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【NGK 鈴鹿2&4】スーパーフォーミュラ、日本人初F1表彰台の鈴木亜久里氏が開幕戦、第5戦、最終戦の場内放送の解説を担当
第6戦岡山のレースフォーマット決定、
2018年4月21日 16:09
- 2018年4月21日 発表
2018年 全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦となる「2018 NGK スパークプラグ 鈴鹿2&4レース」が、4月21日~22日の2日間にわたって開催されている。開催前日の4月20日には練習走行が、21日土曜日には予選が、22日日曜日に決勝レースが行なわれる。
その予選に先立ってスーパーフォーミュラのプロモーターであるJRP(日本レースプロモーション)の定例記者会見(サタデーミーティング)が行なわれ、JRP 代表取締役社長 倉下明氏、同 取締役 上野禎久氏が登壇。9月8日~9日に岡山国際サーキットで開催される第6戦のフォーマットがノックアウト方式の予選と250kmの1レースという形になることが明らかにされた。
これにより、(距離の長短は別にして)全レースがノックアウト形式の予選+1レースというフォーマットに統一され、シリーズの全戦が同じフォーマットで行なわれるようになったのは2009年のシリーズ以来だとJRPでは説明している。
また、昨年までサーキットにおける場内解説を担当していた本山哲氏が、今シーズンはB-Maxチームの監督に就任したため空席となっていた場内解説の発表が行なわれた。今回の開幕戦鈴鹿、第5戦もてぎ、最終戦鈴鹿に関しては日本人として初めてF1の表彰台を獲得した元F1ドライバーで、スーパーフォーミュラの前々身となる全日本F3000選手権の1989年のシリーズチャンピオンでもある鈴木亜久里氏が担当することが明らかにされた。
岡山国際での第6戦はノックアウト予選+1レース制に、Q3ではオーバテイクボタンの利用を許可
倉下氏:いよいよ今シーズンも開幕を迎えて、多くのお客さまが来場されている。今後も一人でも多くのお客さまに足をお運びいただけるように努力を続けて行きたい。
上野氏:未定だった岡山のフォーマットに関しては、250kmの1レースで予選はノックアウト形式という通常の形に戻して開催する(筆者注:2017年までの岡山でのレースは2レース制になっていた)。全戦が1つのフォーマットになるのは2009年以来となり、1つのフォーマットで覇を競う形のシリーズにしていきたい。今回から全戦2スペックを導入した中で、SF14のポテンシャルを引き出すレースをお客さまに提供していきたい。
また、岡山の予選ではノックアウト形式の予選のQ3で、オーバテイクシステムを利用できるようにする。まだ新しいソフトタイヤの2スペック制を導入してからの予選はやっていないので、鈴鹿でのタイムは見えていないが、SF14の持てるパフォーマンスが発揮できるルールを魅力としてお客さまにアピールしていきたい。
参考までに岡山国際サーキットのコースレコードは、2分10秒218という1994年のF1パシフィックGPでウィリアムズのアイルトン・セナ選手が出したタイムで、四半世紀が経過しているがまだ破られていない。これまでのスーパーフォーミュラでのタイムは石浦選手が出した2分12秒429というタイムで、オーバーテイクシステムの導入と、ソフトタイヤのポテンシャルで、それが破られる可能性があるのではと考えており、JRPとしてもそうしたSF14の速さをお客さまにアピールしていきたい。
──オーバーテイクシステムをQ3で使えるのは岡山のみか? そしてその運用方法(どのくらい使えるのか)は?
上野氏:オーバーテイクシステムをQ3で使えるのは岡山のみだ。運用に関しては現在検討中で決まっていない。エンジンサプライヤーに確認したところ、エンジンのライフを考えても1分10秒間開けっぱなしでも大丈夫とのことだったが、安全上の問題もあるのでおそらくは2回ぐらいの利用になるのではないだろうか。過去のレースを見ていても、コーナーで使っている選手、ストレートで使っている選手と様々な使い方があるので、今後検討していきたい。
開幕戦、第5戦、最終戦の場内解説は、日本人初F1表彰台の元F1ドライバー鈴木亜久里氏が担当
倉下氏:昨年までは場内放送の解説に、本山哲氏にお願いしていたが、今年から監督に就任されたということでどうしようかと思っていたところ、今年は福住仁嶺選手や松下信治選手などの若手が新しい舞台へと羽ばたこうとされているということで、鈴木亜久里氏にお願いすることにした。
鈴木亜久里氏(サプライズゲストとして登場して):鈴木亜久里です、元F1ドライバーやってました、ご存じないか方もいるかと思って(笑)。
これまでも随分前にF1の解説、そしてFormula Eの解説をやっていたが、随分そういう仕事はしていないので、何をしゃべったらいいのかよく分からない(笑)。福住や松下といった若いドライバーがスーパーフォーミュラを戦うと聞いて、そういう若い子達の走りを見たいと思っていたところで、お引き受けることにした。ルールの方もちょっと勉強してきたが(笑)、ヨーロッパでやっているF2と同じ部分もあり、違う部分もある。欧州はこうだよということを含めて解説していきたい。
──スーパーフォーミュラについてどう考えているか?
鈴木氏:クルマ自体のパフォーマンスは僕らが乗っていた時より前々高い。そうした魅力を世の中の人に知らしめていく、そこをもっとうまく伝えていければ面白いんだということがわかってもらえる。ただ、タイヤ2セットを使って300kmのレースというのは、作戦が難しくなるし、両方のタイヤの使い方が鍵になる。300kmのレースが終わったときにどっちがあっていたのか、そういうことを解説していきたい。F1の地上派でやらなくなったので、モータースポーツ自体が取り上げられることは少なくなったが、モータースポーツ好きな人は依然として多いと思うので、そういう人たちに伝えていきたい。
──欧州で行なわれているF2のレースとSFの違いについてどう思うか?
鈴木氏:F2は2レース制で、土曜はタイヤを変えるレースで、日曜はリバースグリッドのスプリントレース。それに対して今回のレースは300kmとなっていいる。F2だと作戦でうまく変えられる部分があるけど、このレースは2つのタイヤでワンストップで行く、チームとしてはそこが難しい部分。1つのタイヤのパフォーマンスが、100kmもたないと2ストップになってしまう。そこが見ている人には難しい部分かもしれない。
F1もそうだけど、3回も4回もピットインすることになると、見た目の順位と本当の順位のギャップが大きくなってしまう。川井君みたいな人はロスタイムが何秒とかデグラデーションがとか分かっているからいいいと思うけど、一般のテレビで見ている人たちはそうじゃない。そういう課題はあると思う。
僕も分からないので、ピエールが分かってくれればそれでいいと思っている(笑)。もちろん、スタートして行ったっきりも退屈なので、どっかで1回ぐらいはドラマがあるそういうレースがいいと思う。
──1988年に全日本F3000選手権でチャンピオンを取ったけど、その時と今の違いは?
鈴木氏:お客さんはいっぱい居た(笑)。F3000であってもお客さんはいっぱいいたし、あの当時はもっと個性の強いドライバーがいっぱい居たレースだった。満タンでタイヤ交換なしだったけど、レース距離は200kmぐらいで見る方も飽きなかった。300kmとなるとF1やGTと同じぐらいになって、ドライバーとして走るのも大変だ。
──今年F2と掛け持ちで参戦する福住仁嶺選手についてどう評価しているか
鈴木氏:彼はクルマを速く走らせるセンスを持っている。クルマを無理なく走らせることができるセンスを持っているが、まだ経験が少ないのは事実。現代のレーシングシーンではコンピュータ技術が進化していてそれを利用してのセットアップが一般的だが、それでもドライバーの経験によるフィードバックが必要で、そこにまだ課題がある。しかし、キャラクターとしても好かれるタイプだし、欧州でもすぐに友人を作ったりと、センスはもっている。上に上がっても問題なく走ることができるので、今年のレースを取りこぼしなくやっていけば上に行けるのではないか。
──どんな解説をしていくか?多くのドライバーなどではSUPER GTのGT500を走っているドライバーで顔なじみだと思うが……。
鈴木氏:今日ここに来る前に妻に「アナタは偏ることが多いから偏った応援はダメだ」と注意されてきたが、走っているドライバーは一度はARTAに関わったことがあるドライバーがほとんどなので、偏りようがないのが現実(笑)。お客様には一人一人のドライバーがプロとしていいレースをするところを見て欲しいので、その中で見えてくるキャラクターなどについても少しずつ話していきたい。