【ETC休日特別割引】アウディRS6で那須に行ってきた
犬連れ家族の1日観光コース





アウディRS6

 ETC休日特別割引開始の3月28日、我が家のミニチュア・ダックスフントを一緒に連れて行ける場所を下見すべく、那須に行ってみた。

 ペット連れで一番使い勝手のいい交通機関と言えば、車に限る。犬のトイレやクルマ酔いといった生理現象への対策が必要になるが、他人に迷惑をかけずに、かつ犬の自由度をあまり制限しないで移動するのはクルマが一番だ。

 そんな事情を高速道路会社も察知して、昨今ではSA(サービスエリア)などでのドッグラン施設を整備するなど、ペット連れの旅客対応が進んでいる。また那須をはじめ、代表的な観光地にはペット連れ対応の施設が多数用意されている。土日祝日上限1000円の高速道路料金ETC休日特別割引を使って、ペットと出かける機会を増やそうというのがこの記事の趣旨だ。

 このために用意したクルマがアウディ「RS6」。アウディのCセグメントサルーン「A6」に、5リッターV型10気筒ツインターボエンジンを押し込んだというスーパーセダンで、最高出力は426kW(580ps)と、ちょっと前のレーシングカー並み。価格も1645万円とスーパーである。

 エンジンは気むずかしいところはないとはいえ、ピックアップは鋭いからアクセルは慎重に踏む必要があるし、アイドリングの振動や音もそれなりにある。サスペンションはコンフォート、ダイナミック、スポーツと選べるが、コンフォートでも通常のセダンよりは硬めに感じられた。そういえばメーターパネル中央のインフォメーションディスプレイには、ラップタイムを計測するモードがある。サーキットを走ったってかまわないというわけだ。

 ペット連れのファミリーにこんなとてつもないセダンはどうなの、と記者も一瞬迷ったのだが、休日のお父さんが家族サービスをするのだから、お父さんにも何か役得はあったほうがいい。RS6は、高速走行はもちろん、上限1000円化で予想される渋滞の中でも楽しくエキサイティングなクルマだ。

 その一方で、ベースは今年の1月に発表されたA6なので、アダプティブクルーズコントロールやアウディサイドアシスト(レーンチェンジ支援)、アウディレーンアシスト(レーン逸脱警告)といった運転支援機能でもって、疲れを最小限にとどめることだってできる。これらの安全装備や4WDシステムのおかげなのか、那須を走り回った後でも不思議と疲労感がなかった。

カーナビまかせで東京脱出
 さて割引開始の3月28日、東名海老名SA(サービスエリア)の混雑具合を報じるTVニュースを見た後、7時半に家を出るという、この手の取材行としては大名出勤と言えるほど遅い出発をした。新横浜在住なので、都心に出るときはいつも、港北ICから玉川ICまで第三京浜道路に乗り、環状8号線経由で用賀ICから首都高速3号線に乗る。

 しかし玉川IC出口でRS6のカーナビを見ると、首都高、とくに3号渋谷線と都心環状線は真っ赤に渋滞している。そこでRS6のカーナビの賢さを試してみようと、カーナビが提案した迂回ルート(目黒通りなどを通って代々木ICから首都高4号新宿線に乗る)をそのまま走ってみた。狭い生活道路を通るような提案をするカーナビも多いなか、コンパクトとは言えないRS6でも運転しやすい広さの道を通り、代々木ICまで30分で着くことができた。

 RS6のカーナビは、メインの7インチディスプレイと音声ガイドのほか、メーターパネル中央のインフォメーションディスプレイにも簡略なルートガイドを表示するのだが、これが非常に見やすい。視線移動が少ない上に、情報が整理されているので、どちらに曲がればいいのか把握しやすい。

メインディスプレイのカーナビ表示メーターパネル内のインフォメーションディスプレイにもルートガイド、予想到着時刻、ウェイポイントまでの距離(メーター表示とバーグラフ)が表示される。ルートガイドの上、外気温表示の上の「BLOW」は、そのときかかっていた曲名。グローブボックス内のアウディミュージックインターフェースにiPodをつなぐと、MMIとメインディスプレイ、インフォメーションディスプレイでiPodを操作でき、曲名が表示されるシフトレバーの後ろにあるダイヤルがMMI。ダイヤルのまわりの4つのボタンのほか、NAVI、RADIO、CARなどの機能キーが多数用意されていて、分かりやすい

 アウディ独自のMMI(ダイヤル状のカーナビ、AVなどの統合インターフェイス)も、この手のインターフェイスにありがちな分かりにくさを払拭している。記者に分からなかったのは、ダイヤルの頂部が地図のスクロールなどに使うジョイスティックになっているということだけ。マニュアルを読むまで、ここはただのクリックボタンだと思い込んでいた。

 いかにも「ハイパフォーマンスモデルでござい」というカーボンファイバーパネル(ちなみに“カーボン調”ではなく本当にカーボンである)のインテリアが少々ハナに付いていたのだが、RS6のコックピットは、きっちり押さえるべきところは押さえているのである。

 道をよく知らない観光地では、カーナビのデキが移動の効率、ひいては観光の充実度の鍵を握ることになる。RS6のカーナビには、この一件で多いに信頼を寄せることになる。

クルーズコントロールまかせのお気楽ドライブ
 浦和本線料金所から東北自動車道に乗ってしまえば、あとはアダプティブクルーズコントロールに任せたお気楽ドライブをするだけだ。

 アダプティブクルーズコントロールは、設定した速度を自動的に維持してくれる「クルーズコントロール」と、RS6の鼻先にあるミリ波レーダーで前車との距離を測り、一定の車間距離を保ってくれる機能を組み合わせたもの。前車がいれば車間を保ったまま後を付いて行き、前車がスピードを落とすとRS6もそれに合わせて減速するし、前車がスピードを上げれば、設定速度までは追尾していく。前車がいなくなれば、普通のクルーズコントロールとして、設定された速度で巡航してくれる。

 ただし、オートドライブではなくドライブ支援機能なので、静止まではしないし、ステアリング操作もする必要がある。また信頼性が高いとはいえ、機械である以上、絶対に誤作動しないという保証はないから、ドライバーはいつでもブレーキを踏むなどの危険回避をする心構えをしている必要がある。

 RS6のアダプティブクルーズコントロールは、加速は至極マイルドでスムーズ、減速はドライバーに危険を知らせるためもあってか、ややきつめのブレーキをかけるが、不快なものではない。前車がバイクだろうがトラックだろうがちゃんと検知するし、首都高のようなコーナーが連続する場所でも前車を見失うことはなかった。

 こんなお気楽運転をしているとボーっとしてしまいそうだが、そんなときはレーンアシストが目を覚ましてくれる。ウィンカーを出さずに車線をまたぐと、ステアリングを振動(携帯電話のバイブレーターと同じようなものだ)させ、ドライバーの目を覚ます仕掛けだ。

 一方で、アダプティブクルーズコントロールは解除も簡単だ。あまりに遅いクルマがいたら、アクセルを踏み込むだけでV10ツインターボエンジンに本来の性能を発揮させて、簡単に追い越すことができる。家族が乗っていなければ、クワトロシステムを利して、背中をシートバックに押しつけられる強烈な加速感を、どんな速度域からでも味わえるだろう。

 さて、目的地の那須は典型的な観光地らしく、温泉、グルメに始まって、牧場、博物館、ショッピングセンターと、さまざまなアトラクションが用意されていて、犬連れで利用できる施設も多い。果たしてどこに行くべきなのか。いろいろありすぎて、どこに行っていいものか決められない。選択肢が多すぎると却ってなにも決められないことを「決定回避の法則」と言うのだと、TV CMで言っていたな。

 こんなどうでもいいことを考えてしまうのも、アダプティブクルーズコントロールで余裕があるおかげだ。どうでもいい連想はさらに続く。CMと言えばアルパカという妙な動物が出てくるのがあった。あれのおかげでアルパカは人気があるというが、あの動物のどこがそんなにいいというのか。

 などと考えているうちに、思いついた。そういえば、本誌でも何度か登場していただいているイセッタ乗りののりたま子女史は、那須にアルパカを見に行くと言っていた。アルパカ牧場というものが那須にはあると言う。ならば行って、アルパカの魅力を確かめてみようではないか。

SAのドッグランと犬用弁当
 東北自動車道では、佐野SAに寄ってみた。ここには犬のストレス解消にもってこいのドッグランや、犬用の水飲み場が用意されている。ドッグランは東北道ではこのほか那須高原SAにも用意されているが、佐野SAのドッグランは2008年の12月にできたばかりとあって、非常にきれいだし、小型犬用と全犬種用のエリアに分かれている。2つあわせて420m2。我が家の臆病なミニチュア・ダックスフントでも安心して走れそうだ。

佐野SA。誘導員を配置して、混雑に対処していた佐野SAのドッグラン。奥が全犬種用、手前が小型犬用

 ところでNEXCO東日本は「どら弁当」なるものをSAで販売している。その心は「ドライブ弁当」で、空港の「空弁」にインスパイアされたものと思われるが、SA周辺の名産を手ごろな価格の弁当に仕立てたものだ。レストランの中に犬を連れ込めない私たちには、多いにありがたい弁当といえる。

 これに加えて、「どら弁当ポチ」という小型犬向け弁当も用意されている。国産赤鶏と野菜のスープ、玄米100%食パン、ふりかけをパックにし、おやつにせんべいが付く。ふりかけはそのSA、PAの名産を使うという趣向までこらされている。スープはレトルトになっていて日持ちがするので、お土産にもできる。

 普段ドライフードしか食わせてもらえない我が家の犬にはちょっと豪華すぎるメニューだが、家に持ち帰って食べさせたところ、ドライフードの100倍の勢いでたいらげてしまった。まあドライブでおとなしくしていればこれが食べられる、と犬にすり込めるなら630円の価格も高くはないだろう。

これがどら弁当ポチ。食パンとスープをまぜ、ふりかけをかける。どら弁当ポチ以外にも、ペットのおやつや、お土産によい犬用クッキーやせんべいも置いてある人間にはどら弁当もいいが、屋外で売っているスナック類も楽しい。これは佐野SAで見かけた佐野名物いもフライと、きゅうりの浅漬け。どちらも150円佐野SAでは休日上限1000円を記念したお土産も

 

アルパカの故郷、アンデスの如きアルパカ牧場の光景。アンデスは写真で見たことがあるだけですが
アルパカを見に行く
 佐野以外のSAも冷やかしつつ、那須ICに着いたのが11時半。アルパカ牧場に行こうと決めたものの、下調べはなにもしていない。携帯電話でアルパカ牧場の住所を調べ、目的地をセット。那須ICから40分ほどのドライブでアルパカ牧場に着いた。

 ここは文字通り、400頭ものアルパカを飼育している牧場だ。入場料(大人800円、中高生600円、子供5歳以上400円)を払って進んでいくと、いきなりアルパカがのんびりと群れを成す光景を目にする。同じ種類の動物がこんなにたくさんいると記者は気持ち悪くなるたちなのだが、アルパカはそのとぼけた風情のせいか、うじゃうじゃいてもむしろ癒される。

 アルパカの素晴らしいところは、ごく至近距離で触れあえるところ。性質は臆病でおとなしく、歯は下あごにしか生えていない。ツバを吐きかけることもあるそうだが、こちらは妙なことをしなければいいだけだ。アルパカ牧場では随所にえさの販売機が用意されていて、柵越しにえさをやることもできるし、10分500円でアルパカと散歩することもできる。那須岳を背景にした雄大な景色も気持ちいい。牧場で見かけた多くの婦女子は大喜びだったし、疲れたお父さんにも楽しい施設だった。

 ちなみに犬も連れて入れるが、アルパカを驚かさないようにするため、場内では抱きかかえている必要がある。

アルパカ牧場の入口。後ろのプレハブで入場料を払う犬は抱きかかえて入場雄大な那須岳をバックにまったりするアルパカ達。癒されます
こんなふうに餌をやれるアルパカの親子牧場にはアルパカ以外にも、ダチョウやミニチュア・ホースといった癒し系の動物がいる

犬連れで屋内で食事をするには
 アルパカ牧場で気分がリフレッシュできたが、少々冷えた。RS6の外気温計を見たら、3月の終わりだというのに3.5度と出た。なるほど寒いわけだ。暖かいところで暖かいものが食べたいが、犬連れが店の中で食事できるところはなかなかない。那須はペット連れ対応施設が多いところだが、それでも犬を連れ込めるのはテラス止まりで、店内まで行けるところはなかなかない。留守番が不得手な犬を飼ってしまうと、なかなか苦労が多い。

 そんな那須で、犬と一緒に入れる数少ないレストランの一つが、「チノフィーロ」だ。店内にはリードフックが用意され、ペット用のメニューも用意される。人間用のパスタやハンバーグ、オムライスと言ったメニューは、那須の食材を使ったオリジナルのもの。24席のキャパシティなので、繁忙期には待つこともあるが、外にはドッグランもあるので、遊びながら待てる。

チノフィーロ。建物の右側がドッグランドッグラン
暖炉もある店内。壁などにリードフックがあるチノフィーロの人間用メニュー。親しみやすいメニューながら、素材は那須産

 アルパカ牧場からチノフィーロまでは約50km。記者は写真を撮りながらのんびり走ったので2時間もかかったが、信号が少ないので、観光シーズンの渋滞に引っかからなければ1時間もかからずに到達できるだろう。

アルパカ牧場からチノフィーロへの途上。那須にはこんな景色がいっぱい
観光地らしく、遊ぶ施設には事欠かない那須の店の看板は、シックな色に統一されている。コンビニやファミレスの看板もこんなふうに

犬連れで買い物、温泉
 那須には「那須ガーデンアウトレット」なるアウトレットモールがある。ここもドッグランやドッグカフェを備えた、犬連れ対応施設の1つだ。モール内の店舗の多くは、抱きかかえていればペットも入店できる(ペットの入店可否や抱きかかえの要不要は、店頭のステッカーでわかるようになっている)。ペットは入店できないものの、那須の物産を多数とりそろえた「那須ロコマーケット」もあるので、お土産の調達もここでできる。

 3月29日には、アウトレットのすぐ隣ともいえる場所に、東北道 黒磯板室ICが開通したので、行き帰りの直後どちらかにアウトレットを組み込んでおくとアクセスしやすいだろう。

那須ガーデンアウトレットは、広大な敷地に多数の店舗が並ぶリゾート型アウトレットモールすぐ隣に黒磯板室ICが開通するのを受けて「ナスハク」なる盛り上げイベントを開催。那須のさまざまな団体が出店して、那須の魅力をアピールしていた
ナスハクにブリヂストンがフェラーリのF1マシンを展示。同社のテストコースが近所にあるため那須ガーデンアウトレットのドッグランは広大

 最後に、那須は温泉地なので、温泉も味わっていきたいところだ。さすがに犬と一緒に入れる立ち寄り温泉は見つからなかったので(犬と一緒に風呂に入れる宿はある)、那須湯本温泉郷の中心部、温泉神社の入口にある無料の足湯「こんばいろの湯」に入っておくことにした。

 もちろん足湯の浴槽にだってペットを入れるのは厳禁だが、こんばいろの湯は屋外にもあるので、ペットをすぐそばに待たせておいて足湯を楽しむことができるし、駐車場がすぐとなりなので、ペットをクルマに残すときも安心だ。足湯とはいえ泉質はほかの温泉と一緒。硫黄の臭いがするだけでもなんだか効きそうな気がする。

 留守番が得意なペット連れなら、こんばいろの湯からクルマで1分の、「鹿の湯」に本格的に浸かってもいいだろう。

温泉神社入り口の「こんばいろの湯」。この建物の中にも足湯はあるが、脇にも露天の足湯があるこんばいろの湯の近くに温泉源がある
温泉源のすぐそばにある「鹿の湯」。こんばいろの湯から歩いていくこともできるし、駐車場もある
これはおまけ。那須といえば和牛。ステーキをはじめ、和牛料理の店がたくさんあり、テラス席ならペットを同伴できる店もある

家族で行けばとってもお得
 このように那須をひとまわりしてみた。那須にたどり着くまでにかかった高速料金は、第三京浜の港北IC~玉川ICが200円、首都高が680円、東北道の川口JCT~那須ICが1700円で、合計2580円。

 ガソリン代だが、出発前に満タンにして那須では52L給油し、リッター127円だったので、6604円となった。トリップメーターは那須での給油時に314.2kmを表示しており、計算すると約6.0km/Lの燃費となる。行程の半分近くは都内や那須の一般道だったわけで、このようなハイパフォーマンスマシンとしては上出来の燃費だろう。ちなみにRS6の燃費計は6.2km/Lを表示していた。

 今回は記者1人だったので、金額的には新横浜から那須塩原まで新幹線(新横浜~東京をこだま利用で7530円)を使ったほうが安くつくという結果になったが、大人や子供があとひとりいるだけでもクルマのほうが安くなるし、那須でこれだけ移動するにはレンタカーを借りるか、タクシーをチャーターすることになる。まして犬連れなら、「動く個室」たるクルマのありがたみを存分に生かせるというわけだ。

利用IC(自)利用IC(至)通常料金割引後料金割引額割引内容
港北玉川2002000割引なし
代々木IC川口JCT70068020平日・土曜割引
川口JCT那須IC390017002200休日特別割引(昼)・大都市近郊区間
+上限1000円
合計480025802220

 

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(編集部:田中真一郎)
2009年 4月 3日