内燃機関で正味最高熱効率50％超を達成した研究成果、SIP「革新的燃焼技術」公開シンポジウムで発表

正味最高熱効率50％超を達成した技術の概要

　科学技術振興機構、慶應義塾大学、京都大学、東京大学、早稲田大学ら研究グループは、1月28日に開催されるSIP「革新的燃焼技術」公開シンポジウムで、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンそれぞれで正味最高熱効率50％超を達成した研究成果を発表する。

　現在市場に出ている乗用車のエンジンの熱効率は40％程度。内閣府のSIP（戦略的イノベーション創造プログラム）「革新的燃焼技術」で行なわれたプロジェクトでは、5年間でさらに10％引き上げる目標を掲げた。

　今回、京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授 石山拓二氏、慶應義塾大学 大学院理工学研究科 特任教授 飯田訓正氏、早稲田大学 研究院次世代自動車研究機構 特任研究教授 大聖泰弘氏らが、乗用車用のガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンともに、正味最高熱効率50％を上まわることに成功した。

　同研究では、ガソリンエンジンについては超希薄燃焼（スーパーリーンバーン）、ディーゼルエンジンについては高速空間燃焼の実現に成功。さらに、両エンジンに共通する損失低減のための研究開発によって、機械摩擦損失の低減技術、ターボ過給システムの効率向上技術、熱電変換システムの効率向上技術を開発。

　これらの技術を統合した結果、ガソリンエンジンでは51.5％、ディーゼルエンジンでは50.1％の正味最高熱効率を得ることができたという。

　また、同プロジェクトでは、東京大学 大学院工学系研究科 教授 金子成彦氏らにより、自動車エンジンの3次元燃焼解析ソフトウェア「HINOCA（火神）」、PM（粒子状物質）生成のモデル「RYUCA（粒神）」、自動車エンジン燃焼のモデルベース制御システム「RAICA（雷神）」の構築にも成功している。

　これら研究成果の詳細は、1月28日開催のSIP「革新的燃焼技術」の最終公開シンポジウムで発表される。