試乗記
スカニア、大型トラック「SUPER」に試乗 日本で2028年に6000台超の稼働体制構築を目指すための戦略も説明
2025年4月17日 06:00
- 2025年4月14日 開催
スカニアジャパンは4月14日、大型トラック「スカニア SUPER」の試乗会を、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京で開催した。
同会場で行なわれた説明会では、サービスネットワークや販売実績などスカニアの国内展開についても説明が行なわれ、2024年は販売台数、サービスディーラー数、部品とサービス売上、稼働台数、市場シェアのいずれもアップしたことが明かされた。
2024年の国内販売513台、市場シェア1.14%に
スカニアジャパン 代表取締役社長のアラン・スーダン氏がまず、ワールドワイドの2024年の実績数値を紹介。2024年はグローバルで納入台数、売上ともに6%の伸び、営業利益は14%のプラスなどを紹介した。
日本国内では513台を販売するとともに、サービスディーラー数が44拠点と伸び、部品とサービス売上も22億円となり、いずれの数値も前年よりも伸びている。その結果、国内での稼働車両台数は3024台となり、市場シェアは1.14%であると紹介。そして、スーダン氏は、2028年の目標として稼働車両台数6000台超を掲げた。
2024年末時点でサービス拠点は44店舗に
続いてディーラーネットワーク担当の内山厚志氏は、2028年6000台の稼働に向けたサービスネットワークの拡充について説明した。2024年末時点では全国で販売拠点が19店舗。これは前年よりも4店舗増加し、サービス拠点は44店舗で前年より3店舗増加している。2025年は新たなパートナーとともにサービス拠点を10店舗増やす計画だという。
この先、目標どおりに進めば2028年に6000台稼働は現在の約2倍となるため、販売拠点は35店舗、サービス拠点は75拠点を目指す。戦略パートナーとして日本通運グループのNX商事と提携。サービス拠点はユーザーの稼働が多いエリアながらサービス拠点の空白エリアを中心に増やしていく。
ただし、内山氏は「単純にネットワークの数と量を増やすことにとどまらず、サービスの質の強化にも取り組む。正確で最小限のダウンタイムでの修理、プロフェッショナルなサポート、それを可能にする部品の入手性、日本全国どこに行っても高品質なサービスを提供」と質にもこだわり、しっかりとスタッフのトレーニングを実施していくという。
在庫車の用意やレンタル、そして中古車の販売
続いて、販売については中井誠氏が説明。「大きな要としては、ヨーロッパで定評のあるNTG(ニュー・トラック・ジェネレーション)モデルをさらに進化させたSUPERというモデルを発表することで、さらに日本市場における台数を伸ばしていきたい」「そのためには戦略、拠点、運営する人、の3つの形を作り、販売戦略を推進していきたい」と話した。
さらに中井氏はモデル別の販売数値を紹介。トレーラーを引くトラクタの販売が多くを占め、一時的に「リジット」と呼ぶトラックシャーシの受注を停止していたが、2025年3月から受注を再開。リジットではさらにこれまでの6×2(前1軸、後2軸で後1軸駆動)だけでなく、降雪地帯や建設現場利用から要望のあった6×4(前1軸、後2軸で後1軸駆動)も導入。リジットについても成長が見込まれるという。
そこで、対前年比50%をさらに伸ばした受注を目指す一方で「プレミアムブランドにふさわしい営業活動をし、単純に値段で勝負するのではなく、スカニア製品の日本での価値は何なのか、お客さまと共感を得ながら受注を伸ばしていくという活動をしたい」とした。
中井氏によればスカニア車を選ぶ理由としては、国内展開初期のころは自分好みのクルマを欲しいということが多かったが、現在は商用車としての基本的性能をアピールした結果「中長距離の燃費や、高速道路でのドライバーの安全面などから多少高くても選んでくれるお客さまが増えてきた」とのこと。ボディカラーもホワイトなどベーシックなカラーのままで使うことも増えてきたという。
そのため納車時間短縮のため、在庫車を常に日本に用意することも行なう。グレードも必要最低限の装備のスタンダードモデル、ニーズの高い装備をした在庫モデル、プレミアムな装備を持つエクスクルーシブの3つを基本としていく。
一方で、新たなビジネスとしてレンタルトラックビジネスを構築し、今年スタートする予定。これは、スカニア車の稼働台数が増えて関心を集める一方で「輸入車で心配」という声があることから、実際にスカニア車を使ってもらい、燃費やドライバーの労働環境などを試してもらう。
そして、レンタルトラックに使ったトラックは中古車販売へとつなげていく。中古車も販売することで、今後、投資を抑えたい顧客が多くなったときに対応する。
新パワートレーン採用の「SUPER」導入
製品については岸郷史氏が説明。2023年11月に発売した「SUPER」では新パワートレーンを採用。新エンジンではエネルギー効率を高めていくとともに、代替エネルギーについてもすでにスカニアのエンジンはバイオ燃料など代替燃料にも対応可能だという。
パワートレーンの高効率化では、スカニアSUPERに搭載するパワートレーンでは低回転、高トルク化を実現し、900回転から最大トルクを発揮する。主なエンジンは6気筒13リッター。DOHC化し熱効率も高く回転抵抗も少ない。さらにDOHC化で、圧縮開放ブレーキ(CRB)の採用が可能になり350kWの制動力を持つ。
そのうえで安心安全の輸送を実現するため、スマート&セーフと呼ぶスカニアのセーフティシステムも搭載。ADASの搭載や、前後左右のセンサーなどを搭載する。
さらにデジタルサービスエコシステム「My Scania」を提供。車両稼働状況やドライバーの運行状況をリアルタイムで管理・監視可能。ドライバーには運転スタイルなどから改善ポイントを明確化し、ドライバー自身のスマートフォンで自分の運転スコアと改善ポイントを閲覧できる。
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京でスカニアのトラクタを試乗
試乗はポルシェ・エクスペリエンスセンター東京を囲む全長約2.1 kmのハンドリングトラックで行なわれた。起伏のある地形を活かしたアップダウンの激しいコースだけに、リターダーの効きなども確認でき、一部パイロンで狭めたところを走行しての取りまわしのよさなどを確認した。Car Watchに割り当てられた試乗車は4×2のトラクタヘッドで、単体で走行した。
車両の室内は最も高さのあるS型のキャブで高さもあって開放的。スカニア車の特徴としてキャビンによってセンターフロアの盛り上がりが少なく、助手席側とウォークスルーができるところ。後方もベッドへのアクセスも良好。大型トラックのキャブはスクエアで広々としているが、ほかの大型トラックによくある足下の閉塞感がない。
短時間かつコース内、しかもトレーラーを接続しないヘッドだけの走行なので実際の走行状態とは異なるが、広々とした室内によるリラックス感や、見切りのよいキャビン形状やミラーなどが確認できた。
走行は、シングルクラッチのAMTで、変速時には加速の途切れがあるが、アクセルの踏み具合をうまく合わせることができればスムーズに加速していく。何度か加速していけばタイミングも分かってくる。
停止以外の減速時はリターダーを使うことが多いが、操作は右コラムレバーを下に下げていく。なお、スカニア車は輸入車によくあるウインカーが左レバーになるため、変速やリターダーは右側となる。
リターダーは5段階で、クルマの重量などにより調整可能。PEC東京のコースは下り坂もあるが、設定次第で一定速で下っていく。ブレーキはストロークが長く、ブレーキ力を調整しやすかった。













































