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トヨタ、ニュル24時間決勝後の豊田章男(モリゾウ)チーム総代表のコメント

GRスープラは41位、レクサス LCは54位

2019年6月24日 発表

ニュルブルクリンク24時間レース終了後あいさつする、豊田章男(モリゾウ)チーム総代表(右)。隣は成瀬氏の写真を持つ矢吹氏

 TOYOTA GAZOO Racingは、6月20日~23日にかけて開催された「第47回ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に、90号車 GRスープラと56号車 LEXUS LCで参戦。6月22日~23日にかけて行なわれた24時間の決勝レースにおいて、GRスープラは総合41位(クラス3位)、LCは総合54位(クラス1位)で完走した。

 このレースに、GRスープラは佐々木雅弘、Uwe Kleen、Herwig Daenens(TOYOTA MOTOR EUROPE社員)、MORIZO(トヨタ自動車社員)というドライバーで、レクサス LCは土屋武士、蒲生尚弥、松井孝允、中山雄一というドライバー体制で参戦。MORIZOというレース登録名は、モリゾウ選手であり、トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏でもある。また、ニュルブルクリンク24時間レースにおいてはチーム総代表も務めている。

 24時間レース終了後、豊田章男チーム総代表としてのコメントが発表されたので、ここに紹介する。

豊田章男 チーム総代表のレース後コメント

 まず最初に皆さん、ありがとうございました。今日は、成瀬さんの命日でありました。

 私が午前中、10時から乗るということを聞きまして、実は予定では9時でした。それが10時になったという意味を自分なりに考えますと、ちょうど6月23日の現地時間10時くらいに事故が起きて、亡くなった時間だったんですね。それで私が成瀬さんの事故の時間にハンドルを握ることになるんだということで、非常に緊張をいたしました。このスープラのカムバック、そして、ニュル13年目の挑戦。いろんな思いが、その3回目のスティントで頭に入って、正直運転どころではなかったというのが正直な感想でありました。

 ただ、今日、皆さんが話してくれたことを成瀬さんは聞いてます。成瀬さんが亡くなった時、葬儀に行きました。そこでやりたいと思うやつだけでいい、ついてきてくれということで続いてきたGR活動です。これが多くの方に応援され、もっといいクルマづくり、クルマづくりの人材育成のど真ん中に、この活動が入ってきたというふうに思います。

 本当にここまで支えてくれた皆さんに感謝申し上げると共に、私は、この話になると涙ぐむんですね。なぜかとクルマの中で考えてみました。多分、悔しさです。

 13年前、トヨタも名乗れず、このニュルで、成瀬さんとほぼ2人でプライベーターよりもプライベーターらしい、本当に手づくりのチームでここに来ました。その時の誰からも応援されない悔しさ、何をやってもまともに見てくれない悔しさ、何をやっても、ハスに構えて見られてしまう悔しさ。そして生産中止になったスープラで練習をしてる悔しさ。全ての悔しさが、私自身その成瀬さんが亡くなった6月23日に社長に就任した時からの、ずっと私のブレない軸でもあります。

 ですから、私がもっといいクルマをつくろうよということだけしか、社長になって言わないのは全てその悔しさであります。そして今日も、悔し涙を流した。その悔しさは絶対に自分を強くするし、この活動の目的である「良い仲間」をつくるし、そしてもっといいクルマをつくると思います。そんな思いを持って、冒頭「ありがとうございました」と皆さんに申し上げました。

 本来はこのレース、(ずっとスープラの開発を担当してきた)矢吹が出るレースだったと思います。それをスタート、フィニッシュ含めた4スティントを担当させていただきましたが、こういう日でなければ、「矢吹お前乗れよ」と言ってたと思います。私自身も、この日、スープラ、ニュルというもので成瀬さんから、「いやいやお前乗れ、俺と一緒に乗ろう」と言ってくれたんだと思います。

 今日の話は間違いなく、成瀬さんは聞いてくれているし、この天気も、成瀬さんだったんだと思います。ドライバーとしては足を引っ張りましたが、他のプロたちがカバーしてくれました。ありがとうございました。


TOYOTA GAZOO Racingのピット。成瀬氏がTOYOTA GAZOO Racingの戦いを見守った