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トヨタ、進化型GRヤリスを世界初披露 「エアロパフォーマンスパッケージ」は今秋以降に発売
2025年4月11日 13:30
- 2025年4月11日 注文受付開始
- 356万円~533万円
GR-DATの進化や締結ボルトの変更など多岐の改良を実施
TOYOTA GAZOO Racingは4月11日、進化型GRヤリスを世界初披露するとともに、正規販売店での注文受付を開始した。価格は「RC」の6速MTが356万円、8速ATが391万円。「RZ」の6速MTが448万円、8速ATが483万円。「RZ“High performance”」の6速MTが498万円、8速ATが533万円。
また、東京オートサロン2025でコンセプトモデルを披露し、モータースポーツで得た知見を織り込んだメーカーオプション「エアロパフォーマンスパッケージ」も同時発表。こちらは2025年秋以降の発売を予定する。
今回の進化型GRヤリスではGR-DATの進化やシャシー部品の締結ボルトの変更、ショックアブソーバーおよびEPSチューニングの最適化、GR-DAT搭載車のフットレスト拡大に加え、縦引きパーキングブレーキを全グレードにオプション設定化したり、Toyota Safety Senseを全車に標準化したりと、多岐の改良が行なわれた。
まず2024年発表のGRヤリスで初登場したGR-DAT(GAZOO Racing Direct Automatic Transmission)の性能をさらにブラッシュアップし、2ペダルならではの操作性と走りの両立を狙い、主にスポーツ走行時のギヤ段の選択制御に細かな改良を加えることで、性能のレベルアップを図った。
具体的にはDレンジ走行中のパドル操作でダウンシフト可能な車速領域を拡張(2速→1速)し、パドル操作から変速開始までの時間を短縮。さらにマニュアルモードではスポーツモード選択時、レッドゾーン付近でのダイレクト感を向上させた。また、エンジン回転数の上昇が遅くなる登坂勾配では、シフトアップタイミングを少し遅らせることでシフトアップ後も高出力を維持する仕様としている。
GR-DAT搭載車においては、フットレストの面積を拡大することで踏み込み時の操作性を向上させている。
シャシー部品の締結ボルトでは、一部に締結剛性の高い特別なボルトを採用。ステアリング操作に対する応答性と直進安定性を向上させ、クルマとの一体感を進化させた。具体的にはボルト頭部サイズを幅22mmから幅24mmに拡幅(リアサスペンションメンバー×ボディ)するとともに、ボルトフランジにリブ形状を追加(フロントロアアーム×ロアボールジョイント)。さらにボルトフランジの厚みを2.1mmから3.1mmにアップ(リアショックアブソーバー×ボディ)している。
また、「クルマとの一体感の進化」におけるボルトの変更や一部のボルト類の締結トルクアップに合わせて、サスペンションセッティングを再適合。ショックアブソーバーの減衰力を調整することでコントロールと乗り心地の両立を図ったという。
EPSチューニングでは、ステアリングのリニア感(ステアリングを切った量に対し、1:1で操舵感が得られる感覚)の向上を目指し、プロドライバーの大嶋和也選手とともに幾度となく改善を繰り返した。結果としてグレードごとに異なる特性が与えられており、RZ“High performance”用ではサーキットを攻め込むことを念頭に、限界域での速さとコントロール性を追求。RZ用は、ワインディングからサーキットまで幅広いシーンで俊敏なGRヤリスのハンドリングパフォーマンスを引き出した。
そのほか2024年発表のGRヤリスでは、FIA世界ラリー選手権や全日本ラリー選手権参戦で得た知見を活かした縦引きパーキングブレーキをメーカーオプションとしてRCグレードに設定していたが、今回のモデルから全グレードで選択可能にしている。
また、RCグレードにメーカーオプション設定としていたToyota Safety Senseを、RZ“High performance”、RZと同様に全車標準装備とした。
進化型GRヤリス RZ“High performance”主要諸元 | |
---|---|
全長(mm) | 3,995 |
全幅(mm) | 1,805 |
全高(mm) | 1,455 |
ホイールベース(mm) | 2,560 |
トレッド(フロント・リア、mm) | 1,535/1,565 |
乗車定員 | 4 |
車両重量(kg) | 1,280(GR-DAT搭載モデルは1,300) |
エンジン | 直列3気筒インタークーラーターボ |
型式 | G16E-GTS |
内径×行程(mm) | 87.5×89.7 |
総排気量(L) | 1.618 |
最高出力kW(PS)/rpm | 224(304)/6,500 |
最大トルクNm(kgfm)/rpm | 400(40.8)/3,250-4,600 |
トランスミッション | iMT(6速マニュアルトランスミッション) or GR-DAT(8速オートマチックトランスミッション) |
駆動方式 | スポーツ4WDシステム“GR-FOUR”電子制御多板クラッチ式4WD(3モード選択式) |
差動装置 フロント | トルセンLSD |
差動装置 リア | トルセンLSD |
サスペンション フロント | マクファーソンストラット式 |
サスペンション リア | ダブルウィッシュボーン式 |
ブレーキ フロント | ベンチレーテッドディスク(18インチアルミ対向4ピストンキャリパー) |
ブレーキ リア | ベンチレーテッドディスク(16インチアルミ対向2ピストンキャリパー) |
ホイール | BBS製鍛造アルミホイール 8J インセット45mm |
タイヤ | 225/40ZR18 ミシュラン Pilot Sport 4S |
燃料タンク容量(L) | 50 |
メーカーオプション「エアロパフォーマンスパッケージ」は今秋以降に発売
また、今秋以降の発売を予定するメーカーオプション「エアロパフォーマンスパッケージ」は、妥協することなく調整を重ねたという計6アイテムすべてを同時装着することで効果を最大化するエアロパフォーマンスパッケージ。GRヤリスの冷却性能と空力性能をさらに高められるこのパッケージはRZ“High performance”、RCにメーカーパッケージオプションとして設定される予定。
①ダクト付きアルミフード
全日本ラリー選手権参戦車において先行で開発し、GRMNヤリスに採用したカーボン製フードと同形状のダクト付きアルミフードを設定。高速走行中、エンジンルーム内の熱をダクトから放出し、冷却効果を高める。
②フロントリップスポイラー
スーパー耐久シリーズで学んだ高次元の空力バランスを実現するため、フロントリフト(走行時、車体前部に対して持ち上がる力が働く現象)の発生を抑え、フロントの接地感と空力バランスを高め、車両のトータルリフトバランスを向上。
当初はこのフロントリップスポイラーを除く5点のアイテムを検討していたが、プロドライバーの大嶋選手からのフィードバックを受け、より高次元のバランスを目指し、最終的にこのフロントリップスポイラーを追加採用するに至っている。
③フェンダーダクト
ホイールハウス内に溜まる空気を後方へ放出させることで、ノーズダイブ(急減速時に車体前部が沈み込む現象)時のステアリングフィールや、コーナー入り口での操縦安定性を向上させる。
⑤可変式リアウイング
大型のリアウイングは高速域での操縦安定性に寄与し、またブレーキング時のスネーキング現象(車体が左右に揺れる不安定な動き)を抑制。可変式のため、サーキットなどの走行シーンに応じてウイングの角度を変え、走りを楽しむことができる。