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【WEC 第4戦 富士6時間】LMP1最後尾からスタートした小林可夢偉選手の7号車 Toyota TS050-Hybridが地元優勝。トヨタの1-2フィニッシュ
2018年10月14日 17:12
- 2018年10月12日~14日 開催
「2018-2019 FIA 世界耐久選手権 第4戦 富士6時間耐久レース(2018-2019 FIA World Endurance Championship Round 4 6 Hours of Fuji)」(以下、WEC富士)が、10月12日~14日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。
11時にスタートしたレースは、6時間後の17時にゴール。各車がチェッカーフラッグに迎えられた。総合優勝は、予選タイムを抹消されてLMP1の最後尾からスタートすることになった7号車 Toyota TS050-Hybrid(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組、MI)。序盤にセーフティカーがでたタイミングで、ポールポジションからスタートした8号車 Toyota TS050-Hybrid(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組、MI)との差を縮め、その後は順調に僚車との差をマネージしてそのまま優勝した。ル・マン24時間レースに優勝した8号車が2位、3位は1号車 Rebellion R13-Gibson(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ブルーノ・セナ組、MI)。
世界の自動車メーカーが参戦して熱い戦いが繰り広げられているLMGTE Proは最終ラップまで激しい争いが続き92号車 Porsche 911 RSR(ミカエル・クリステンセン/ケヴィン・エストル組、MI)が82号車 BMW M8 GTE(トム・ブロンクビスト/アントニオ・フィリックス・ダ・コスタ組、MI)をわずかな差で振り切って優勝した。
予選タイム抹消でLMP1最後尾からスタートした7号車 Toyota TS050-Hybridが逆転優勝
11時に富士スピードウェイで始まったレースは、前日の夜から決勝日の朝まで降り続いた雨の影響で、ウェット路面という状態で始まった。このため、レースは通常は1周のフォーメーションラップの後スタートが切られるが、今回はドライバーが慣れる時間、そしてタイヤを温める時間を確保するために2周のフォーメーションラップが行なわれた。なお、WECの歴史の中でセーフティーカー先導スタートではなく、フォーメーションラップが2周行なわれたというのは初めてのことだ。
そうした中で順調なスタートを切ったのはポールポジションからスタートを切った8号車 Toyota TS050-Hybrid(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組、MI)。8号車は順当に2位以下との差を付けて、独走という状態を作っていく。そうした中、前日の予選のタイムを抹消されLMP1クラスの最後尾からスタートすることになった7号車 Toyota TS050-Hybrid(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組、MI)も、2周目の終わりまでに8号車を除くLMP1の車両をすべてオーバーテイクし、2位に浮上した。
ところが、レースが30分を迎えようかという段階で、LMGTE Amの車両がメインストレートでリアを大きく破損する事故が発生し、それにより破片がメインストレートに散らばってしまったため、これを排除するためにセーフティーカーが導入された。その中で、8号車トヨタ、7号車トヨタのどちらもピットに入ったため、セーフティーカー中にはピットに入らなかったジェンソン・バトン選手の11号車 BR Engineering BR1 - AER(ミカエル・アレシン/ヴィタリー・ペトロフ/ジェンソン・バトン組、MI)がトップに立った。結局レースの中で、トヨタ以外の車両がトップに立ったのはそれだけで、その後11号車がピットに入り、再びトヨタ2台がトップに立つと、以降は7号車の方が8号車に先行する展開になり、10~20秒程度のリードを維持したまま終盤へと向かっていった。
最初のセーフティカーと、一度フルコースイエロー(F1で言うところもバーチャルセーフティカー)が導入されたことを除けば、非常に波乱の少ないレースになっており、トヨタ2台による争いが淡々と続くレースになった。3位は1号車 Rebellion R13-Gibson(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ブルーノ・セナ組、MI)、3号車 Rebellion R13-Gibson(マシアス・ペシェ/トーマス・ローラン/グスターボ・メネーゼス組、MI)、11号車 BR Engineering BR1 - AERの争いになったが、まず3号車 Rebellion R13-GibsonがTGRコーナーを回りきったアウト側にクラッシュして脱落。3号車はポイント争いで2位につけていただけに非常に痛いリタイアになってしまった。その後、11号車もマシントラブルが発生し、こちらも11周遅れになってしまい、こちらも3位争いから脱落した。
結局2台のトヨタによるトップ争いは、残り35分の段階でまず2位の8号車 トヨタがピットインし、給油だけのスプラッシュ&ゴーでピットアウト、ドライバーは中嶋一貴選手。そしてその次の周に7号車トヨタがピットイン、こちらは給油とドライバー交代(ロペス選手から小林可夢偉選手に)が行なわれ、それを終えてコースに戻ると、僚車となる8号車に引き続き約20秒のリードを維持したままコースへと戻っていった。
これにより、残り30分、トップを走る7号車の小林可夢偉選手と8号車の中嶋一貴選手という2人の日本人エースの戦いとなったが、7号車を操る小林可夢偉選手が追い上げる中嶋一貴選手を振り切って優勝した、7号車トヨタは今シーズン初優勝。3位はアンドレ・ロッテラー選手が操る1号車 Rebellion R13-Gibson、4位は前を行くジェームス・ロシター選手が操る4号車 Enso CLM P1/01 - Nismo(オリバー・ウェッブ/トム・ディルマン/ジェームス・ロシター組、MI)を残り15分で逆転したジェンソン・バトン選手が操る11号車。4号車は5位となった。
ゴール時には1位小林可夢偉選手、2位中嶋一貴選手、3位アンドレ・ロッテラー選手、4位ジェンソン・バトン選手、5位ジェームス・ロシター選手と、日本人ドライバーと日本でのレース経験が多いと外人ドライバーというなかなか興味深い顔ぶれでチェッカーを迎えた。
LMGTE Proは最終ラップまで92号車ポルシェと82号車BMWが数秒以内の熱いレース
LMP2はポールポジションからスタートした31号車 Oreca 07-Gibson(ロベルト・ゴンザレス/パストール・マルドナド/アンソニー・デビッドソン組、MI)がレース序盤で遅れ始め、最終的にはフロントサスペンションを交換するために長時間ピットに止まることになったため脱落。これによりLMP2上位争いで常連のジャッキー・チェン・DC・レーシングの37号車 Oreca 07 - Gibson(ジャズマン・ジャッファー/ウェイロン・タン/ナビル・ジェフリー組、DL)、38号車 Oreca 07 - Gibson(ホー・ピン・タン/ガブリエル・オーブリー/ステファン・リケルメ組、DL)という2台、そして36号車 Alpine A470 - Gibson(ニコラ・ラピエール/アンドレ・ネグラフォン/ピエール・ティリエ組、DL)の3台で争われた。
この3台がピットストップの度に順位を入れ替えて激しいレースを展開したが、最終的に優勝したのは37号車 Oreca 07 - Gibson、2位に38号車 Oreca 07 - Gibsonで、ジャッキー・チェン・DC・レーシングが1-2フィニッシュとなった。
LMGTE Proもスタートから上位の車のほとんどが同一周回で激しいレースが繰り広げられた。昨日の予選でポールポジションを獲得した2台のアストン・マーティン勢は序盤で順位を下げ、レースは91号車 Porsche 911 RSR (リヒャルト・リーツ組、MI)、92号車 Porsche 911 RSR(ミカエル・クリステンセン/ケヴィン・エストル組、MI)という2台のポルシェ、82号車 BMW M8 GTE(トム・ブロンクビスト/アントニオ・フィリックス・ダ・コスタ組、MI)と81号車 BMW M8 GTE(マーティン・トムチェク/ニッキー・キャッツバーグ組、MI)という2台のBMW、51号車 Ferrari 488 GTE EVO(ピエール・グイディ/ジェームス・カラド組、MI)、67号車 Ford GT(アンディ・プリオール/ハリー・ティンクネル組、MI)などが入り乱れて同一周回で終盤まで激しい争いが続いた。
全車、最後のピットストップが終わってみると、92号車 Porsche 911 RSRがトップ、2位に約6秒差で82号車 BMW M8 GTE、3位は約26秒差で67号車 Ford GTという6時間走ってきたのが信じられないほどの僅差でトップ争いが展開された。現実的にはトップのポルシェとBMWというドイツ車同士の戦いとなった。
LMGTE Amは予選4位からスタートした56号車 Porsche 911 RSR(イェルク・ベルグマイスター/パトリック・リンジー/エギティオ・ベルフェッティ組、MI)が優勝した。