サンバー」生活

第9回 スタッドレスタイヤを装着してみた。ただしちょっと力技

 いよいよ新年。2017年もサンバーは元気に走ってくれると思うので、どうぞよろしくお願いします。さて、この真冬の時期、断熱材のなさそうな鉄の箱である冬の軽トラは寒々しいという印象があるかもしれないが、それが全く逆。冬も快適でリーズナブルなのが軽トラなのだ。

寒い時期も暑い時期もガッツリ効く空調、そして快適

 寒いかどうかという点では、まず、空調の効き具合を紹介しておきたい。夏場に冷房がガッツリ効くことは紹介したが、それは冬も同じ。客室の容積が小さい軽トラは冷房も暖房もガッツリ効いて快適だ。エンジンの排気量が小さく、しかもエンジンは遠い後ろがあるが、しっかり前のヒーターまで温水は届いている。660ccという小さい熱源でも寒さは全く感じない。

シンプルなマニュアルエアコンは使いやすい
足下の吹き出しは、両足のすねに当たる

 ただ、全体的に頭までモワっと暖かいかといえばそうではない。ドア内側の上部やシートの後ろは鉄板1枚で外気に触れている。ただし、そのおかげか頭までぼーっとするような感じではなく「頭寒足熱」という状態。足下はしっかり温まるせいか、寒くない。上半身はすっきり。冬場のオープンカーとまではいかないが、すっきり暖かい。また、エアコンはマニュアルなので、温度や空気の吹き出しは好みで自由にアレンジしやすい。

 なお、サンバーはこんな感じだが、ほかの軽トラは試していない。鉄板のむき出しの感じは他社も同様なので、同じように「頭寒足熱」な状態と思われる。

灯油ポリタンクも荷台にポンと載せてしまえる

 そして、もう一つ。冬に軽トラのありがたい点は、灯油をガソリンスタンドに買いに行きやすいこと。ガソリンスタンドで灯油を買う人はポリタンクごとビニール袋に入れている人も多く、車内に灯油をこぼしてしまうのではと恐れながらクルマに乗せている人も多いと思う。

 ところが軽トラなら荷台に無造作に置いてしまえばOKだ。2缶以上なら倒れにくいほか、背が低いタイプの灯油ポリタンクを使えばポンと置いておけばOK。多少の灯油のこぼれも気にならない。気軽に灯油を買いにいけるので、軽トラの荷台はありがたい。

安くスタッドレスタイヤを入れる方法を考えた

スタッドレスタイヤを装着したサンバー

 2016-2017年の冬シーズンは11月に雪が降ってしまい、例年より早くスタッドレスタイヤの特需を迎えてしまった。実はスタッドレスタイヤを用意したいという考えは昨シーズンから持っていた。軽量ボディの実用車でパートタイム4WDとくれば、雪道では最強クラス(?)。しかも、軽トラのタイヤは安い。それはスタッドレスタイヤでも同じで、ネット購入の最安値ならば4本購入でも1万円くらいということは分かっていた。ならば、ぜひスタッドレスタイヤを購入しておきたいと思ったからだ。

 そう考えていたので、11月に入ったあたりからスタッドレスタイヤ探しはしていた。探す場所は、まずはヤフオク! 中古も一応見てみたところ、昨シーズンモノも豊富にあり、非常に安い開始価格が並んでいた。しかし、実際に入札が進むと、最後は送料を入れると新品と変わらない価格になるものが多かった。たとえば4本で5000円で落札できたとしても、送料に4000円も請求するような出品業者だと合計で9000円だ。だったらとスタッドレスの命、ゴムが新鮮な新品に絞って探すことにした。

 ヤフオク!で新品タイヤが安いのはかなり前からで、何度も利用している人は多いはず。問題になるのはどこで交換作業をするかだが、持ち込み交換作業自体も「サービス」として出品されているなど、ネットで探せば業者はある。筆者がよく利用する適価で腕のよい業者があるのだが、今回は別の方法を考えた。

 そして、必要になるのはタイヤのほかにホイール。ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤに履き替えてそのままにするのであればそれでもよいが、春になったら元に戻したいと思ったので、中古ホイールを以前から入手していたのだ。サンバーのホイールを探すときに注意したいのがハブ径。他社の軽トラに比べて微妙に大きいハブ径なので、サンバー用でないとハマらない。サンバー用でもスバル製造時代のサンバーのものが必要だ。

そうだ、手組みしよう

 考えた“別の方法”とは、自分でやってしまうこと。これこそ究極の安いタイヤ交換だ。交換といっても、今回は装着だけで「剥がし」がない。タイヤがついてないホイールが手元にあり、タイヤも新品でゴムは柔らかそう、それに82扁平だからもっと柔らかそうとの思い込みもあり、タイヤをホイールに取り付ける方法は手組みと決めた。

 必要な道具はタイヤレバーとビードクリーム、バルブの虫回しとバルブ装着ツール。結局、道具代がかかってるじゃんというツッコミはなしだ。もう、自分の手でタイヤの組み付けをやってみたくて仕方がなくなっているので、そこは気にしていない。

 進化の速いスタッドレスタイヤだけに、新しい製品が有利なはず。安く新品出品される軽トラサイズの145R12 6PR(145/80 R12 80/78Nも含む)では、ダンロップのWINTER MAXX SV01か横浜ゴムのiceGUARD iG91の2択。ヤフオク!出物のなかから出品数の多いWINTER MAXX SV01を選択してサクッと落札。4本送料込みで1万円を少し下まわるくらいでゲットできた。

届いたスタッドレスタイヤ

 届いたら早速組み付けだ。錆と汚れのひどいホイールはできるだけ洗浄して、バルブを新品に付け替えた。タイヤ交換店でバルブ交換は1本300円ほどするが、自分でやるなら部品代がホームセンターで1本150円くらい、または自動車部品通販では4本で200円ほどからある。これは交換するしかない。バルブの穴も納得いくまで丹念に掃除し、バルブを装着。いよいよタイヤの組み付けだ。

そう簡単ではなかった……他人にはオススメしない

 タイヤの組み付けはビードにビードクリームを塗って、ちょっとタイヤレバーを使えばそれほど難しくなくホイールにはまる。ただし、問題は「ビード上げ」。タイヤ交換作業を見ているとバンっと音がしてタイヤのフチがホイールにハマる、あれだ。

安く買っても届いたタイヤは2016年19週製造の新鮮なもの。黄点はタイヤの軽いところで、ホイールのバルブの位置を合わせて組み付ける
クリームをしっかり塗れば、レバーでちょいと起こせばスポッとはまる
ここまではわりと簡単だが、タイヤが内側に入ってしまい、外側のホイールと密着しないと空気が入っていかない。ビード上げが最大の難関

 装着で難しい点は、82扁平となるとビードが内側に寄ってしまい、ビードとホイールのリムの密着がわるい。そのまま空気を入れても空気は貯まらないので上がらない。

 そこで、言葉では説明が難しいが、リムにビードの片側を押し付けて軽くひっかかる程度まではまったら、はまったところが外れないように力を調整しながらタイヤ全体を反対側に押し付ける。反対側のビードがリムに密着した状態で空気を入れていくと、ビードが上がる。

 言葉で言うのは簡単だが、片側のリムにビードがなかなかはまってくれないのと、空気圧が上がってくる前に落ちてしまう。できればビード上げ用のラバーリングがあると便利だが、ここまで揃えると完全に予算オーバー。何度かやっているうちに空気が入っていったので、ポンと音がして上げる(ハマる)ことができた。

ビード上げと格闘していたので写真はいきなり完成へ
スタッドレスの新品はゴムが角張ってて気持ちいい

 ビード上げに何度も何度も挑戦してやっとできたので、2~3時間かかってしまった。業者のように勢いのあるコンプレッサーや、ビード上げ用のラバーリングを使っていればもっと簡単に上がっていたかもしれない。しかし、道具も高いので、無理に揃えるくらいなら最初から業者任せが簡単だろう。今回は自分にはよい経験で楽しい試みだったが、単に安くすることが目的なら全く割が合わず、他人に勧められない作業だ。

早速インプレッション

 実は手動の空気入れしかなかったので、ある程度まで空気を入れたあとはタイヤをサンバーに装着。給油ついでにガソリンスタンドに行って規定圧まで入れた。空気がパンパンになったところで早速走行だ。

スタッドレスタイヤ装着!

 走らせてのWINTER MAXX SV01の第一印象は、タイヤの剛性はしっかり。しかし、表面のゴムがとても柔らかい。おろしたては全くドライグリップがない印象だったが、ひと皮剥けるくらいでドライグリップもしっかりしてきた。ただ、表面のグニャグニャ感を和らげるためかタイヤ本体がしっかりしすぎで、ノーマルタイヤとして使っていた横浜ゴム「JOB RY52」のように全体的なしなやかなものとは違ってしまった。

 乗り心地の変化はあったものの、あくまで「変化」というレベル。これで雪が降っても路面が凍っても少し安心と考えれば十分許容範囲。ちなみに空気圧を落として試してみても、タイヤ全体のしっかり感に大きな変化はなかった。

 少し走ったら、タイヤのナットの締め付けを確認、全体的にタイヤに異常がないかを確認した。今回は手組みしてバランスを取ってないが、高速道路を通らず低速で走行している分には特に振動などは感じなかった。高速道路で試すとだいたい80km/h程度から振動が始まったが、この程度なら、一般道用としてバランスなしでも十分実用的。バランス取りについては今後の課題だ。

スマホナビを本格利用

 さて、2016年のうちにやっておきたかったことが、カーナビのこと。サンバーを選んだきっかけの一つに2DINスペースが上のほうにあるということがあったが、2DINナビは断念した。理由としては、比較的安価でスマートフォン連携ができる機種がなく、最低でも5~6万円の投資は軽トラにはもったいない。また、最近、トヨタ自動車の「TCスマホナビ」をはじめとしてスマホ向けのカーナビアプリが充実してきたからだ。

 今までもGoogleマップやナビアプリでナビ代わりはできていたが、ナビとして地図の常時表示や、クルマで運転しやすいルート引きといった点で不満があった。ところが無料で登場した「TCスマホナビ」のおかげでほぼスマホに置き換えが可能と考えを変えたのだ。

 そうとなったら2DINの場所にスマートフォンホルダーを付けたい。もともと2DINスペースの上半分はスマートフォンホルダーを付けることも想定に入れていたので、1DIN分の小物入れとスマートフォンホルダーが付けられる槌屋ヤックの「DIN BOX」と「スマホホルダー」を購入して取り付けた。

槌屋ヤックの「DIN BOX」と「スマホホルダー」
このようにDIN BOXにホルダーが固定できる
後ろから見たところ
簡単ではあるが、DIN BOXとホルダーは爪とネジで固定される。筆者は念のため両面テープも追加して、さらに強く固定した

 DIN BOXとセットで使うと、スマホホルダーがしっかり固定されるという製品で、ホルダーを左右のどちらかに寄せて取り付けるため、小物入れ機能も活かせる。少し残念なのは出たばかりの製品ではないので、最近の5インチクラスのスマホの対応が甘く、重量や横の支えの点では若干不安があることくらいだ。

サンバーの2DINスペースに装着
少し小さいiPhone SEを挿してみた。さらに大きな5インチクラスでも装着は可能だが、小さいほうが安定する

 これでスマホもしっかり固定された。これなら年末年始のドライブでも快適に利用できそうだ。

次はいよいよ車検へ

 スタッドレスタイヤも準備ができ、これからの雪が降りそうなシーズンの準備も万全。そして、新年を迎えたら車検の準備を始めなければならない。サンバーはうちにやってきたときは「車検残付き」だったので、今回が初めての車検だ。そこで、点検と直すべきところは直し、車検に臨もうと思う。

 まず、バッテリーだが、前回は仮のボルトで固定していたほか、アース線の処理がいい加減になっている部分を補修した。配線はターミナルを交換したためか、先がバラバラのままで無理矢理締め込まれていた。今回これを切断、圧着端子を付けて確実に電気が流れるようにした。

折れたボルト(左)、代用で使った曲げたボルト(右)、そして中央がステンレス製の新品ボルト
取り外したバッテリーの横のアース線。先がバラけており、要修理
圧着端子で処理
ステンレス製ボルトで固定したバッテリー。1度バッテリー上がりをやってしまったが、充電器で充電すると、しっかりセルモーターが回るほど回復。これなら当分問題なく使えそうだ
エアフィルターの汚れを確認
冷却水の量を確認、全く減っていない
ウィンドウウォッシャー液は助手席の下から。ジョウロで入れたのだが、周囲を濡らしてしまった

 ほかもできるところから点検を進め、冷却水、エアフィルター、ウォッシャー液を確認。車検までこのほかも準備を進めたい。次回はできれば車検のレポートといきたいところだ。

正田拓也