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ボルボ、日本市場での使い勝手を考慮した新型ワゴン「V60」発表会

対向車との衝突被害を回避、または軽減する新機能採用

2018年9月25日 開催

新型「V60」発表会で登壇した3人

 ボルボ・カー・ジャパンは9月25日、同日に発売した新型プレミアム・ミッドサイズステーションワゴン「V60」の発表会を都内で開催した。

 V60は1990年代に登場して“ボルボ・エステート”の人気を定着させた「850」「V70」などの後継モデル。2代目となる今回のフルモデルチェンジでは、開発当初から日本市場での使い勝手に配慮して、全幅を1850mmに収めることを開発要素の1つに設定して設計が行なわれたという。価格は499万円~819万円。

 このほかV60についての詳細は、関連記事の「ボルボ、新型エステート『V60』日本導入。『T5』は499万円から」「見ても乗ってもよし。ボルボの最新“エステート”『V60』に速攻試乗」などを参照していただきたい。

V60 T5 Inscription
ボディサイズは4760×1850×1435mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2870mm。車両重量は1700kg(展示車はオプションの電動パノラマ・ガラス・サンルーフを装着しており1720kg)
新世代プラットフォーム「SPA(スケーラブル プロダクト アーキテクチャ)」を採用して先行して発売されているプレミアムエステート「V90」などで採用されているデザインキーの「トールハンマー」(LEDデイタイム・ランニング・ライト)などを備えつつ、ヘッドライトやフロントグリル、ロアグリルなどの形状に軽快感を与え、個性化しているという
リアコンビネーションランプの形状もデザインアイコンの1つ
最高出力187kW(254PS)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgfm)/1500-4800rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴ターボ「B420T23」型エンジンを搭載
タイヤサイズは235/45 R18。アルミホイールはダイヤモンドカット/ブラックの10マルチスポークを標準装着
ラゲッジスペース容量は529L。フロアボードに直立するセパレーターを備えるほか、フロア下も収納スペースとなっている
パワーテールゲートは足下でのハンズフリー操作でも開閉可能
ラゲッジスペース右側面に「ワンタッチ分割可倒式シートバック」のスイッチを設定。スイッチを押してシートバックを前方に倒すと、最大1141Lまでラゲッジスペースが拡大する

「City Safety」に新機能の「対向車対応機能」追加

ボルボ・カー・ジャパン株式会社 代表取締役社長 木村隆之氏

 発表会では最初にボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長 木村隆之氏が登壇。木村氏は日本におけるボルボの販売状況について語り、2018年は9月22日現在でこれまでに販売実績で対前年比107%となっているが、現状ではバックオーダーが増えており、受注実績では対前年比149%と好調であるとアピール。同日にボルボの主力モデルである新しいV60の販売を開始することから、2018年通年では1996年以来、22年ぶりとなる年間2万台以上の受注を獲得できる見込みであると語った。

 木村氏は「“ボルボといえばワゴン”と、ボルボを代表するボディタイプであると認知していただいており、実際に累計の販売台数でも日本国内で23万台を売っております。このワゴンというボディタイプは、われわれボルボのユニークなブランドのイメージやポジショニングの屋台骨になっていると私は考えております」とコメント。また、新型V60でアピールしたいポイントは「独自の正面衝突対策」「新車5年保証(走行距離無制限)」「PHEVラインアップ拡大」の3点だとした。

2018年の約9か月が好調に推移し、受注台数の実績は対前年比149%を達成。木村氏は「お待たせしてしまっているお客さまには申し訳ありません」としつつ、2018年通年では22年ぶりの年間2万台以上の受注を獲得する見込みであるとアピールした

 ボルボがこだわる安全面の強化となる「独自の正面衝突対策」では、独自の先進安全・運転支援技術「IntelliSafe」の衝突回避機能「City Safety」に、新機能となる「対向車対応機能」を追加。木村氏は日本国内で発生している死亡につながる交通事故で、正面衝突が30.7%と最も構成比が高くなっていることを取り上げ、これに対する有効なアクションを取れる機能になると説明。これまでのラインアップモデルでも採用してきた「オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)」「インターセクションブレーキ」と合わせて対向車に対する安全性を高めていると解説した。

 2つめは最良の安心を提供する「新車5年保証(走行距離無制限)」。これまで3年だった新車保証の期間を走行距離無制限で5年に拡大したこの策は、輸入車ブランドとして唯一のものになると語った。

 3つめは“エコパワートレーン”の展開についてとなり、2019年春以降に2種類のPHEV(プラグインハイブリッド)モデルをラインアップに追加。既存モデルでも採用している「T8 Twin Engine AWD」に加え、「よりアフォーダブルで戦略的な価格のモデル」として「T6 Twin Engine AWD」をV60向けに用意。木村氏は「PHEVは将来のエコパワートレーンの本命と言われながら、今はまだ普及率が低い状態で、これを少しでも変えていこうということで、戦略的な価格設定で1人でも多くのお客さまに触れていただこう、体験していただこう、乗っていただこうという戦略で1歩踏み出していきたいと思います」と述べた。

 また、ラインアップについては、日本市場の販売モデルについて「このV60からディーゼルは設定しないと決定した」と木村氏はコメント。今後はV60より小さなモデルについてもディーゼルモデルは廃止していく方針で、一方で「XC60」や「90シリーズ」といった車重が重いモデルについては、燃費面などの影響も考慮してディーゼルエンジンを継続搭載していくとした。

 このほかに木村氏は、V60のボディサイズで全幅が1850mmとなっていることについて言及。先代のV60では全幅が1865mmで、欧州市場では全幅の上限に関する要件はとくにないが、日本市場では大きすぎると立体駐車場が利用できなくなったり、数値的に入ってもマンションなどの立体駐車場で車庫証明が下りないといった事情があることから、新型V60では全幅を1850mmに決めた上で開発がスタートしたという。「まさに日本のにおけるワゴンのポジショニング、重要性を考えて大英断をしてくれたのだと思っております」と木村氏は紹介した。

新型V60でアピールしたい3つのポイント
日本国内で発生している交通死亡事故では、死亡原因の3割以上が正面衝突
新型V60では「City Safety」に新機能「対向車対応機能」を追加
新型V60は2種類のPHEV(プラグインハイブリッド)をパワートレーンに設定。「T6 Twin Engine AWD」は「よりアフォーダブルで戦略的な価格のモデル」との位置付け
以前は高い人気を誇っていた欧州市場でもディーゼルエンジンは減少傾向となっており、これによって新車購入した顧客が手放す時の価値まで考慮してディーゼルモデルを導入しない決断をしたという
新型V60のモデルラインアップ。PHEVモデルは2019年3月以降に納車開始となり、新しいV60の供給が落ち着くころの2019年7月ごろに「T6 Twin Engine AWD Momentum」が追加される
PHEVの普及率が低い現状を変えていきたいと語る木村氏

10km/hの減速で衝突時のエネルギーを25%低下させることが可能

ボルボ・カーズ・セーフティ・センター ディレクター/シニア セーフティ テクニカル アドバイザー ヤン・イヴァーソン氏

 木村氏による概要解説に続き、ボルボ・カーズの開発担当者2人による「セーフティプレゼンテーション」「デザインプレゼンテーション」が行なわれた。

「セーフティプレゼンテーション」はボルボ・カーズ・セーフティ・センター ディレクター/シニア セーフティ テクニカル アドバイザー ヤン・イヴァーソン氏が担当して、ボルボが目指している「新しいボルボ車に搭乗中の交通事故による、死亡者や重傷者を2020年までにゼロにする」という安全キャンペーン「セーフティビジョン2020」などについて解説。

 また、新型V60から新たに採用された「対向車対応機能」はブレーキによって安全性を高めるシステムで、直線の道路を走行しているときに、対向車線から先行する遅い車両を追い抜こうとこちら側の車線に出てきた車両をレーダーとカメラが補足。そのままでは衝突すると車両が判断した場合に、まず電動シートベルトを巻き上げて乗員の体を適正な位置に移動させてエアバッグがしっかりと効果を発揮できる状態を作り上げ、フルブレーキングで瞬時に10km/hほど減速。10km/hという数字だけを見ると少なそうに感じられるところだが、イヴァーソン氏はスピードが減るほど事故の重大性が軽減され、仮に80km/hで走行していた車両が70km/hに減速すると、衝突時のエネルギーを25%低下させることが可能だと説明。これによって事故が発生した場合でも状況が大きく改善されることになるとした。

現在販売しているボルボ車では、「セーフティビジョン2020」の取り組みを進めたことで事故発生時の重傷を負うリスクが0に近付いているとイヴァーソン氏はアピール
スウェーデン国内における事故での重傷者発生の要因。前出の日本のグラフとは内容がかなり異なっている
1959年の「3点式フロントシートベルト」から続くボルボの安全装備の歴史。新たに「対向車対応機能」が加わった
「対向車対応機能」の機能と作動要件
ステアリングのサポートで走行車線に復帰させる「オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)」
日本での「右直事故」などのシーンでブレーキを働かせ、衝突回避をサポートする「インターセクションブレーキ」
ボルボ・カーズ・USA デザイン部門シニアディレクター T.ジョン・メイヤー氏

「デザインプレゼンテーション」ではボルボ・カーズ・USA デザイン部門シニアディレクター T.ジョン・メイヤー氏が新型V60のデザインについて説明。

 メイヤー氏は新しいV60がより車高の低い印象を与え、しっかりとしたスタンスで「ドライバーオリエンテッドなクルマ」だと表現。また、同じボルボでワゴンボディを持つ兄貴分のV90と比較して、同じようにヘッドライト内にT字型の“トールハンマー”を設定しているものの、V90ではヘッドライト内に収められていることに対し、V60ではヘッドライトをフロントグリル側に突き抜けてバンパーに食い込むデザインとしており、ヘッドライト形状自体も落ち着き感を演出したV90と比べ、V60では躍動感あるスタイルを採用して若々しさやアスレティックテイストを表現しているという。また、フロントグリルの縦格子もゆるやかにアーチを描くV90とは異なり、V60では2か所の折り目を与えてテクニカルなクオリティを持つクルマであると解説された。

 技術的な内面についても解説され、V60ではエンジニアチームとの連携によってリアドアの下側ヒンジを最大限低い位置にレイアウト。これによってドアパネルを大きく内側に湾曲させることが可能になり、ドア断面がS字形状となり、ディテールに塊感や深みが出る一方でスカンジナビアンデザインならではのシンプリシティも強調できるとメイヤー氏は解説した。

V90とV60のデザイン比較
下側ヒンジをこれまで(写真左)より低い位置(写真中央)に移動させることで、ドアパネルを大きく内側に湾曲させることが可能になった
V60開発時に作成された内外装のスケッチ
T5 Inscriptionのインパネ。ステアリングは全車本革巻きとなる
12.3インチのデジタル液晶ドライバー・ディスプレイを全車で採用
インテリアパネルに「ドリフトウッド」を装着
センターコンソールに9インチのタッチスクリーン式センターディスプレイを設定
シフトセレクターの後方に、回転操作によるエンジンスタート&ストップスイッチやドライブモードのセレクトダイヤルをレイアウト
T5 Inscriptionはパーフォレーテッド・ファインナッパレザーシートを採用。シートカラーは写真の「ブロンド」のほか、「アンバー」「チャコール」の3種類がボディカラーに合わせて設定される
前後ドアのドアトリム