アウディ、“スパイシー”な「S3スポーツバック」発表会リポート
東京モーターショーには参加、前向きなメッセージを出す

2009年2月2日


S3スポーツバックとドミニク・ベッシュ社長
 アウディジャパンは2月2日、都内で報道関係者向けに、「S3スポーツバック」の発表会を開催した。なおS3スポーツバックの詳細は、別掲記事を参照されたい。

 S3のベースモデルであるA3スポーツバックは、2008年9月のマイナーチェンジで好評を得、とくに1.4リッターターボエンジンを搭載する1.4TFSIが500台を受注し、供給が間に合わない状態という。

 同社のドミニク・ベッシュ社長によれば、A3は日本での販売台数の5分の1を占める重要なモデル。同社のシェア拡大とともにA3もAセグメントでのシェアを伸ばしており、今年は20%越えが目標。この目標達成に欠かせないというS3は、A3全体の約10%、350台を販売する予定。

 ベッシュ社長は「スポーティーかつスパイシーで環境に配慮したモデル」と紹介。「35~40歳の、子どもがまだ小さいかいない、アクティブなライフスタイルの夫婦」をターゲットとする。さらに環境性能もアピールポイントであることから「社会責任を果たしながらスポーティーさを賢く追求したいお客様」とした。

 環境性能については、日本市場でのハイブリッド車のシェアが4%、ディーゼル車のシェアが0.1%であることを挙げ、98%を占めるガソリン車の改善こそが、現実的かつ効果的な環境対策であると訴えた。ただし、同社のハイブリッド戦略やディーゼル戦略に変更はなく、2010年に日本市場にディーゼル車を導入する計画も変更されていないという。


ベースモデルのA3シリーズと同様、コンパクトハッチバッククラスながら全高を抑えたスポーティーな外観を持つS3。9種の本体色が用意されるが、会場にはソーラーオレンジ、スプリントブルーパールエフェクト、イモライエロー、ブリリアントレッドとビビッドなモデルが用意された
直列4気筒2リッターターボエンジンは、専用パーツをふんだんに使って性能を向上。6気筒3リッタークラスのエンジンと同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮する一方で、燃費やCO2排出量は少ない。右のプレゼンテーションは、マイナーチェンジ前のA3スポーツバックのトップモデルや競合他車との比較
6速のデュアルトランスミッション「Sトロニック」はスムーズネスと加速性能や燃費の向上をもたらす。ステアリング裏にはシフトパドルも備わる。パドルは右がシフトアップ、左がシフトダウン
エクステリアのS3専用装備。左上から、クロームのダブルラインが追加された専用グリル、S3エンブレム(リア)、ウインカー内蔵アルミ調ドアミラー、専用デザインの18インチ、2本出しテールパイプ。ブレーキキャリーパーにもS3のロゴが入る。右下はA3スポーツバックの1.4TFSI
フラットボトム形状のS3ロゴ入り専用ステアリング。40GB HDDを内蔵するカーナビは標準装備だが、グローブボックス内のETCユニットとiPod接続コネクターはそれぞれ1万8800円、7000円のオプションとなる。本革とアルカンタラの内装もS3専用だが、本革仕様オプション(スルクナッハ)が14万円で用意される

前向きなメッセージを出す

 ベッシュ社長は発表会で、2009年1月の国内輸入車登録実績の速報値を伝えた。ほとんどのインポーターが30%以上の落ち込みを記録している中、アウディジャパンは23%減となった。2008年の厳しい輸入車市場でも前年比増となったアウディジャパンも、景気後退の流れには逆らえなかった形だが、ベッシュ社長は「アウディは下げ幅が小さく済んでおり、シェアは前年の15.6%から16.2%に拡大した」「第1四半期が厳しいのは想定通り。年末に向けてプレミアム市場は回復する。17%へのシェア拡大というアウディジャパンの目標に変更はなく、過去最高の販売台数に挑戦する」とあくまで強気の姿勢を崩さない。ちなみに同社販売台数の過去最高記録は、1990年の1万6691台。

 市場回復を見込む根拠は「消費者心理はゆっくりと回復する。また東京モーターショーの年でもあり、アウディと競合他社の新車効果で消費を呼び戻せる」とする。経済環境悪化に伴い開催が危ぶまれる東京モーターショーだが、「モーターショーは、自動車と自動車産業のお祝いの場でもあるが、車が好きな人だけでなく、車に興味がない人や将来のお客様にも、夢と未来を提供できるチャンス。S3のようにエモーショナルでスポーティーな新車やモーターショーで、前向きなメッセージを出すことが大変重要」と述べ、東京モーターショーに参加する姿勢は変わらないとした。

2009年1月はさすがのアウディも前年比減となったが、落ち込みは最小限。景気は今年後半から回復すると見る
シェアのさらなる拡大と過去最高の販売台数まで狙う今年投入予定の新車。A6ファミリーは発表済み。S4、R8 V10、A5カブリオレ、Q5が予定されている国内では圧倒的に台数の多いガソリン車の燃費改善こそが、環境性能改善に実効性を持つ
A3のシェア拡大にはS3も重要。350台の販売を予定する1983年のスポーツ・クアトロS1にまで遡るS3の系譜。S3スポーツバックは、S3としては初の5ドア、ATモデルとなる
アウディは今年創立100周年。創始者のホルヒ博士は自らハンドルを握ってラリーに参加したこともあるという。「レースは自動車開発の実験室」という社是があるほど、モータースポーツを重視し、S3にもそのフィードバックが生かされるS3スポーツバックのコンセプトは、A3のコンセプト「“e” Compact」の頭に「Spicy」を付けたもの

 

URL
アウディジャパン株式会社
http://www.audi.co.jp/
製品情報
http://www.audi.co.jp/audi/jp/jp2/new_cars/s_rs/s3.html
関連記事
【2009年2月2日】アウディ、スポーツハッチバック「S3スポーツバック」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20090202_38555.html

(編集部:田中真一郎)
2009年2月2日