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年に1度のフランス車の祭典「フレンチブルーミーティング 2019」レポート
今年はシトロエン祭り!? シトロエンのロータリーエンジンモデルも登場
2019年10月8日 08:00
- 2019年10月5日~6日 開催
シトロエンのロータリーエンジンモデルも登場。今年はシトロエン祭り!?
今回で33回目を迎えるフレンチブルーミーティング。初回から場所は変わらず、車山高原のグラウンドをメイン会場に行なわれた。第1回目は、1987年10月に日本のシトロエンクラブの呼びかけで始まった。そのとき100人にも満たない参加者だったが、2018年には3000台、7000人もの参加と大きく成長。2019年は例年より1か月ほど開催が早まったが、それでも例年同様、車山周辺はフランス車で埋め尽くされた。
5日は前夜祭として車山パリ祭を開催。フランスにゆかりのあるバンドのライブをはじめ、星空とお散歩ツアーなどが行なわれ、車山でしか味わえない自然と音楽を楽しんだ。
そして本番となる6日。夜明け前からヒューヒューバタバタというシトロエン 2CVの空冷2気筒のエンジン音をはじめ、多くのフランス車が車山に集まり始め、8時を過ぎるころには周辺の駐車場をはじめ、車山一帯はフランス車でいっぱいになった。
今年はシトロエン100周年ということで、メイン会場となるグラウンドには数多くのシトロエン車が集結。シトロエン XMも30周年なので特設コーナーが設置され、注目を浴びていた。
また、名物の1つであるテント村には多くのフランス車系ショップやミニカー、カタログ、グッズ類のショップなどのクルマに関連するテントだけでなく、パン屋、燻製ハムのお店など食べ物屋さんも出展。単にクルマを集めて楽しむのではなく、家族や友人たちと皆で楽しめる雰囲気に溢れているのだ。従って、ほかのイベントよりも家族連れ、特に子供たちの姿が多く見られた。そういった子供たちにとって楽しみである子供写生大会や子供玉入れ競争なども行なわれ、毎年これを楽しみに参加する家族もいるくらいだ。
もう1つ、恒例となったシトロエン 2CVのクランク掛け競争も大いに盛り上がりを見せた。今回は女性オーナーも果敢にトライし、無事エンジン始動に成功。別のオーナーは結局エンジンがかからず、皆に押されてゴールと笑いとともに拍手で迎えられていた。
さて、シトロエン100周年をフィーチャーしたコーナーにはトラクションアヴァンをはじめ、さまざまなシトロエン車が集合。先日、東京で開催されたシトロエン100周年記念イベント「シトロエン センテナリー ギャザリング」に展示されたGSビロトールも登場。
その横には、驚いたことにシトロエンがロータリーエンジン開発のために作ったプロトタイプ「M35」も置かれており、フランスでもこのような光景はまず見ることはできないので、今回車山でこの2台を見ることができただけでも幸運と言えよう。ちなみに、M35はシングルローターでビロトールは2ローターである。
新旧分け隔てなく
当然というべきか、プジョー・シトロエン・ジャポンも出店。バーンファインドの5HPを展示するとともに最新シトロエンモデルの試乗会も行なわれ、あっという間にその予約は埋まってしまったようだ。
ここしばらく同社は欠席だったが、2018年から復活。2019年はシトロエン100周年ということでかなり力を入れた模様だ。プジョー・シトロエン・ジャポン 広報室 PRマネージャーの森亨氏に話をうかがうと、「まずバーンファインドの5HPをぜひ見てもらいたいと思い展示しました。意外に多くの方がご存じで喜んでもらえたようです。また、シトロエン100周年記念グッズをフランスから持ってきましたが、大好評で飛ぶように売れています」と笑顔で語る。
そして、再び出店を開始した理由について、「いま一度、古いシトロエンファンの方にも“今のシトロエン”を知ってもらいたいと思っているからです。今回の試乗でも、現在ハイドロ系のシトロエンにお乗りの方々から『これもありだ』とご評価をいただけましたので、とても嬉しかったですね。いまのシトロエンも、乗り心地のよさは過去からの延長線上にあるということを知ってもらえました」という。
最後に森氏は、「今後も新車だけでなくヒストリックカーに関するイベントにも積極的に出店していきたいと考えています。そういう歴史があってこそ、いまのシトロエンがあるからです。ですからヒストリックカーを軽視はしません。最終的にそれが今のシトロエンを理解してもらうことにもつながりますし、古いシトロエンに乗っている人にも新しいシトロエンにシンパシーを抱いてもらうことにもつながると考えています」と思いを語る。さらに、100周年以降のシトロエンをはじめ、プジョーなどにおいてもヒストリーを重視していくと語った。
よい機会なので、旧車ユーザーからの声として「古いクルマのメンテナンスの情報やディーラーでの対応も検討してもらいたい」という要望を伝えたところ、「部品の供給やメンテナンスなどのノウハウの蓄積がないので、なかなか難しいのが現状です。ただし、いま古いシトロエンをメンテナンスしているショップなどとうまく共存していく方法はあると思います。例えば、ディーラーからそういったショップを紹介するなど」と、色々と検討していることを明かしてくれた。
いずれにせよ、森氏が言うようにこれまでのヒストリーの上に今が成り立っているのは間違いない。そこをないがしろにすることは自らを否定することにもなりかねないので、ぜひヒストリックカーユーザーのことも考え、現行車ユーザーと分け隔てなく対応してもらいたいと思う。それこそブランドの価値を高めることにつながると筆者は考える。これはシトロエンだけでなく、プジョーやルノーをはじめ、他ブランドにおいても同様なのである。