高速料金上限1000円時代の必須アイテム「ETC車載器特集」 製品タイプや機能で好みにあわせた選択を |
国土交通省によれば、高速道路でのETC利用率は2009年2月の時点で70%を超えているほか、ORSE(道路システム高度化推進機構)によればETC車載器セットアップの累計件数も2700万件を突破しているとのことで、ETCの普及が進んでいることがうかがえる。また、3月4日には地方高速料金の土日祝日上限1000円案を含む2008年度2次補正予算関連法案が可決され、1000円で利用するにはETCが必須なことから、これらに魅力を感じてETCをこれから利用しようと思っている人も多いだろう。
ETCの導入にあたってはまずETC車載器を自動車に設置する必要があるが、現状では用途が有料道路の通行料金の支払いにが絞られているためか、どのような機能や特長があるのかが一見分かりにくいのが現状だ。現在販売されているETC車載器は、主に以下のタイプに分けられる。
- 3ピースタイプ
アンテナと本体が分離しており、アンテナ、ETC車載器、ETCカードから構成されることから3ピースタイプと呼ばれる。「アンテナ分離型」などと表記されている場合もある。アンテナのみをフロントウインドウやダッシュボード上に固定するため、ETCカードの着脱に支障がなければ車載器本体を車内の自由な箇所に設置可能。前方視界の妨げにならないほか、本体を外部から見えない箇所に設置することで防犯効果も得られる。 - 2ピースタイプ
アンテナ、スピーカーを本体に内蔵しており、ETC車載器とETCカードから構成されることから2ピースタイプと呼ばれる。「アンテナ一体型」などと表記されている場合もある。設置場所はETC無線通信が障害なく行えるダッシュボード上などに限定されるが、比較的低価格で1万円を切る製品もあるため、低予算でのETC導入には最適だ。
また、下記の機能は利用する上で搭載されていると便利なため、購入時に参考にするとよいだろう。
- 音声案内
音声で利用時の料金や警告、利用履歴を通知する機能。運転中に表示を確認する必要がないので、安全運転に寄与する。 - ETCカード未挿入警告
起動時や料金所手前のお知らせアンテナに接近した際にETCカードの未挿入を警告する機能。 - ETCカード抜き忘れ警告
エンジンを切った際にETCカードが車載器に挿入されている場合、カードが挿入されたままであることを通知する機能。 - 利用履歴確認
ETCカードに記録された利用履歴を確認できる機能。主に、利用した日時や料金の確認が可能で、確認可能件数も100件までの機種が多い。 - カーナビ連動
カーナビと連動させることで、音声案内をカーナビ経由で再生させる、通行料金や利用履歴をカーナビのディスプレイで確認できる、といった機能拡張ができる。ETC車載器と同一メーカーのカーナビのみに対応している場合が多い。
ここでは主要メーカーが販売している主なETC車載器の特徴を紹介する。なお、新車納車時のみ装着可能な場合が多いメーカー純正製品や、カーナビメーカーから専用オプションとして販売されている製品、カタログなどに記載されているが出荷終了した製品などは除外している。また、ORSEが運営している「ETC総合情報ポータルサイト」にもETC車載器に関する情報が掲載されているので、こちらで確認するのもいいだろう。
■デンソー
DIU-9200:1万3860円
DIU-5200:1万4385円
DIU-5210:1万5750円
DIU-7200:1万1550円
デンソーは、「DIU-9200」「DIU-5200」「DIU-5210」「DIU-7200」の4製品をラインアップ。全製品とも3ピースタイプで、DIU-9200のみ本体カラーをファイバーブラック/プラチナシルバー/エンジェルホワイト/レディッシュロゼの4色用意する。
いずれの製品もアンテナにLEDを装備しており、音声(DIU-7200を除く)、本体LED、アンテナLEDでETCカードの認証状況や利用状況を確認できる。また、アンテナが正常に接続されていない場合にブザーとLEDで警告する「アンテナ外れ警告機能」を搭載。DIU-7200を除いて、ETCカードのイジェクトボタンや、利用履歴確認用のボタンを個別に装備しており操作性に優れている。
このほか、ETCの利用明細をプリントできる車載用プリンター「EP-300」(5万400円)がデンソーウェーブから発売されており、DIU-5210が接続可能。ETCゲート通過時に自動的に利用明細をプリントすることができる。
DIU-9200(ファイバーブラック) | DIU-9200(プラチナシルバー) |
DIU-9200(レディッシュロゼ) | DIU-9200(エンジェルホワイト) |
DIU-5200(DIU-5210) | DIU-7200 |
株式会社デンソー
http://www.denso.co.jp/
製品情報
http://www.denso.co.jp/ja/products/aftermarket/info/etc/index.html
■パナソニック
CY-ET908D/CY-ET908KD:1万4000円
CY-ET807D:9500円
パナソニックは、3ピースタイプの「CY-ET908」シリーズ、2ピースタイプの「CY-ET807D」の2製品を用意する。
両製品とも同社カーナビ「ストラーダ」との連動機能を搭載しており、カーナビのモニターに利用履歴一覧やETCゲート拡大図などが表示できる。また、ボタンを押すと最新の音声案内をもう一度再生できるリピート機能を搭載するほか、音声に声優の日高のり子さんを起用するなど、音声案内の機能が充実している。
CY-ET908シリーズは3ピースタイプのETC車載器では業界最小の本体サイズで、本体カラーはプレミアムシャンパン/メタリックブラックの2色を用意。アンテナ部分にスピーカーを搭載しており、本体をグローブボックス内などに設置しても音声案内が聞き取りやすい。このほか、スライド式のカードイジェクトボタンを装備しており、ETCカードの誤排出を防止している。
CY-ET908D | CY-ET908KD | CY-ET908D/CY-ET908KDのスピーカー内蔵アンテナ |
CY-ET807D |
パナソニック株式会社
http://panasonic.co.jp/
製品情報
http://panasonic.jp/car/its/products/
■古野電気
FNK-M05T(K):1万5000円
FNK-M05:1万3650円
FNK-M03:オープンプライス
船舶用魚群探知で知られる古野電機だが、ETC車載器も販売している。ラインアップは「FNK-M05T(K)」「FNK-M05」「FNK-M03」の3製品。いずれも3ピースタイプで、FNK-M03を除く製品は音声案内と利用履歴確認機能を搭載する。
FNK-M05T(K)とFNK-M05の仕様はほぼ同一だが、FNK-M05T(K)のみ音声にサンリオのキャラクター「ハローキティ」を採用。料金やETCカード未挿入の警告などをハローキティが通知してくれるほか、起動時にランダムでハローキティのメッセージを再生する機能も搭載する。
本体にもハローキティが描かれ、本体カラーもパールピンク/パールホワイトを用意。各色1万台の限定販売モデルで、サンリオの公式オンラインショップでも販売されている。
FNK-M05T(K)(パールピンク) | FNK-M05T(K)(パールホワイト) |
FNK-M05 | FNK-M03 |
古野電気株式会社
http://www.furuno.co.jp/
製品情報
http://www.furuno.co.jp/product/etc/index.html
サンリオ・オンライン・ショップ
http://shop.sanrio.jp/
■三菱重工業
MOBE-500P/MOBE-500G/MOBE-500N/MOBE-500B/MOBE-500S:1万3800円
MOBE-401:3万1500円
三菱重工は、「MOBE-500」シリーズと「MOBE-401」の2製品をラインアップ。いずれも3ピースタイプとなる。
両製品とも、利用した通行料金の累計金額を確認できる累積金額通知機能を搭載。また、クラリオンのカーナビとの連携に加えて、MOBE-500は三洋電機のカーナビとの連携も可能だ。このほか、MOBE-500はアンテナにもカードの認証状態など表示するLEDを装備し、本体カラーがピンクレッド/シャンパンゴールド/ネイビーブルー/ブラック/シルバーの5色から選択できる。
MOBE-401は、業界で唯一となる車外設置型のアンテナを採用している製品。無線通信の電波を遮断するため一般的なETC車載器が利用できない熱線反射ガラス搭載車でも、防水タイプのアンテナをルーフやボンネットなどの車外に設置してETCが利用可能となる。
MOBE-500(左上から、MOBE-500P/MOBE-500B/MOBE-500G/MOBE-500S/MOBE-500B) | MOBE-401 |
三菱重工業株式会社
http://www.mhi.co.jp/
製品情報
http://www.mhi.co.jp/etc/index.html
■三菱電機
EP-738B/EP-738S:1万4490円
EP-728B:1万4490円
EP-638B:オープンプライス
EP-618B:オープンプライス
EP-538BW/EP-538BD:9800円
EP-738プレミアム:1万5540円
EP-736B:1万4490円
EP-408B:1万3440円
三菱電機は、3ピースタイプの「EP-738」シリーズ、「EP-728B」「EP-638B」「EP-618B」「EP-736B」を、2ピースタイプの「EP-538」シリーズをラインアップ。さらに、EP-738シリーズに藍/赤革/木目/花/雪の5色のカラーとデザインを施した限定販売モデル「EP-738プレミアム」、アンテナに加えてスピーカーも本体から分離している「EP-728B」、同社カーナビとの連携機能に特化した「EP-408B」も用意する。
特徴としては、全製品がセキュリティー自己診断判断機能を搭載。同社が開発した新暗号アルゴリズム半導体チップを搭載しており、車載器に記録されているデータの改ざんや個人データの流出を防ぎ、セキュリティー性に優れている。加えて、EP-7XXシリーズとEP-538シリーズは累計料金の確認が可能なほか、EP-7XXシリーズは利用履歴確認用のボタンを装備。EP-738シリーズ、EP-728B、EP-408Bは、アンテナ部にもETCカードの認証状態など表示するLEDを装備する。
EP-538シリーズは、2ピースタイプや3ピースタイプなどを含めた国内のETC車載器では最小サイズの製品で、ダッシュボード設置用の「EP-538BD」と、フロントウインドウ貼付用の「EP-538BW」を用意する。本体サイズがコンパクトなため挿入したETCカードが本体からはみ出してしまうが、ETCカードを隠すことができるスライドカバーを装備している。
EP-738B/EP-738S | EP-638B/EP-618B | EP-408B |
EP-738プレミアム(左上から、EP-738NAVY/EP-738WINE/EP-738WOOD/EP-738HANA/EP-738YUKI) | EP-538BD/EP-538BW |
三菱電機株式会社
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
製品情報
http://www.mitsubishielectric.co.jp/carele/etc/
(編集部:大久保有規彦)
2009年 3月 5日