CES 2018
【CES 2018】自動運転を見据えたコックピットプロトタイプなど、100年の歴史を次世代技術に融合させるパナソニック
2018年1月10日 15:39
- 2018年1月9日~12日(現地時間)開催
パナソニックは、米国ネバダ州ラスベガスで開催されている「CES 2018」のパナソニックブースの展示で、車載関連製品の紹介に力を注いでいる。
パナソニックブースはセントラルホールの中央に近い位置にあり、例年出展している1486m2の展示スペースを、2018年は「ソリューションエリア」と位置付け、それに隣接する形で、1022m2の展示スペースを新たに使用。2018年3月に創業100年を迎えることに合わせて、同社の経営理念や歴史的製品を展示する「ビジョンエリア」を設置した。2つのエリアを合わせた総展示面積は2508m2となり、前年に比べて約1.7倍の展示規模となった。
車載関連の展示は、ビジョンエリアおよびソリューションエリアの両方で行なっており、パナソニックにとって車載関連ビジネスが主要事業の一角を占めていることを強調した格好だ。
ビジョンエリアでは、パノラマシアター形式で同社100年の歴史を振り返る一方、代表的な家電初号機を展示。家電事業から住宅、自動車へと事業が広がっていることを示した。また、2030年を想定した未来のショールームを表現した「ビジョンシアター」では、完全自動運転の実現によって、移動時間が自由な時間として過ごせる世界が到来した際の車載空間とライフスタイルを提案。ここでは、「Living Space Autonomous Cabin」と題し、「Living」「Business」「Relax」「Entertainment」の4つのスタイルでデモンストレーションを行ない、変化する車内空間を提案。パナソニックが家電や住空間事業で培ってきた、よりよい暮らしを実現する技術やノウハウに車載システム開発力を融合することで、車内の新たなコンセプトを示せるとした。
「Living」では、AIエージェントやデジタルサンシェード、車載エアコン、リビング照明により、移動空間でありながら自宅のリビングルームのような快適さを実現。「Business」では、シート位置を変化させて集中力を高めることができるビジネス専用空間を用意。ディスプレイを上下に移動させたり格納できるほか、車内からTV会議の利用も可能だ。
「Relax」では22chのサラウンド空間を用意。55型ディスプレイ2台と天井に配置した77型ディスプレイを使用して、くつろげる移動空間を作り上げる。そして「Entertainment」では、その場を盛り上げることができる音楽や映像、照明のほか、アロマも使って明るく楽しい移動空間を演出できるという。
一方、ソリューションエリアでは「Immersive Entertainment」「Connected World」「Integrated Supply Chain」「Sustainable Energy」の4つのテーマに分類して展示。その中のConnected Worldにおいて、オートモーティブとアビオニクスという2つのモビリティ事業への取り組みを紹介した。
オートモーティブでは最新のインフォテインメントシステムから、ADAS技術を搭載したコンセプトモデルまでの最新車載技術を紹介。「Next-Level eCockpit」では、新型SUVである「レンジローバー ヴェラール」の車内にあるデュアルタッチスクリーンシステムを備えた「Touch Pro Duo」や、ウィンドシールドタイプのヘッドアップディスプレイを紹介。ナノイーによる空気清浄機能など、車載と家電を融合した快適な空間を実現してみせた。
また、「Smart Design Cockpit」では、4つのマルチディスプレイを連動させて、操作画面を移動させたり、手の動きを感知してさまざまな操作ができるようにしていたほか、「Smart Vision Cockpit」では「自動運転でもわくわくするドライブ」をコンセプトに、運転モードから自動運転モードに切り替えると、超ワイドディスプレイにパノラマ風景を表示。ドライバーモニタリングシステムを活用して、安全で楽しいドライブを演出するという。この2つのコックピットのプロトタイプは、レベル2自動運転の普及が見込まれる2020~2023年と、レベル3自動運転の普及が見込まれる2023~2025年における実用化を目指したコンセプトモデルだという。
このほかに「Scalable ePowertrain Platform」を展示。4輪および2輪の小型EV(電気自動車)の普及に貢献するために、バッテリー、電源、駆動装置といった、すでにEVに採用した実績を持つデバイスを活用したプラットフォームを開発。車両の大きさや求められる仕様に応じて、基本システムを組み合わせて利用できるという。EVの開発コストの削減や、開発リードタイムの削減につなげることができるという。
また、アビオニクスの展示では、「Travel Thread」のコンセプトのもとに、最新のインフライトエンターテインメントや乗客向けアプリなどを紹介。旅行前に自宅にいる時間から機内、そして目的地に着くまで旅を一貫してサポートすることを、実際に納入している航空機シートなどの展示によって示した。
VRデモンストレーションではVRを使って「Travel Thread」のコンセプトを紹介。「Companion App~エコノミーシート」の展示では、アプリである「Companion App」を使って自宅から希望する機内サービスを予約したり、見たい映画を指定して事前にダウンロードするなど、機内での体験を自在にカスタマイズできるという。「ビジネスクラスキャビン」では、アメリカン航空に納入した新型キャビンを紹介。Super Diamond限定のビジネスクラス用シートによって実現する新たな旅行体験を紹介した。
さらに、英Tascentと共同で空港用に開発した最新の出入国審査システムを紹介。乗客の網膜情報をカメラで読み取り個人を認証することで、スムーズな出入国審査が可能になるという。
一方、「Sustainable Energy」のエリアでは再生エネルギーをテーマに、米テスラとの協業を紹介。テスラ「モデル X」およびギガファクトリーで生産しているリチウムイオン電池「2170」を展示したほか、テスラとの協業で生産するソーラーパネルも展示した。
また、台湾のゴゴロが開発した電動スクーターの「gogoro」と、同スクーターに搭載しているリチウムイオン電池「18650」も展示している。
このように最新技術を活用した未来の車内空間などを積極的に公開しており、パナソニックの車載関連事業への注力ぶりが浮き彫りになった展示内容になっていた。