CES 2018

【CES 2018】Qualcomm、ジャガー・ランドローバー、ホンダ、BYDのデザインウインを獲得したと明らかに

ホンダの北米向け新型「アコード」にSnapdragonとセルラーモデム搭載

2018年1月8日(現地時間)開催

Qualcomm 社長 兼 Qualcomm Technologies 社長 クリスチアーノ・アーモン氏

 半導体メーカーのQualcommは、「CES 2018」開幕前日の1月8日(現地時間)に記者会見を開催し、同社の戦略などについて説明した。1月4日にQualcommの社長に昇格したばかりのクリスチアーノ・アーモン氏が登壇して、VR、5G、そしてQualcommの車載半導体戦略について語った。

 アーモン氏は「2017年には25の新しいデザインウインを獲得した。獲得したデザインウインの総額は30億ドルを超えており、ほとんどのメジャーな自動車メーカーがQualcommの技術を活用している」と述べ、2017年に自動車メーカーへの売り込みに成功し、多くのデザインウイン(自社製品が他社の製品に採用されること)を獲得したと説明した。その上で、具体例としてジャガー・ランドローバーグループ、本田技研工業、中国のEV(電気自動車)メーカーのBYDが、QualcommのSoCないしはセルラーモデムなどの採用を決めたことを明らかにした。

IVI/デジタルメータークラスター向けSoCやセルラーモデムが強み

近年、Qualcommは自動車向けソリューションに力を入れている

 Qualcommは2017年の年頭に行なわれた「CES 2017」において、同社のIVI(In-Vehicle Infotainment、車載情報システム)やメータークラスター向けの車載SoCとなる「Snapdragon 820A」が、フォルクスワーゲンが2018年に発売する自動車に採用されることを明らかにした(別記事「Qualcomm、『Snapdragon 820A』などがフォルクスワーゲンの2018年モデルに採用」参照)。Qualcommは近年、自動車向けのソリューションに力を入れており、2017年には車載半導体でシェア1位となるオランダの半導体メーカー「NXP」の買収を決定(ただし、NXPの買収プロセスはEUなどの規制当局による認可待ちの状態で、現状はペンディングになっている。今回の記者会見でも進展などに関して何も言及はなかった)しており、今後も自動車向け半導体ビジネスに力を入れる方針を明らかにしている。

 そのQualcommの半導体部門子会社となるQualcomm Technologiesの社長で、1月4日からQualcomm本体の社長にも就任したクリスチアーノ・アーモン氏は「2017年には25の新しいデザインウインを獲得した。獲得したデザインウインの売り上げ可能性は30億ドルを超えており、ほとんどのメジャーな自動車メーカーがQualcommの技術を活用している」と述べ、同社が自動車分野で多数の自動車メーカーを顧客として獲得していると説明した。

25のデザインウインと30億ドルの売り上げ可能性
Qualcommと取引のある自動車メーカー
4G/5G時代になると自動車もネット常時接続が当たり前に

 Qualcommは、スマートフォン向けSoC、そしてセルラーモデムでシェアトップの半導体メーカー。スマホのSoCはIVI用への転用が容易で、今後は自動車がネット常時接続になっていくことが確実とみられているので、セルラーモデムを搭載していく流れは止まりそうにない。そうした需要が増しており、2017年には25のデザインウインを獲得。それらの売り上げの可能性が30億ドルを超える見通しであるとのことで、Qualcommの車載向けビジネスは急成長していると言っていいだろう。

ジャガー・ランドローバー、ホンダ、BYDのデザインウインを獲得

 そうしたQualcommの車載向け製品は、Snapdragon 820Aなど元はスマホ向けだったSoCを自動車グレードにした製品だと言ってよい。そうしたSnapdragon製品は12を超える自動車メーカーが採用を決めており、10億ドルの売り上げ可能性があるビジネスにつながっているという。その具体的なデザインウインの例として、3つの自動車メーカーの事例が紹介された。

Qualcomm Snapdragonは12の自動車メーカーで採用されている

 1つめは、インドのタタグループ傘下のジャガー・ランドローバーグループで、IVI、デジタルクラスター、セルラーモデムなどでQualcommの製品が利用されるという。また、日本のホンダでは、2018年に北米で販売される予定の「アコード」でSnapdragonとQualcommのセルラーモデムが採用される。さらに、中国のEVメーカーであるBYDでは、2019年にBYDが販売する複数の車種で、IVIとデジタルメーターにSnapdragon 820Aが採用されると発表された。

ジャガー・ランドローバーグループで、IVI、デジタルクラスター、セルラーモデムなど採用
ホンダでは新型「アコード」にSnapdragonとモデムが採用される
中国のBYDでも2019年発売の車両にSnapdragon 820Aが採用される

笠原一輝