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日産、NTTドコモ、Qualcommなど6社がC-V2Xの実証実験を日本で行なうと発表

2018年1月11日(現地時間) 発表

Qualcommが「CES 2018」で行なっているC-V2Xのデモ

 Continental、エリクソン、日産自動車、NTTドコモ、沖電気、Qualcommの6社は、車車間(V2V、自動車と自動車)、路車間(V2I、道路と自動車)、人車間(人間と車、実際には人が持つスマートフォンなどと自動車)の通信をLTEや5Gなどの携帯電話回線を利用するC-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)の実証実験を、日本で初めて行なうと、1月11日(現地時間)に発表した。

 これまで日本でのV2X(Vehicle-to-Everything)は、5.8GHzを利用したDSRC(Dedicated Short Range Communications)などのIEEE802.11pが本命と考えられてきたが、欧米では急速にC-V2Xを採用する動きが強まっており、日本でのV2XをDSRCのままで行くのか、それともC-V2Xに乗り換えるのかが議論になり始めていた。

 6社により日本で行なわれる実証実験では、5GHzの帯域を利用。現行の携帯電話回線の仕様であるLTEを利用し、C-V2Xのさまざまな動作が検証されることになる。将来的には2019年にサービスが開始される見通しの5GNR(New Radio)を見据えての動きとなる。

欧米ではC-V2Xに大きく傾いているV2X、日本のV2Xをどうしていくかが議論に

 V2X(Vehicle-to-Everything)は、車車間、路車間、人車間で通信を行なう規格で、ADASや将来的なレベル3以上の自動運転を実現するために欠かせない技術とされている。車車間(V2V)では自動車同士がお互いのデータをやりとりし、例えば道に障害物があった場合にそれを他車に通知したりできる。それにより後続車が安全に障害物を避けるなどが可能になる。

 また、路車間(V2I)では、現在標識や文字情報などでドライバーに伝えている情報を、直接自動運転車に通知したりできる。例えば制限速度や渋滞情報などを、道路から自動運転車のコンピュータに通知したりすることが可能になる。人車間(V2P)では、例えば横断歩道に近づいている歩行者のスマートフォンに、クルマが近づいていることを通知したりできる。

 そうしたV2Xだが、これまでの本命はDSRC(Dedicated Short Range Communications)だと考えられていた。DSRCは現在のETCなどに使われている仕組みの延長線上にあるもので、日本では5.8GHzの帯域が割り当てられており、自動車メーカーなどが開発を続けてきた。しかし、特に欧米を中心に、DSRCからC-V2Xと呼ばれる携帯電話回線を利用したV2Xへ移行する動きが急速に進んでいる。

 携帯電話回線を利用することで、すでに構築されている携帯電話のインフラを利用してV2Xを利用できるため、比較的低コストで実現できることなどが特に欧米の自動車メーカーなどで評価されている状況だ。これに対して、日本ではDSRCに対して投資を行なってきたため、これまでは導入に向けた議論があまり進んでこなかった。

CES 2018のノースホールにあるQualcommの自動車関連のブース。5GNRを利用したC-V2Xの説明パネル

Continental、エリクソン、日産、NTTドコモ、沖電気、Qualcomm

 そうした中で今回発表されたのが、Continental、エリクソン、日産、NTTドコモ、沖電気、Qualcommの6社によるC-V2Xの実証実験になる。自動車メーカーの日産が車両を、ティア1の部品メーカーのContinentalがシステムを、エリクソンが基地局のインフラを、沖電気がロードサイドユニットを、LTEモデムメーカーのQualcommがモデムチップを、そしてNTTドコモが回線を提供する形で実証実験が行なわれる。

 6社の実証実験では5GHzの帯域を利用して行なわれ、携帯電話回線のLTE回線を利用して、3GPPリリース14で規定されている仕様に基づいて実証実験が行なわれる。実証実験にはQualcommが提供するC-V2XのチップセットであるQualcomm 9150 C-V2X chipsetが搭載されたQualcommのC-V2Xリファレンスデザインが日産が提供するテスト車両に搭載される。

 テストは2018年中に開始される予定で準備が進められており、車車間(V2V)、路車間(V2I)、人車間(V2P)、車両とネットワーク間(V2N)などに関する実験が行なわれる予定だ。

 今回の実証実験は、今後日本のV2Xをどうするかに影響を与える可能性があり、その意味では自動車業界にとっては要注目の実験と言えるだろう。