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“パンクレス&メンテフリー”、2019年の実用化を目指すブリヂストンサイクルのエアフリーコンセプト自転車に乗ってみた
両輪駆動のデュアルドライブ自転車も体験
2017年10月23日 06:00
- 2017年10月17日 開催
ブリヂストンサイクルは10月17日、ブリヂストンの中期経営計画(MTP)発表会に合わせて、「エアフリーコンセプト」タイヤ装着自転車と、両輪駆動の電動アシスト自転車の試乗会を開催した。
「エアフリーコンセプト」タイヤは、“パンクレス&メンテフリー”を目指して開発中のタイヤで、2011年11月29日に初代のモデルを開発発表。同年開催された「第42回 東京モーターショー」で一般公開された。
その後、2013年開催の「第43回 東京モーターショー」で第2世代を公開。リサイクル(環境)、ノンパンク(安全)、省メンテナンス(快適)を高次元で達成することを目標に開発が進められている。
この第2世代までは、4輪車をターゲットとしていたように見えたが、2017年の4月に発表された第3世代「エアフリーコンセプト」タイヤでは、2019年の実用化を目指し自転車用タイヤとして開発。開発の意義は従来と同様に、空気を使わないほかリサイクル可能な素材を用いることで“パンクレス&メンテフリー”を掲げており、各地で試乗会を実施することでユーザーの意見を取り入れつつ、2年後の実用化を目指している。
実用化を目指した第3世代の「エアフリーコンセプト」タイヤ
この「エアフリーコンセプト」タイヤは、見て分かるとおりフラットなグリップ面と樹脂製のスポーク部から構成されている。樹脂製のスポーク部は内周と外周で異なっており、外周のスポーク部で空気入りタイヤのサスペンション機能を受け持つ構造になっている。
ブリヂストンサイクルのスタッフによると、前輪は柔らかく、後輪はより硬くなっているとのこと。これは、自転車の後輪は駆動力がかかるため、その駆動力を受け止めるための工夫だという。
実際に乗ってみると、思ったより普通に走ることができる。ペダルをこげばしっかり駆動がかかり、ブレーキも不安がない。コーナリングも狭い試乗会場では問題なく、通常の自転車同様に乗ることができた。その形状から、高速コーナリングは不得手と思われるものの、それについては未確認。一般的に使う分には、見た目ほど違和感のないタイヤに仕上がっている。
ただ、乗り心地に関してはもう少し工夫の余地はあるようで、現在の自転車のフレームは、この「エアフリーコンセプト」タイヤにマッチしたものではなく、通常の空気入りタイヤ用のものだという。たわむ樹脂スポークを使用しているものの、やや剛性感が強く、軽快車といったジャンルに用いるには、もう一段のソフトさが欲しいようにも思った。もちろん、ブリヂストンの「エクステンザ」など高圧で使う700Cのロードバイク用タイヤに比べると乗り心地は格段によく、スポーク形状次第で剛性の調整は行なっていけるのだろう。
気になるのは価格や、実際の利用について。トレッド面はそれほど厚くなく、すり減った場合に丸ごと交換費用がかかるのは現実的ではないだろう。この点については、「トレッド面の張り替えを行なうリトレッドという方法もあるし、リースという方法もある」とのこと。いずれにしろ、従来の売りっぱなしという自転車のビジネスモデルとは異なるものになることが予想されるが、パンクしないという圧倒的なメリットがあるため、2年後の実用化時までには新しい自転車ビジネスの姿を見ることができるかもしれない。
両輪駆動のデュアルドライブ電動アシスト自転車
もう1台試乗したのは、すでに発売されている「両輪駆動のデュアルドライブ電動アシスト自転車」。電動アシスト自転車が自転車の1つのジャンルとなって久しいが、ブリヂストンサイクルの提案する電動アシスト自転車は、前輪をモーターで、後輪をベルトドライブで駆動するというデュアルドライブ電動アシスト自転車になる。
日本で販売される電動アシスト自転車は、規制により10km/h未満は人のこぐ力を1とした場合、アシストトルクは2と定められており、10km/h以上は24km/hに向かってアシストトルクを削減。24km/h以上はアシストトルクをゼロにすることが定められている。
そのため、アシストトルクの部分では競争はないが、それ以外の重量や航続距離、使い勝手、デザインなどで各社は個性的な取り組みを行なっており、とくにチャイルドシート装着車では電動アシストのメリットが出やすいため、市場拡大をけん引する車種となっている。
ブリヂストンサイクルが電動アシスト自転車の市場に、新たな価値として投入したのが、試乗した両輪駆動のデュアルドライブ電動アシスト自転車になる。
記者の前輪モーター駆動の電動アシスト自転車の試乗経験は、以前三洋電機から発売されていた「エネループバイク」を少しといった程度。クルマでもそうだが、前輪に駆動力が配分されているのは、発進能力も向上するし、1つのタイヤの負荷も減って安定性も向上する。ブリヂストンのシステムは、発進時は前66:後33から始まって、10km/h未満その前後トルク比を維持。10km/h以上は、24km/hへ向けて前輪トルクを徐々に減らし、24km/h以上は前0:後100となる前後可変トルク全輪駆動システムと思えば、凄そうなメカニズム感が漂う。
実際に試乗してみても、発進時に“ぐっ”と前輪から引っ張られ、発進も容易。前輪(と後輪)にはチャイルドシートが取り付けられており、子供を乗せた際の発進が楽になるのは容易に想像できる。
よいことずくめの前輪モーター駆動だが、自転車の場合は雨などで前輪がスリップしてしまうと最悪転倒につながってしまう。この点についても配慮してあり、前輪のスリップを検知すると、すぐに前輪の電動アシストを止める機構を装備しているとのことだ。
今回の試乗のメインは、エアフリーコンセプト自転車だったが、デュアルドライブ電動アシスト自転車では、最新の電動アシスト機構を体験することができた。自転車の多様性を感じることができ、とくにエアフリーコンセプト自転車については、シェアライドなどタイヤ交換を含めた新しいビジネスモデルの登場が楽しみだ。