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独フォルクスワーゲン、自動運転技術搭載&航続距離最大600kmのEV「I.D.」世界初公開
I.D.ベースの市販車を2020年に発売
2016年9月29日 19:03
- 2016年9月29日(現地時間)公開
独フォルクスワーゲンは9月29日(現地時間)、パリモーターショー(プレスデー:9月29日~30日、一般公開日:10月1日~16日)で電気自動車(EV)のコンセプトモデル「I.D.」を世界初公開した。このI.D.をベースにした市販モデルを2020年に導入することを明らかにするとともに、価格は「同等の動力性能、装備を備えたゴルフと大差ないレベル」としている。
今回発表されたI.D.は、「MEB(Modular Electric Drive Kit)」と呼ばれる新車両アーキテクチャーに基づいた同社初のコンパクトコンセプトカー。「4ドアのコンパクトカーとしては長いホイールベース」「高レベルの衝突安全性に加えて、大きな前輪切れ角を実現したフロント部分の構造。その結果として、最小回転径はわずか9.9mを実現」「車両の重心を下げ、理想的な前後重量配分を生み出す、フロア収納タイプの平らなリチウムイオンバッテリー」「駆動ユニットと一体化し、分離型サブフレームを採用したマルチリンク式リアサスペンション。このリアアクスルレイアウトにより最適なハンドリング特性と理想的な静粛性を達成」という4点を特徴とした。
ボディサイズは4100×1800×1530mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2750mm。現行ゴルフより155mm短い全長とした一方で、ホイールベースは現行ゴルフより130mm長く、パサートに迫る数値になっている。前後重量配分は48:52。
電気モーターの最高出力は125kW(170PS)で、0-100km/h加速は8秒以内、最高速は160km/h。複数のタイプのバッテリーを搭載することを想定していることから、航続距離は400~600kmとした。バッテリーはニーズに応じて性能や仕様を選択できるという。
また、I.D.は「2025年以降に実用化を目指している完全自動運転のテクノロジーを先取りした初のコンセプトカー」という側面もあり、完全自動運転モード「I.D.パイロット」を搭載。ステアリングホイールのフォルクスワーゲン ロゴを3秒以上押すことで「I.D.パイロット」を起動させると、電動調整式&折り畳み式のステアリングホイールはダッシュパッドに収納されてダッシュボードの表面は完全に平らになり、インテリアをラウンジ化。これは電気モーターを含めて駆動系をリヤアクスルと一体化し、高電圧バッテリーを床に収めた車両レイアウトによって実現したもので、乗員はかつてない程広くて明るい解放感に溢れたスペースを得ることができるという。
「I.D.パイロット」モードに切り替えると、ルーフから4つのレーザースキャナーが出現するとともに、ルーフセンサーがブルーの間接光で照らし出されるようになり、自動運転モードで走行中であることを周囲に知らせる。このレーザースキャナーのほか、超音波センサー、レーダーセンサー、サイドビューカメラおよびフロントカメラを使って歩行者などを認識。さらにクラウドを介して交通データも常に収集し、車両が集めたデータと比較する機能も備わる。
そのほか立体駐車場では自動的に駐車スペースを探すことも可能で、対応するインフラを備えた駐車場入り口の規定された場所にI.D.を停車させ、フォルクスワーゲンのアプリを使って「Pilot for multi-storey car park(立体駐車場用自動パーキングパイロット)」機能を作動させることで実現する。