CES 2018

【CES 2018】ホンダ、人の感情を認識するコミュニケーション口ボット「3E-A18」世界初公開

Empower・Experiences・Empathyで実現する「人の素晴らしさが際立つロボティクス社会」

2018年1月9日~12日 開催

人の感情を認識するコミュニケーションロボットのコンセプトモデル「3E-A18」

 本田技研工業は1月9日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで開催されている「CES 2018」において、人の感情を認識するコミュニケーションロボットのコンセプトモデル「3E-A18」を世界初公開した。

 同社は、CES 2018に「Empower・Experience・Empathy(人の可能性を拡大する。人と共に成長する。人と共感する)」をテーマに出展。「3E-A18」のほか、プラットフォーム型のロボティクスデバイスとして「3E-B18」「3E-C18」「3E-D18」を公開、ホンダの目指すロボティクスの方向性を示した。

 また、2018年に日本を含めたアジア地域で発売予定の電動スクーター「PCX ELECTRIC」をはじめとする可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」を活用したプラットフォームの提案のほか、イノベータ―との協業を促進するプログラム「Honda Xcelerator(ホンダ・エクセラレーター)」における、スタートアップ企業とオープンイノベーションで開発に取り組む技術などを公開。

 本田技術研究所 代表取締役社長 社長執行役員 松本宣之氏は「ホンダは創業以来、“技術は人のためにある”という信念を持ち、『人間研究』を行なってきました。その信念に基づき、ロボティクス技術は、人の可能性を拡げるものだと考えています。これからロボティクスがどんどん生活の中に入ってくる時代になりますが、私たちはロボティクスを使って『人の素晴らしさが際立つ社会』の実現を目指しています。そのためのキーワードはEmpower・Experience・Empathyです。ロボティクスデバイスが人と共感し、人と共に成長することで、人の可能性を拡大していくという考え方になります。我々はこれを3Eコンセプトと呼んでおり、このコンセプトの下、研究開発に取り組んでいます」とコメント。

 本田技術研究所 執行役員 R&DセンターX 担当 脇谷勉氏は「ホンダは複数のロボティクスデバイスが連携して、システムとして機能することで、『人の素晴らしさが際立つロボティクス社会』を実現していこうと考えています。3EコンセプトのEmpowerとは、人とロボティクスデバイスが、それぞれの得意領域を生かして共働することで、人に時間的・精神的・肉体的余裕が生まれ、その余裕を新たな方向に振り向けることで、人は自らの可能性を拡大していくことができる、という考えです。Experienceとは、人がロボティクスを通して全く新しい経験をすることで成長する、また、ロボティクスデバイスも人から学び、より人のためになるように自らを成長させていく、という考えです。そして、Empathyとは、ロボティクスデバイスが人を思いやり、共感し、人が行動するためのサボートをする、という考えです。このコンセプトの実現には、、リるAI(人工知能)が必要不可欠であり、我々はこれをCI(Cooperative Intelgence)と呼び、研究を進めています」とコメントしている。

3E-A18

人の感情を認識するコミュニケーションロボットのコンセプトモデル「3E-A18」

 3E-A18は「Empathy=人と共感する」をテーマとする、人と触れ合い、暮らしに溶け込むコミュニケーション口ボットのコンセプトモデル。

人の感情を認識するコミュニケーションロボットのコンセプトモデル「3E-A18」

 CIを搭載しており、人の感情を認識して、豊かな表情と音や動きでコミュニケーションを行ない、人の行動をサポートします。柔らかい外装や丸みを帯びた親しみやすい形は、抱きしめたり、触れた時に心地よく、万が一、衝突した際の安全性を考慮。また、これまでのロボティクス研究で培った、バランス制御技術と、あらゆる方向に移動できる機構を搭載することにより、どのような方向からぶつかっても衝撃を受け流すことができ、人と一緒にスムーズに移動する。

コミュニケーションロボットのコンセプトモデル「3E-A18」

3E-B18

3E-B18

 3E-B18は、「Empower=人の可能性を拡大する」をテーマとした、日常の行動を支え、目的地までのラストワンマイルの移動をサポートするプラットフォーム型ロボティクスデバイス。コンパクトなサイズ、坂道でも姿勢を保てる制御を備え、チェア型のパーソナルリイーとしての活用はもちろん、上部のアタッチメントを変えることで、ベビーカーや荷物カートなど、さまざまな活用が可能。CIを搭載することにより、人の意図することに違和感なく追従するというコンセプト。

3E-B18

3E-C18

3E-C18

 3E-C18は「Experience=人と共に成長する」をテーマとする、CI搭載のプラットフォーム型ロボティクスデバイス。人との関わりを通して学び、より人のためになるよう自らを成長させていく。また上部のアタッチメントを交換することで、物販、移動広告、DJなど様々な役割を果たすことができるという。

3E-C18

3E-D18

3E-D18

 3E-D18は「Empower=人の可能性を拡大する」をテーマとする、CI搭載のプラットフォーム型ロボディクスデバイス。上部のアタッチメントを交換することで、消火活動や農作業、スポーツのトレーニングサポートなど、さまざまな役割を果たす。走破性に優れ、農場や山間部などの路面状況のわるい場所でも自律的な活動が可能としている。

3E-D18

Honda Mobile Power Pack

Honda Mobile Power Pack

 着脱可能な可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(ホンダ モバイルパワーパック)」は、再生可能エネルギーを利用して発電した電気を蓄え、小型電動モビリティの動力や、家庭での電源として活用。必要な時に、必要な場所で電力を使えるようにすることで、低炭素で効率的なエネルギーの利用・活用を目指す。

Honda Mobile Power Pack Exchanger Concept

Honda Mobile Power Pack Exchanger Concept

 Honda Mobile Power Pack Exchanger Conceptは、複数のモバイルパワーパックを同時に充電でき、街中で交換用モバイルパワーパックの供給を行なうことで、電動モビリティの弱点である充電時間と航続距離の問題を解決しようというもの。電力需要のピーク時には、ステーション内のモバイルパワー・パックから送電網に電力を供給し、電力安定化に貢献させる。

Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Portable Concept

 Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Portable Conceptは、モバイルパワーパックとセットで、非常時やレジャーの際に、屋外で電源として活用できるようにするもの。

Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Portable Concept

Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Expandable Concept

 Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Expandable Conceptは、モバイルパワーパックとセットで、非常時の電源として、また無電化地域での常時電源として活用を目指す。

Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Expandable Concept

PCX ELECTRIC

 PCX ELECTRICは、ホンダ独自開発の高出力モーターとモバイルパワーパックを搭載した電動スクーター。2018年に日本を含むアジア地域で発売予定。

Honda Mobile Power Pack 4W-Vehicle Concept

 Honda Mobile Power Pack 4W-Vehicle Conceptは、モバイルパワーバックを搭載した2人乗りの小型電動モビリティ。環境負荷が少なく、経済性のよさが活きる市街地の移動手段として、また小口配送などの業務やアウトドアレジヤーなどさまさまな活用が可能という。

 そのほか、Honda Xceleratorがオープンィノベーションを行なうスタートアップ企業とその接術として、「BRAIQ(ブライク)」「DeepMap(ディープマップ)」「DynaOptics(ダイナオプティックス)」「EXO Technologies(エクソテクノロジーズ)」「Tactual Labs(タクチュアルラボ)」「Way Ray(ウェイレイ)」を紹介した。

 BRAIQ(ブライク)は、各種センサーによってドライバーの精神状態を把握し、AIを活用して自動運転時のドライビン?スタイルを個人に合わせて最適化する技術。

 DeepMap(ディープマップ)は、高精細3Dマップとリアルタイムの高精度位置情報を提供することで、より正確に走行環境を把握することができるようにし、安全性を高める技術。

 DynaOptics(ダイナオプティックス)は、カメラに多くの光を集積し、画像のエッジの歪み補正を行なうことで、路上の状況認識力を高め、安全性を高める、次世代の左右非対称レンズ技術。

 EXO Technologies(エクソテクノロジーズ)は、ソフトウェア追加のみで、車載GPS受信機にインターネット経由で誤差補正情報を提供し、より高精度のGPS情報を取得する技術。

 Tactual Labs(タクチュアルラボ)は、手の骨格の動きをリアルタイムの3Dデータとして認識し、ジェスチャーでの操作を可能とすることで、運転時にもハンドルから手を離すことなく各種操作を行なうことができる技術。

 Way Ray(ウェイレイ)は、AR(拡張現実)を自動車向けに応用し、ゴーグルなど特別な道具を使用せずとも、ドライバーの視界にリアルタイムでナビゲーション情報を表示する技術。

編集部:椿山和雄