【2009 International CES】展示会場リポート カーナビと情報端末の融合が進む米国の自動車向け製品 |
米国ネバダ州ラスベガス
Las Vegas Convention Center
Ford Motor Companyの基調講演リポートでも触れたように、International CESでは、メインの会場であるLas Vegas Convention Centerの3つのホール(North、Central、South)のうち、Northホールが自動車関連製品に割り当てられており、カーナビメーカーなどを中心にさまざまな製品が展示されている。本リポートでは、そうしたInternational CESで見ることができた自動車関連製品についてお伝えしていく。
■Microsoftは「Microsoft Auto」に関連した製品を展示
ここ数年、Microsoftは自動車関連製品に力を入れており、毎年CESでも会場前のスペースに大型のテントを設けて、自動車関連製品のソリューションを展示している。といっても、Microsoft自身がエンドユーザーに対して製品をリリースしているのではなく、あくまで自動車メーカーやカーナビメーカーに対して、ソフトウェアプラットフォームを提供するという形での提供となるため、展示している製品もパートナー企業の製品が中心となっている。今年の展示も例外ではなく、基調講演も行ったFordの車や、今後Microsoft製品の採用を予定しているHyundai(韓国の現代自動車)の車や、「Windows CE」をOSとして採用している日本メーカーのカーナビゲーションなどが展示された。
今回Microsoftがフィーチャーしていたのは、「Microsoft Auto 3.0」と呼ばれるWindows CE 6.0をコアとした自動車向けのプラットフォームだ。従来提供されていたMicrosoft Automotive 5.0がWindows CE 5.0ベースだったのに比べて6.0ベースになることで、メーカー側の自由度が向上したり搭載されている機能が向上したりしているのが特徴だ(なお、詳しくは関連記事の「Microsoft Car Navigation Day 2008リポート」参照)。
FordのSYNCなどもこうしたものがベースになっており、実際展示会場ではSYNCに対応したFordの車や、SYNCを採用しワープロソフトや表計算ソフト、PDFビューアなどの機能などを追加した「Mobile Office」というカーコンピューターのデモが行われていた。また、米国でも流行しているPND(Portable Navigation Device)向けには、Microsoftが「MSN Direct」として展開しているFM放送を通じた渋滞情報などの配信機能などがデモされていた。
■クラリオンは日本未発売のPND+携帯情報端末「MiND」をアピール
CESには日本でおなじみのパイオニア、ケンウッド、富士通テン、クラリオンといったメーカーも参加しており、多数の米国向けの製品を展示している。ただし、展示している機種は、日本で販売されていないモデルがほとんど。機能も日本で販売されているものの数年落ちというものばかりで、日本の高機能でグラフィカルなカーナビゲーションを見慣れている人からすれば、正直見るべきものはほとんどない。
しかし、日本では販売されていない製品の中にも、要注目なものはある。たとえばクラリオンは、「MiND(Mobile Internet Navigation Device)」と呼ばれる、情報端末とカーナビゲーションを合体させたようなデバイスを展示していた。このMiNDは昨年のCESでもコンセプトモデルが展示されていたが、カーナビとしての機能だけでなく、インターネットブラウザ、電子メールクライアント、YouTubeクライアントなどを搭載しており、いわばPDAのような機能をも統合した製品となっている。
その特徴は、従来のカーナビなどがCPUにARMベースのプロセッサーを採用していたのに対して、このMiNDではIntel Atomプロセッサーを採用していることだ。Atomはx86アーキテクチャーであるため、インターネットまわりのソフトウェアの互換性がARMベースの製品に比べて高いという特徴を持っている。ARMベースの製品に比べて、インターネットの新しいサービスなどにいち早く対応できるというわけだ。MiNDは米国では659ドル(約6万5000円)から販売されており、多くの来場者が熱心に質問をしている姿が印象的だった。
米国向けの製品を展示していたケンウッドブース 富士通テンのブースでは取り外し可能なPNDから構成されている「AVN4430」が展示されていた。PNDが日本より流行している米国ならではの製品 クラリオンのブース。すでに米国で販売されているMiNDは専用のブースが設けられてアピールされていた
■2DINに入る本格的なカーPCやUIを作り込んだ本格的な製品も
このほか、多くのブースでは大容量のアンプやウーファーといった、アメリカらしいダイナミックな製品が多数展示されており、それらのブースの近くを通過するとズンズンと会場巡りで疲れた体には酷な低音が鳴り響いていた。会場には多数のドレスアップカーも展示されており、会場の雰囲気はちょうど日本で同時期に行われていた東京オートサロンに近いものだと言えばご理解いただけるだろうか。
このほか、PC先進国の米国ということも反映して、会場には多数のカーPCが展示されていた。なかには2DINに本格的に納めた製品もいくつか展示されており、きちんとUI(ユーザーインターフェース)も作り込んで、普通にカーナビとして使える製品もあった。いずれも日本での発売の可能性を聞くと、“代理店募集中”とのことだったので、日本で販売される可能性は低いが、どこか奇特な代理店の方、チャレンジしてみていただけないだろうか。売れるかどうか分かりませんが……。
■URL
2009 International CES
http://www.cesweb.org/default.asp
CES日本語サイト事務局
http://biz.knt.co.jp/pm/ces/
関連記事
【2008年9月24日】クラリオン、インターネット接続できるPND「ClarionMiND」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20080924_37794.html
【2008年11月27日】「Microsoft Car Navigation Day 2008」リポート
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20081127_38183.html
(笠原一輝)
2009年1月13日