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【インディ500 2018】インディ500恒例のピットストップチャレンジは9号車 スコット・ディクソン選手が優勝

ディクソン選手のドキュメンタリー映画「Born Racer」が米国で公開予定

2018年5月27日(現地時間) 決勝開催

12チームでピット作業の速さを競うピットストップチャレンジ。2チームずつの勝ち抜き戦を行なっていく

 北米の最高峰モータースポーツ・シリーズ「インディカー・シリーズ」第6戦となる「第102回 インディアナポリス500マイル・レース」(102ND RUNNING OF THE INDIANAPOLIS 500、インディ500)が、米国インディアナ州の州都インディアナポリス市にあるインディアナポリス・モータースピードウェイで5月15日~27日の12日間にわたって開催されている。

 5月25日(現地時間)には、毎年決勝レース前々日の金曜日に行なわれるミラー・ライト・カーブ・デイが開催され、決勝に向けた最後のフリー走行が11時から行なわれた。

 午後には各種の催し物が行なわれ、その中でも最も盛り上がったのが「インディ500ピットストップチャレンジ」と呼ばれるイベント。参加チームのうち12台が選抜され、トーナメント形式でピットストップにかかる時間を競うというルールで行なわれた。

マシンも実際のレースマシンを使って行なう
スタッフもチームのカートで移動

 その決勝に残ったのは、なんと今回のインディ500で不運の予選落ちとなってしまった、5号車 ジェームス・ヒンチクリフ選手(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ、ダラーラ・ホンダ・ファイアストン)と、9号車 スコット・ディクソン選手(チップ・ガナッシ・レーシング、ダラーラ・ホンダ・ファイアストン)の2台だった。

チップ・ガナッシ・レーシングが貫禄の優勝

 インディ500ピットストップチャレンジは、毎年ミラー・ライト・カーブ・デイに行なわれているイベントで、1977年が初開催。2008年大会が降雨で中止になった以外は毎年行なわれている伝統のイベントになっている。今年で41回目を迎え、過去の優勝者にはチーム・ペンスキー、チップ・ガナッシ・レーシングといった競合が並ぶという、速い車両を持っているチームは、ピットストップ作業も速いということを証明するようなイベントとなっている。

 ルールはシンプルで、実際にエンジンをかけた実車を、ドライバーが運転してスタートし、ピットボックスでタイヤ交換を実施。ゴールを目指してかかった時間を競うという競技となる。このため、ドライバーのスタート技術も重要になるし、もちろんピットにおけるメカニックのピット作業の迅速さも大事になる。ドライバー/クルー双方の技術が問われるというシンプルながら、なかなか奥が深いイベントだ。

 12台がこのピットストップチャレンジに招待されており、うち4台はシード権を持ちトーナメント形式で優勝を目指すことになる。この優勝賞金は、5万ドル(日本円で約550万円)という結構な額の賞金がかかっており、どこのチームも本気で優勝を狙うイベントになっている。

 今回のインディ500ピットストップチャレンジで決勝に残ったのは、5号車 ジェームス・ヒンチクリフ選手、そしてこのピットストップチャレンジではチーム・ペンスキーと並んで優勝の常連でもあるチップ・ガナッシ・レーシングの9号車 スコット・ディクソン選手の2台だった。

 カーブ・デイ記事でも紹介したとおり、ヒンチクリフ選手は2018年のインディ500ではまさかの予選落ちを喫しており、ピットストップチャレンジ前に行なわれた最後の練習走行にも参加しておらず、このピットストップチャレンジにだけ参加しているというまさかの状況。つまり、主催者もヒンチクリフ選手が予選落ちなどする訳がないだろうと考えて、このピットストップチャレンジに招待したと考えることができるだろう。だが、それをはねのけて、決勝まで上がってくるヒンチクリフ選手とシュミット・ピーターソン・モータースポーツもさすがだと言える。

決勝戦のレース2は手前、5号車 ジェームス・ヒンチクリフ選手が勝利
決勝戦のレース3はスコット・ディクソン選手がわずかに早くクルマを送り出して優勝。レース3のタイム

 決勝戦では、3レース行なわれ、レース1はディクソン選手が勝ち、場所を入れ替えて行なわれるレース2ではヒンチクリフ選手が逆襲して勝利。イーブンとなったところで、再び場所を入れ替えてレース3が行なわれ、今度はディクソン選手が11.943秒、ヒンチクリフ選手が12.495で約0.5差をつけてディクソン選手が優勝した。

優勝したディクソン選手とチップ・ガナッシ・レーシングのクルーが記者会見に臨む

 なお、優勝したディクソン選手は、2018年末までに自身のドキュメンタリー映画となる「Born Racer」の公開が米国で予定されており、それに関連してミラー・ライト・カーブ・デイにおいて記者会見を実施。その予告編が公開された。

映画「Born Racer」の記者会見に臨む、スコット・ディクソン選手
映画「Born Racer」の記者会見に登壇したチップ・ガナッシ・レーシングのオーナー、チップ・ガナッシ氏
スコット・ディクソン選手のドキュメンタリー映画「Born Racer」予告編