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ホンダ、「CES 2019」の出展内容。山火事で活躍するAI自律バギーに加え、RaaS発表

2019年1月8日~11日(現地時間)開催

会場:Las Vegas Convention and World Trade Center

除雪作業を自動化する「Honda Autonomous Work Vehicle」

 本田技研工業は、2019年1月8日~11日(現地時間)に米国ネバダ州ラスベガスのLas Vegas Convention and World Trade Centerで開催されるコンシューマ・エレクトロニクス分野の見本市「CES 2019」に出展。実用化に向けて開発や実証実験を行なっている新技術などを展示などで紹介し、合わせて研究開発パートナー、事業化パートナーなどを募る。

 ホンダではNorth Hall-7900にブースを設置し、ロボディクス領域4点、モビリティ領域2点、エネルギー領域1点について出展。CES 2017では新価値創造に向けてオープンイノベーションの呼びかけを行ない、CES 2018では重点領域の1つに位置付けるロボティクスの方向性を提示。2019年にはこれまでの発信内容をさらに具体化していくため、出展する3つの領域で研究開発、事業化のパートナーを求めていく。

アタッチメント変更でさまざまな用途に対応する「Honda Autonomous Work Vehicle」

Honda Autonomous Work Vehicleは、ボディサイズが1940×1110×900mm(全長×全幅×全高)、重量が350kg。最大積載量は454kg、最大牽引重量は590kgとなる

 AI(人工知能)搭載の「プラットフォーム型ロボティクスデバイス」として2018年のCESに出展された自律移動4輪バギー「3E-D18」をさらに発展させた「Honda Autonomous Work Vehicle」は、アタッチメントの取り付けによって多彩な用途に対応。

 すでに米国でパートナーとの実証実験をスタートさせており、ノースカロライナ州にある大規模太陽光発電所での除草作業、カリフォルニア州にあるカリフォルニア大学デービス校での試験農場のモニタリング、コロラド州にある消防署での機材運搬、山火事などの危険な場所における偵察&通信サポートが実施されている。

 今後は自律移動の機能をさらに高めていくための研究開発パートナー、さまざまな用途での使用を検証する実証実験パートナーを求めていく。

すでに米国内のノースカロライナ州、カリフォルニア州、コロラド州で実証実験を実施中。アタッチメントを付け替えることで多彩な用途に対応する

人共存移動ロボット「Honda P.A.T.H.Bot」

人共存移動ロボット「Honda P.A.T.H.Bot」(15秒)

 AIを搭載して周辺状況を認識。人や障害物を回避しながら目的地まで最適ルートで移動する人共存移動ロボットの「Honda P.A.T.H.Bot」(パスボット)。

「人に不安を与えず、人の行きかう公共空間をスムーズに移動する」という、ロボットを実社会で活用するための必須機能を具現化したパスボット。機能を付加することでさまざまな用途に活用することを想定して、公共空間での移動型ロボットの可能性を検証するため、実証実験パートナーを求めていくという。

円筒スタイルのボディは高さ1050mmで重量21.5kg。移動の最高速は6km/hと、人の早歩きぐらいの速度に設定されている

「Honda Omni Traction Drive System」

日本電産シンポと共同して取り組み、2019年初頭の実用化を予定する無人搬送台車「S-CART(エスカート)」

 2009年9月に発表した「U3-X」、2012年5月に発表した「UNI-CUB」、2013年11月に発表した「UNI-CUB β」などで進化させてきたホンダ独自の全方位駆動車輪機構「Honda Omni Traction Drive System」(オムニ・トラクション・ドライブ・システム)。CESや東京モーターショーなどで展示したほか、日本科学未来館などで試乗体験を行なって、これまでに8万人以上が体験しているという。

 ホンダでは移動手段として以外にもさまざまな分野での応用を目指しており、新たな付加価値を求めるパートナーとのコラボレーションを展開。この活動の先駆けとして、日本電産シンポと共同の取り組みをスタート。日本電産シンポでオムニ・トラクション・ドライブ・システムのライセンス生産を開始しており、2019年初頭には日本電産シンポから無人搬送台車「S-CART(エスカート)」として実用化する予定となっている。

ホンダ独自の全方位駆動車輪機構「Honda Omni Traction Drive System」

無線での充放電システム「Wireless Vehicle-to-Grid」

AI搭載の自動運転車「NeuV」などのEV(電気自動車)とワイヤレス接続して再生可能エネルギーの導入を促進する「Wireless Vehicle-to-Grid」のイメージ

 EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッドカー)など大容量バッテリーを搭載するクルマとグリッド(電力系統)をワイヤレス接続する「Wireless Vehicle-to-Grid(ワイヤレス ビークル トゥ グリッド)」では、車載バッテリーに蓄えた電力をグリッドの需要と供給のバランスを保つ「調整用電力」として活用。電力需給のバランスを保ってグリッドの安定化に貢献する技術となっており、供給が不安定な再生可能エネルギーの導入を促進し、新しいビジネスモデルを創出することも目指している。

 また、運用面でも充放電用のパッド上に対応車両を駐車するだけで充放電が可能になり、利便性が大きく高まるほか、将来的には自動運転車での適用も可能にするという。

 非接触充電技術を開発している米国のベンチャー企業「ワイトリシティ」とすでに共同研究を行なっており、今後も実用化に向けて電力アグリゲーターや電力会社などのエネンルギー関連企業との連携を目指していくとしている。

コネクテッドカー技術「SAFE SWARM」

コネクテッドカー技術「SAFE SWARM」(1分6秒)

 技術コンセプトの「SAFE SWARM(セーフ スウォーム)」では、車車間通信、路車間通信といったコネクテッドカー技術を活用。データのやり取りによって見通しのわるい交差点に進入するときに衝突回避を図ったり、高速道路などでの合流や車線変更といったシーンで相互の走行スピードを分析し、適切なタイミングやスピードで合流や車線変更できるようアシストする。

 大群でもぶつかることなく泳ぐ「魚の群れ(スウォーム)」をイメージしたこの技術は、2017年のCESでコンセプトを発表。2018年の初頭から米国 オハイオ州のコロンバス~メアリズビル間をつなぐ州道33号で実証実験が行なわれており、研究パートナーとなるITSやCAV(コネクテッドカー・自動運転車)関連企業、共同して実証実験を行なう自治体などのプロジェクト参画を募っていく。

セーフ スウォームのイメージイラスト

ソフトウェアプラットフォームコンセプト「Honda RaaS Plarform」

ソフトウェアプラットフォームコンセプト「Honda RaaS Plarform」(30秒)

「Honda RaaS Plarform」(ラース プラットフォーム)は、データの蓄積や共有、通信制御、状態遷移、ロボット間連携などの共通機能を、APIやSDKといったインターフェース、パッケージの形で提供し、ロボディクスソリューションの開発を容易にするソフトウェアプラットフォームコンセプト。さまざまな開発パートナーが持つロボディクスデバイス、システム、アプリケーションなどを連携させ、これまでにないシームレスなロボティクスサービスの実現を目指していく。

 今後は実現に向け、ロボティクスデバイス開発企業、ロボティクスソリューション・プロバイダーといったパートナーを求めていく。

ラース プラットフォームの概念図

「Honda Dream Drive」

「Honda Dream Drive」は、Honda R&D Innovationsが運営する「Honda Developer Studio」がパートナー企業と開発に取り組んでいるドライバー、パッセンジャー向けのアプリケーション。ドライバー向けとなる「Honda Dream Drive:Driver」では、カーナビを使ってレストランを予約したり映画のチケット購入をしたりするほか、クルマに乗ったままコインパーキングやガソリンスタンドの支払いが可能になるというアプリ。

 パッセンジャー向けの「Honda Dream Drive:Passenger」では、スマートフォンやタブレットで映画を見たり、クルマの動きに合わせて進行するゲームなどが楽しめるアプリになるという。

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