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ルノーとイオンペット、ペットのための診療から救命活動まで行なう「カングー ドクターカー」公開

平時は往診で、災害時は獣医師らを乗せて被災現場で活動

2016年12月1日 開催

 ルノー・ジャポンとペットビジネスカンパニーであるイオンペットは12月1日、ペットのための診療から救命活動まで行なう「カングー ドクターカー」を、イオンモール幕張新都心 ペットモール(千葉県千葉市美浜区)で公開した。この公開イベントにはルノー・ジャポン 代表取締役社長の大極司氏、イオンペット 代表取締役社長の小玉毅氏、イオン動物医療センター幕張新都心 センター長の永井貴志氏が出席し、ドクターカーや導入の経緯について紹介を行なった。

 イオンペットは、ペット関連商品の販売をはじめトリミングなどのペット美容、動物病院運営などを行なう企業。今回、イオンペットはペットの診療などが行なえるカングーベースのドクターカーを製作。イオンモール幕張新都心 ペットモールに配置されるドクターカーは、ペットのシャンプーやカットが行なえる装備を搭載し、各種検査や一時診療に対応。さらに震災などが発生した場合は獣医師や動物看護師、トリミング技術者を乗せて被災現場で活動を行なうことも視野に入れている。

 なお、イオンモール幕張新都心 ペットモールは国内最大級の総合ペットストアに位置づけられ、ペットや関連商品の販売、ドッグラン、年代層別のトレーニング教室、愛犬向けの水泳教室、専任スタッフが常駐するペットホテル、保護犬の譲渡支援活動を行なう「ライフハウス」、愛犬と一緒に入店できるドトールコーヒー、ペットと一緒に写真撮影してくれるスタジオわんわんアリス、24時間体制のペット専用の病院などで構成されている。

イオンモール幕張新都心 ペットモールでは、24時間体制のペット専用の病院(左)、酸素カプセルのサービス(中)、年代層別のトレーニング教室(右)など、ペット向けのさまざまなサービスを提供
ルノー・ジャポン株式会社 代表取締役社長 大極司氏
イオンペット株式会社 代表取締役社長 小玉毅氏
イオン動物医療センター幕張新都心 センター長 永井貴志氏
大極社長から小玉社長にドクターカーの鍵が贈呈された

 イベントの冒頭に登壇したルノー・ジャポン 代表取締役社長の大極司氏は、ペット産業国際見本市「インターペット」への出展によりイオンペットとの関係が構築されたことを明かすとともに、「私も犬を飼っていて、家族の一員であるペットが怪我や病気をして苦しんでいるときにどうしても救急車を呼びたくなるが、ペットにはそれ(救急車)がない。イオンペットさんから今回のお話を伺い、その瞬間に手を挙げさせていただいた。ペットを飼っている皆様に安心な生活を送っていただくことに貢献したい、そういう気持ちで今回コラボレーションさせていただいた。これからも皆様の生活をサポートするブランドとして頑張っていきたい」と、ドクターカーの製作に協力した背景について紹介。

 また、イオンペット 代表取締役社長の小玉毅氏は、「私は2015年3月にイオンペットに着任させていただいたが、その後熊本の大震災があり、イオンペットがあることから私も震災直後に現場を訪れた。店舗の中に入れないほど大変甚大な被害を受けたが、フードを中心とした最小限の物資を店頭で販売させていただいた。そのときに、ペットが汚れてしまったのでトリミングしたいというお客様がいらっしゃったが、いかんせん断水中でしたし何もできなかった。このときに『ドクターカーを早く導入しなければダメだ』と強く決意した」と、熊本地震がドクターカー製作の契機になったことを述べるとともに、「実際に震災現場をまわってみると道路のアクセスがわるく、道幅が狭くなっていたり片側通行になっていたりと、やはり大きなクルマだと非常に移動が困難になると感じた。そのため(ボディサイズが)小さくて、かつ我々が必要とする水や酸素ボンベ、麻酔といった簡単な診療ができる機材を積むためには何がいいのか色々と検討した。そのなかでカングーがいいなと思っていたところで先ほどの経緯があり、大極社長の鶴のひと声で決まった。これでやっと我々の夢が実現するんだと安堵した」と、ドクターカーにカングーを選んだことについて説明した。

 そしてイオンモール幕張新都心 ペットモールについては、「千葉県最大のペットモールであり、ここの病院は24時間営業している。夜中も診療ができるということで千葉県全域はもちろんのこと、東京からも患者様がいらっしゃる」と述べるとともに、「ドクターカーは平時は往診に使わせていただたいと考えている。また、大きな災害等があったときにはこのクルマを駆け付けさせ、簡単な診療や移送、トリミングなどに活用したいと思っている。また、イオンペットの本社は市川市にあり、先日市川市と災害時の防災協定を締結した。市川市に所在する避難所に対してペット同伴の避難所を作り、そこに我々の物資や人的資源を送るといった支援をさせていただき、災害時のペットとの同行避難をスムーズに行なえるような協定も締結している。そうしたときにもドクターカーが役立つのではないかと考えている」と、ドクターカーの活用方法について紹介を行なった。

4速ATのカングーをベースとするドクターカー。エクステリアにはドクターカーであることを示すデカールが貼られている
ドクターカーの内部。超音波検査が行なえるほか、医療用酸素ボンベを搭載することで呼吸困難時に酸素療法を実施し、状態の安定化を図ることができるという
車内には200kg以上の医療機器などが載せられている
ペットを移動させる際のケージなど。ケージは車内に固定できるなど、安全面も考慮した作りになっている
救急ボックスは取り外しが可能で、車内はもとより外でも治療作業などが行なえる
タープを付けて診察やトリミングなどを行なう。スペースが限られる車内でこうした作業を行なうのは難しかったが、タープを付けることで立ちながらの作業を行なえるようになり、作業効率が上がったという