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「GT-R&フェアレディZ」と「東名高速」50周年コラボ試乗会。日産 田村CPSとNEXCO中日本 中井支社長が開幕を祝う
足柄SAにGT-R&フェアレディZ 50周年記念車や歴代GT-R展示
2019年5月25日 15:53
- 2019年5月25日 開催
静岡県御殿場市の東名高速道路 足柄SA(サービスエリア)で5月25日、日産自動車「GT-R」「フェアレディZ」と東名高速 全線開通の50周年を記念する特別コラボレーションイベント「GT-R/FAIRLADY 50th×TOMEI 50th Anniversary」オープニングセレモニーが開催された。同イベントは5月25日~26日の各日10時~18時に実施。
このイベントでは、参加者募集記事でも紹介しているように、日産の最新スポーツクーペ GT-Rを試乗車として用意し、東名高速の約50kmを運転してGT-Rが持つ走行性能を体感できる史上初のスペシャル試乗会を実施。この試乗会に先駆け、日産自動車 GT-R CPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト) 田村宏志氏、中日本高速道路 執行役員 東京支社長 中井俊雄氏の2人によるトークセッションが実施された。
なお、スペシャル試乗会は事前申し込みによって抽選で参加者が決定されているが、23組の募集に対して約7000人の応募が寄せられ、倍率は300倍以上になったとのこと。
GT-Rと東名高速は「真摯さ」が共通すると田村CPS
トークセッションでは、最初に中井支社長から、翌5月26日に開通50周年を迎える東名高速について「1969年に東名高速道路が全線開通して50年が経過しました。この間にたくさんのお客さまに東名高速道路をご利用いただいたというのが一番の喜びです。ちょっと数字でご紹介しますと、昨年の交通量が1日あたり約41万台で、50年間で足し合わせますと63億台という数字になります。数字だけ聞いてもよく分からないかもしれませんが、たくさんのお客さまに心のこもったプレゼントであるとか、全国津々浦々のおいしいもの、今日のような非常にいい天気にお出かけされるといった楽しい気持ちを、東名高速道路を使ってお届けできたのではないかなと思います」と紹介された。
また、「本日は日産自動車さまとのコラボレーションですが、高速道路ができた1960年代には、まだ自動車は耐久性や高速走行性能などが十分ではなかったと聞いております。それが高速道路の整備と合わせて、自動車メーカー各社さまが一生懸命に努力されて、耐久性の高い、スピードも出るクルマを作って販売していただいたことで、モータリゼーションの築かれたのではないかと。そういったところに、われわれ高速道路会社もご支援できたのではないかと思っております」と語った。
自身と東名高速の関わりについては「(日本道路公団に)入ってすぐに担当したのが新東名高速道路の建設でした。当時は『第2東名』と呼ばれていましたが、まだ設計段階で、東名高速よりももっとスピードの出せる規格の高い道路を創ろうということでしたが、ただ、設計基準も何もない状態だったので、まずは東名高速の基準を勉強しました。先輩たちが創った基準を勉強して、それを参考に新しい基準を創ったという思い出があります」とコメント。
さらに2009年8月11日に発生した「駿河湾地震」で東名高速の牧之原地区で本線の盛土が約40mに渡って崩落するトラブルが発生した時のエピソードについても紹介。ちょうどお盆休み前だったことも合わせ、通行止めによって利用者に大きな影響を与えることになってしまい、自身も後方支援として現地に向かう時に代替道路の1号バイパスでの移動中に大渋滞に巻き込まれ、日本の大動脈となる東名高速の重要性を実感。同時に1分1秒でも早く通行止めを解除しなければならないと痛感し、最終的には通行止めから115時間で通行再開が実現されたという。お盆休みの後半には再開が間に合い、迷惑を掛けてしまったが褒め言葉ももらったと紹介し、そんな東名高速が50周年を迎えることを感慨深く感じるとした。
このほか、東名高速では日本で初めて「ハイウェイラジオ」のサービスが開始され、東名高速 足柄SAでも高速道路上で泊まれる宿泊施設やドッグラン施設を日本初導入していることを中井支社長は紹介。また、トイレの美化にはとくに力を入れて取り組んでいるとした。
今後については日本各地の高速道路が老朽化してきていることを問題点として挙げ、今後はリニューアル工事が本格化していく予定で、工事が増えて利用者には迷惑を掛けてしまうことになるが、ぜひ理解してほしいと中井支社長は述べている。
日産でGT-RとフェアレディZの統括責任者を務めている田村CPSは、GT-Rについて「レーシングテクノロジーをふんだんに入れた『R』ということで、お客さまに運転する喜びや楽しみを提供して、それが安全にもつながる。速く走ることを突き詰めていくと、それだけクルマのいろいろな部分の性能が上がっていくんですね。だから、例えば速く走るためにはタイヤをよくしなきゃいけない、サスペンションをよくしなきゃいけない、エンジンも高出力にする。高出力にしてバンバンガソリンを使っちゃうと、ガソリンタンクがどれだけ大きくても足りなくなる。そこで燃費を追求する。燃費を追求するためには空力も大事、って、言い出すときりがありません。そのように、一見レースと安全はほど遠いようなイメージですが、クルマのテクノロジーを高めていくために双方でサポートしているのかなと。その根幹になるゾーンを、レーシングフィールドのテクノロジーをふんだんに使ったGT-Rというクルマで再現できたのかなと」と解説。
「中井支社長もおっしゃっていましたが、そもそも道がないとクルマは生きていけません。コレクターズアイテムとして飾っているだけという人もいますが、私はクルマを買ったら、バーチャルもいいですけどアクチュアルとして、動的に走ってほしいなぁと思います」とコメントした。
東名高速の50周年について、田村CPSは「この足柄(SA)にスマートIC(インターチェンジ)ができて、つまり富士スピードウェイが近くなった。その富士スピードウェイで1972年に初代GT-Rの『ハコスカ』、この(SA内で行なわれている車両展示で)一番向こうにある古いGT-Rで50勝目を迎えることになったんですね。大雨だったその時に私もいたんですが、直線だけ速いんじゃなく、雨の日でも安定して速い、安心して速く走れるということが、われわれ日産がつとめて意識してきた『トータルバランスとしてのクルマ造り』につながる」とのエピソードを紹介。
さらに「私は仕事柄、日本だけじゃなく世界のいろいろな道を走っていますが、ありとあらゆるところを走って、リップサービスじゃなく日本の道路が一番いいです。これは間違いなく、走りやすくて世界中のどこに行っても日本が一番いいです。そのように質といったところを考えると、日本人の機微と言いますか、テクノロジーに関しても真摯だし、ホスピタリティについても真摯だし。そういった造り込む部分が、高速道路を作る皆さんのハートとわれわれがクルマを作るハートが『ザ・ジャパン』としてよく似ているなと感じます」と田村CPSは語り、日本人らしい仕事に対する真摯さで共通する部分があるとした。
また、試乗車となるGT-R 2020年モデルについて、田村CPSは「例えばアウトバーンのような超高速の高速道路に行ったとき、300km/h出していても助手席の人と会話できる。これはとりもなおさず、100km/hで走っている時にはさらに安心して、安定して走ることができる。また、サーキットのようなところに行って『究極の運転』ができる。例えばブレーキがものすごくよく効いて、かなり熱くなってもその温度ではへこたれないとか、そういったスポーツカー造りが今回の基本です。いろいろと変えているんですけど、『百聞は一見にしかず』というか、『百聞はひと乗りにしかず』ということで、ぜひお乗りになっていただきたいと思います」と紹介した。