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鈴鹿サーキットへの新しいアクセス、新名神 鈴鹿スマートIC

新名神開通で東名阪道の渋滞が大幅緩和

3月17日に開通した新名神高速道路 新四日市JCT~亀山西JCT。名古屋方面からは新四日市JCTを直進することで、自然に新名神の新開通区間へ

 日本のモータースポーツとして最も人気があるSUPER GTシリーズ。500馬力ほどのGTカーが参戦するGT500クラス、300馬力ほどのGTカーが参戦するGT300クラスと、2つのクラスのGTマシンが入り乱れて走ることで、予想外のドラマが繰り広げられる人気シリーズとなっている。

 ただ、近年GT500クラスは共通モノコック採用やドイツのDTMシリーズとの車両ルール共通化、GT300クラスはFIA-GT3車両とJAF-GT車両、マザーシャシー車両の混走と、国際化を志向しつつこれまでのエントラントが参加できるようなルールへと調整している。それだけにGTマシンの種類も多く、華やかなシリーズとなっている。

 もともとF1ドライバーも走っていたSUPER GTだが、2018年シリーズからは元F1チャンピオンのジェンソン・バトン選手もGT500クラスに参戦。よりハイレベルな争いが見られるシリーズへと進化し続けている。観客数も増加傾向にあり、ゴールデンウィーク中に開催された第2戦 富士では、予選、決勝合わせて9万1800人が来場した。とくに、決勝日はお昼過ぎまで来場者のクルマが駐車場に入りきらない状態になるなど、SUPER GTの人気の高さを改めて感じる事態となっていた。

 そのSUPER GTの第3戦が、今週末の5月25日~26日に鈴鹿サーキットで開催される。レース距離は300kmとなり、第1戦 岡山と同じ距離で戦われる。

 鈴鹿サーキットは三重県鈴鹿市の市街地にあり、富士スピードウェイと並んで人気の高いサーキット。ピーク時にはそこそこの車列が形成されるかもしれないが、2019年の鈴鹿で覚えていてほしいのは、新名神高速道路 新四日市JCT(ジャンクション)~亀山西JCTが3月17日に開通し、その中ほどにある鈴鹿PA(パーキングエリア)に出入口が設けられたこと。ETCカードを使って出入りできるスマートIC(インターチェンジ)が設置され、上下線の出入が可能、つまり4方向のフルフルICになっている。

名前からは想像できないほどの規模を持つ鈴鹿PA。上下線集約型のPAとなっている
新名神 鈴鹿PA&鈴鹿スマートIC

 この鈴鹿スマートICができて、鈴鹿市内のクルマの流れなどは変わったのだろうか? 開通して1か月ほどたった4月中旬に(要するに、鈴鹿2&4のときに)、鈴鹿サーキットを運営するモビリティランド 広報 原口経史氏に聞いてみた。

 今回、鈴鹿スマートICが設置されたのは、東名阪自動車道 鈴鹿ICの北西側になる。つまり、鈴鹿サーキットから見た場合、より遠い場所に(約5km)ICが設置されたことになる。そのため、4月中旬現在では「鈴鹿2&4前の時点では、とくに目立った効果は現われていない」とのこと。まだ、それほど知られているICでもないので、「鈴鹿スマートICを利用してサーキットへ来る人は、まだ少ないのではないか。これから知られてくることで変わってくると思う」という。

鈴鹿サーキットを運営する株式会社モビリティランドの広報 原口経史氏。鈴鹿 2&4開催時に鈴鹿スマートICについて聞いた。鈴鹿PAには、鈴鹿サーキットと連携したコーナーもあるとのこと

 実際、開通後1年程度はカーナビなどのアップデートが対応せず、鈴鹿サーキットへ行く際に鈴鹿スマートIC経由は案内されておらず、そういった意味でも利用者は多くないだろう。

 ただし、この鈴鹿PAでは鈴鹿サーキットもマシンの展示やお土産販売を行なっており、そちらのほうはとても好調とのこと。鈴鹿サーキット独自のお土産として知られている「アスファルトラスク」や「タイヤカスさきいか」を鈴鹿PAのショップで販売しており、土日などには売り切れる勢いとのこと。これは、鈴鹿PAのある新名神の利用者が多く、その多くが鈴鹿PAに立ち寄っているのではないかとのことだった。

 そのほか、鈴鹿PA内にあるトイレのエチケット音に鈴鹿サーキットは協力。エチケット音を鳴らすと、レーシングマシンのエキゾーストノート(排気音)が聞こえてくるという。鈴鹿PAでのチェックポイントとして教えてくれた。

鈴鹿PA内には、鈴鹿サーキットの提供するエリアもある。モータースポーツファンにとっても楽しいPAだ

交通量に変化をもたらした新名神開通

開通直後から交通量に変化の出た新名神

 地図を見れば一目瞭然だが、新東名や名神高速から鈴鹿のある西へ向かう場合、四日市JCTで直進すると新しく開通した新名神区間に入ってしまう。従来利用されてきた鈴鹿ICのある東名阪方面に行くのが不自然な線形になっているため、新開通区間にもかかわらず多くのクルマが鈴鹿PAのある新名神区間に流れているのだ。

 これはNEXCO中日本(中日本高速道路)が出した速報値にも現われており、新名神開通前に10万1800台(1日、東名阪)であった断面交通量が、4万6600台(新名神)と7万2300台(東名阪)に分化。開通前よりも合計の交通量が増えたにもかかわらず、渋滞は劇的に減少しているのだ。それほど利便性の高い道路が鈴鹿サーキット近くに開通したことになる。

渋滞減少という効果が現われた

 原口氏は、この鈴鹿スマートICの効果がはっきり出るのは、SUPER GT 第3戦 鈴鹿においてと予測している。これまで鈴鹿サーキットに向かうには、国道23号を利用するか、東名阪を利用するかという2択だったが、それに新名神という新たな道路が加わったことになる。

 新名神の鈴鹿スマートICは、従来の東名阪 鈴鹿ICよりも大阪側に近くなっており、大阪方面から鈴鹿サーキットに向かう人にとってはお勧めの出入口となる。名古屋・東京方面の人にとっては使いどころが難しいかもしれないが、鈴鹿ICや国道23号方面が渋滞しているなら、うまく迂回して鈴鹿スマートICを使う方法もありだろう。まだ、広く知られていないだけに空いている可能性が高く、スムーズに高速に出入りできる。

 実際にこの鈴鹿スマートICを鈴鹿サーキットに行く際に利用してみたが、普通にスマートフォンナビで走ると(レンタカーの標準ナビが未対応のため)東名阪 鈴鹿ICと同じ道に出てしまった。これでは、あまり鈴鹿スマートICを使う意味がないわけで、鈴鹿ICを迂回しつつ鈴鹿スマートICを使う必要がある。標識もあまり整備されていないが、それだけに工夫しがいのあるICとなっている。この週末に鈴鹿サーキットに向かわれる方は、新名神の開通で渋滞が大幅に緩和した東名阪 鈴鹿IC利用もよいが、新しい鈴鹿スマートIC利用も検討していただきたい。