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漫画家・池沢早人師氏がデビュー50周年。「池沢早人師トーク&サーキットの狼ミーティング」レポート

もし今「サーキットの狼」を連載していたら、登場させたいクルマは?

2020年2月9日 開催

参加無料

「池沢早人師トーク&サーキットの狼ミーティング」で登壇した漫画家・池沢早人師氏

 2月9日、トヨタ博物館(愛知県長久手市)で「池沢早人師トーク&サーキットの狼ミーティング」が開催された。

 1975年~1979年にかけて週刊少年ジャンプに連載された「サーキットの狼」(旧ペンネーム:池沢さとし作)は、主人公の風吹裕也がロータス「ヨーロッパ」を駆って公道バトルを繰り広げた後、プロレーサーへと成長していくクルマ漫画の代表作。ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、フェアレディZ、トヨタ 2000GTといった国内外のスポーツカーが数多く登場してスーパーカーブームが巻き起こり、「サーキットの狼」を教科書にして各スーパーカーのポテンシャルを学んだ方も多いだろう。

 2019年、トヨタ博物館は開館30周年を迎え、新たな常設展示室「クルマ文化資料室」がオープンした。ここには同館が収集してきた膨大なクルマに関する文化的資料が展示されており、その中にはクルマを題材にした映画、音楽、文学、漫画のコーナーがある。今回、トヨタ博物館では漫画にスポットを当て、池沢先生の漫画家デビュー50周年も兼ねて同ミーティング開催の運びとなった。

「池沢早人師トーク&サーキットの狼ミーティング」はトヨタ博物館で行なわれた
2019年に開館30周年を迎えたトヨタ博物館では、新たな常設展示室「クルマ文化資料室」をオープン。その中にはクルマを題材にした映画、音楽、文学、漫画のコーナーが用意される

 トークショーは当初定員200名の予定だったが、開演前から聴講者の長い列ができたことから急遽イスを増設しての開催となった。トークショーでは「サーキットの狼」におけるストーリーの逸話や池沢先生の車歴などが語られたが、その中でも興味深かった話が「なぜ主人公・風吹裕也の愛車はロータス ヨーロッパだったのか?」という点。

 その理由について、池沢先生は「初めてロータス ヨーロッパを見た時の感動が忘れられないから」と回答。当時、池沢先生もロータス ヨーロッパに乗っており、実際にドライブすると運転がうまくなったかのように思えるほど素晴らしいクルマだったそうだ。漫画の中でのロータス ヨーロッパは練馬ナンバー。これは当時、池沢先生が乗っていたロータス ヨーロッパのナンバーをそのまま使用しているのだという。

 そして、池沢先生がこれまで乗り継いだクルマはスーパーカー以外のメルセデス・ベンツやBMWも含めると70台ちょっと。その中でも印象に残るクルマはトヨタ 2000GTで、当時の新車価格は238万円だったそうだが、2年落ちの中古車を250万円で購入したそうだ。また、ポルシェ「930 ターボ」ではボディと一体となったオーバーフェンダーに魅了されて“ン百万円のローン”を組んでの購入。その当時は「サーキットの狼」がヒットしだしたころで、単行本の印税を見込んでローンを組んだとか……。

「池沢早人師トーク&サーキットの狼ミーティング」には多くの来場者が詰めかけた

 トークショーの最後には質問コーナーがあり、池沢先生の返答は以下のとおり。

質疑応答に応える池沢先生

――もし今「サーキットの狼」を連載していたら、登場させたいクルマは?

池沢先生:ロータス「エリーゼ」とアルピーヌ「A110(エーワンテン)」。

――若者のクルマ離れを止めるには?

池沢先生:手前味噌になってしまうけど、「サーキットの狼」ではまだ免許を持っていない子供たちが目を輝かせてクルマに興味を持ってくれた。従って、トヨタあたりがスポンサーになって子供たちが喜ぶクルマが登場するアニメを作ればいいんじゃないかな。数年先のお客さまも増えるはず。

――今後の新連載の予定は?

池沢先生:現在GENROQ Webで連載企画を行なっていますが、今後は漫画やクルマ以外の小説なども手掛けていきたいですね。


 このトークショーの後に行なわれたのが、P1駐車場での「サーキットの狼ミーティング」。今回のイベントを開催するにあたって、Web告知で「サーキットの狼」に登場するスーパーカーのオーナーを募集。そして集まったスーパーカーはロータス ヨーロッパ、ロータス エスプリ、デ・トマソ パンテーラ、ランボルギーニ カウンタック、ランボルギーニ ミウラ、ポルシェ 930ターボ、フェラーリ ディノ、フェラーリ 308GTS/308GTB/308 クワトロバルボーレ、トヨタ 2000GT、フェアレディZ、コスモスポーツなど計47台。

 この中でもランボルギーニ ミウラは総生産台数約750台という希少なモデル。スーパーカーが投資の対象になっている今日、1億円を超える価格がついているとか。会場内でのお散歩トークでは、池沢先生が各スーパーカーとの思い出話を語ってくれた。

P1駐車場で行なわれた「サーキットの狼ミーティング」。来場者も興味津々で展示車両を見学していた
P1駐車場で開かれた「サーキットの狼ミーティング」の展示車両

 そして最後は会場に戻ってのサイン会(先着50名)。新型コロナウイルスの一件で握手ができないのはちょっと残念だったが、スーパーカーファンにとっては最高の1日となった。

サイン会も開かれ、スーパーカーファンにとっては最高の1日で幕を閉じた