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パナソニック、車載用モーター向け高精度角度センサー「A3MR」技術セミナー開催
「ISO26262」に対応してレゾルバ方式同等以上の高精度な回転角度を検出
2017年3月30日 12:54
- 2017年3月29日 開催
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズは3月29日、電動パワーステアリングなど車載用モーターの回転角度を高精度に検出する角度センサー「A3MR」に関する技術セミナーを開催した。
技術セミナーでは、パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ デバイスソリューション事業部の中園晋輔氏が登壇して、同社が開発した角度センサーA3MRについて説明した。
角度センサーは、モーター内の回転部分が何度動いたか(回転角度)を高精度に検出するセンサーで、モーターの動きを正確に把握することでモーターの回転速度や駆動量を管理することが可能になり、より効率的なモーター制御を実現するもの。
A3MRでは、磁界が不均一でも高精度に磁界の向きを検出するAMR薄膜を実現した「AMR素子」を採用するとともに、360度の角度検出が可能な「ホール素子」を組み合わせた制御回路技術を採用して、高精度な360度検出を実現した。また、AMR素子の異常を検出して電子制御ユニットへ故障の予兆を知らせる「自己診断機能」の採用など車載に要求される機能安全の「ISO26262」に準拠した。
技術セミナーでは「レゾルバ方式と比べて小型軽量で、高精度な360度の回転角度を検出可能」「サイドシャフト検出が可能で、他社品と比べてセンサー配置の自由度が高い」「高磁界でも高精度検出が可能でノイズ耐性に優れ、複数のモーターが搭載される磁場の乱れが大きい環境下で強みを発揮する」との特長が示された。
中園氏は「現在主流のレゾルバ方式ではサイズが大きく、重い。また、走る、曲がる、止まるといったクルマの安全に関わる用途においては機能安全への対応が難しいといった課題があり、磁気センサーへ置き換えるニーズがある」と説明。続けて「従来の磁気センサーでは精度が低く、センサーの配置位置に制限がありお客様の設計変更が必要となっていた。今回、我々が開発した磁気センサーではレゾルバ同等の精度を実現しつつ、小型軽量で機能安全への対応もできる。また、磁石の中心から離れたところにセンサーを配置でき、お客様による設計変更もほとんどなく使って頂ける」と説明した。
今回、パナソニックとして車載用の磁気センサーに参入するのは初めてとし、中園氏は「近年の自動車は自動運転やADASに代表されるように、走る、曲がる、止まるを自動で制御するようになっている。それとともに高精度モーターが求められており、角度センサーのニーズの高まりがある」と説明して、レゾルバ代替として電動パワーステアリング用モーターやISG用モーターなどの車載用モーターの回転角度検出、ロボットや建機といった産業用モーターの回転角度検出での採用を見込む。