CES 2018

【CES 2018】ルノー、日産、三菱自動車、ベンチャーキャピタル「アライアンス・ベンチャーズ」設立。5年間で最大10億ドル投資

全固体電池素材を開発する米Ionic Materialsなど、初年度2億ドルを次世代モビリティに優先投資

2018年1月9日(現地時間)発表

 ルノー、日産自動車、三菱自動車工業は1月9日(現地時間)、ベンチャーキャピタルファンド「Alliance Ventures(アライアンス・ベンチャーズ)」を設立して、今後5年間で最大10億ドルを投資すると発表した。

 ルノー、日産はそれぞれ40%ずつ、三菱自動車は20%を新ファンドに出資し、投資判断や業績管理を行なう専門の投資委員会を設置予定。シリコンバレー、パリ、横浜、北京にあるアライアンスメンバーの技術研究センターなどのエリア近くに拠点を設ける予定。

 Alliance Venturesの最初の投資先は、コバルトフリーの全固体電池素材を開発する米国企業のIonic Materials。Ionic Materialsの株式取得は、研究開発協力を目的とした同社とアライアンスの共同開発契約の締結時に行なわれる。

 Ionic Materialsはマサチューセッツ州を拠点に自動車および多様な用途に使われる高密度エネルギーバッテリーの性能およびコスト競争力向上を可能とする固体高分子電解質を開発している。

 このほか、Alliance Venturesは初年度、クルマの電動化、自動運転システム、コネクティビティ、人工知能などの新たなモビリティに焦点を当てている新興企業や、技術起業家が参加するオープンイノベーションのパートナーシップを対象に最大2億ドルを投資する予定。最初の2億ドルの投資は、年間85億ユーロを超えるアライアンスの研究開発費とは別枠で実施される。

 その後も毎年投資を行なうことにより、Alliance Venturesは2017年に発表した中期計画「アライアンス 2022」の期間中、自動車業界で最大の企業ベンチャーキャピタルとなることを目指すという。

 アライアンスの会長兼CEOであるカルロス・ゴーン氏は米国ネバダ州ラスベガスで開催される世界最大のテクノロジーイベント「CES 2018」で会見を開き、ゴーン氏は「このオープンイノベーションに対する取り組みにより、我々はアライアンスのグローバルなスケールメリットを生かしながら、新興企業や技術起業家に投資し、協業することが可能となります。このファンドはまさにアライアンスの核である協働の精神と起業家のマインドセットを反映したものです」と述べるとともに「この投資活動は、世界で最も将来性のある自動車技術の開発を行なう新興企業をアライアンスに呼び込むことを目的としています」と付け加えた。

 現在、3社のアライアンスは10のブランドを有し、2017年には1000万台以上を販売している。中期計画「アライアンス 2022」においてルノー、日産、三菱自動車は、3社合わせた年間販売台数は1400万台以上に、また、売上高は2400億ドルに達すると見込む。

 Alliance Venturesへの取り組みは、2022年末までに年間100億ユーロ以上のシナジー創出を目指すという「アライアンス 2022」の目標達成を支えるものとしている。

編集部:椿山和雄