CES 2018
【CES 2018】パナソニック、GoogleやAmazonに対応する車内インフォテインメントシステム
完全自動運転を想定した「次世代モビリティキャビン」を展示
2018年1月9日 06:23
- 2018年1月8日(現地時間) 発表
パナソニックは1月8日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで開催されている世界最大のテクノロジーイベント「CES 2018」のプレスカンフレァレンスにおいて、自動車関連ビジネスに関して、いくつかの新たな発表を行なった。
アマゾンやGoogleとのパートナーシップ
1つめは、アマゾン(Amazon)とのパートナーシップだ。アマゾンとパナソニックは、インターネットに接続してない環境においても、車内でAlexaを活用することができる機能を新たに開発。これをAlexa Onboardとして提供する。ビデオで紹介されたデモストレーションでは、Alexaをインターネットから切り離したあとに、音声によって車内の温度を変えることができる様子を示してみせた。
アマゾンのシニアバイスプレジデントのTom Taylor氏は、「Alexaは、オフラインの環境においても、車の温度を制御するほか、ナビゲーションの提供や音楽の再生、電話への応答などが可能になる。また、家庭で使っているAlexaとAlexa Onboardはシームレスに接続できる」と語った。
同様に、昨年のCES 2017で発表したGoogleのAndroid Automotiveチームとの協業に関する成果についても発表した。
これは、「Skip Generation」と呼ぶ車載インフォテイメントシステムで、Google North Americaのパートナーエンジニアリング担当責任者であるGene Karshenboym氏は、Google Assistantを採用したSkip Generationを通じて、自然言語でエアコンを制御したり、目的地までの交通量や最も近いガソリンスタンドの場所、気に入った音楽を再生できる様子をビデオで紹介した。
これからの機能は、パナソニック・オートモーティブを通じて、自動車メーカーに同機能を提供することになる。
「Connected World」への取り組み
2つめは、「Connected World」への取り組みだ。北米総代表であり、パナソニックノースアメリカの会長を務めるThomas Gebhardt氏は、「パナソニックの北米の売上高の約3分の2は、Connected Worldによってもたらされている」とし、移動中の人たちが、クルマ、飛行機、スマートシティにおいて、新たな体験を提供できるとした。
とくに、自動車関連ではパナソニックブースにおいて、レベル5の完全運転自動化を想定した「次世代モビリティキャビン」を展示していることを紹介した。
ここでは、デジタルサンシェードや空質調整付きシート、キャビンオートエアコン、リビング照明、エージェント機能などにより、移動空間でも自宅のリビングのような快適さを実現する「リビングルームスタイル」、シートを回転させて集中力を高めるビジネス専用空間を創出する「ビジネススタイル」、22chサラウンドによる新しい音空間を実現し、空気質改善やアロマの香りを加えた演出を行なう「リラックススタイル」、音楽、映像、照明、アロマによる演出で、明るい移動空間を演出する「エンターテインメントスタイル」の4つのスタイルを展示しているという。
パナソニックノースアメリカのGebhardt会長は、「パナソニックは、インフォテインメントシステムのリーダーとして、今日のコネクテッドカーにおいても中心的な役割を果たしている」と強調した。
EV(電気自動車)への取り組み
3つめは、EV(電気自動車)への取り組みだ。パナソニックでは、2022年には、EVと内燃機関の自動車になると予想しており、「多くの自動車メーカーはEVの流れを避けられない。自動車の電動化は指数関数的に加速する」と指摘してみせた。
具体的な取り組みとして、テスラが稼働させているネバダ州のギガファクトリーにおいて、リチウムイオン電池セル「2170セル」の量産を開始。「EV用に最適なフォームファクターであり、最も低い生産コストで、最高の性能を提供するように設計されている」と述べた。
さらに、2017年12月に、トヨタとのパートナーシップを発表したことにも触れ、「パナソニックは、すでにプリウス向けにバッテリーを供給しているが、この提携では、EVの次世代技術となるソリッドステートバッテリー技術によって、EV向けバッテリー技術の未来を模索していくことなる。業界最高の自動車用バッテリーを継続的に投入し、トヨタおよび他の自動車メーカーに向けて、バッテリーを大量導入していくことになる」と語った。
そのほか、コロラド州で行なっているスマートハイウェイについても言及した。ここでは、衝突事故が80%も減少したことや、燃料の削減、渋滞の削減効果などが出ていることに触れた。
また、自動車販売におけるオムニチャネル化についても説明。オンラインで自動車の情報を調べている顧客を、リアルのショールームに結びつけるために、自動車メーカーやディーラーと協力した活動を開始していることや、フォードやキアといったメーカー系列のディーラーと、デジタルサービスキオスクの実証実験を行なっていることを示した。
自動車ビジネス以外の発表も
さらに、パナソニックでは、航空業界向け第3世代通信ネットワーク技術を発表。新たな衛星モデムとの組み合わせによって、最大で20倍の帯域幅を提供できることから、ビデオストリーミングやSkypeなどにも利用できると紹介した。この技術は、第1四半期に、ユナイテッド航空とサウスウェスト航空などが導入するという。
一方、パナソニックでは、2018年3月に創業100周年を迎えるのにあわせたブース展示を行なっており、会見では、パナソニックノースアメリカのチーフマーケティングオフィサーのLauren Sallata氏が、「パナソニックは、過去100年の間、消費者によりよい経験を生み出すことに全力を注いできた企業であり、人々の生活を改善し、よりよい世界に貢献することが使命である。長年に渡り、家電製品を通じて、これを実現してきたが、近年では、統合ソリューションを提供する会社として、社会に貢献していくことになる」などと述べた。会見では、100周年を前に10万個のソーラーランタンを新興国に寄付する約束を達成したことも紹介した。
そのほか、パナソニックは、米オリンピック委員会などと協力して、米国オリンピック博物館を、コロラドスプリングスに建設中すること、さらには、コロラドスプリングスにおいて、エネルギー、モビリティ、都市サービス、スマートビルディングなどのプロジェクトに取り組むことも発表した。雪の深さを検出するスマートLED街路灯の実用化なども行なうという。