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トヨタ「ハイエース」ベースのMONET「マルチタスク車両」登場

コロナ対応などMONET MaaSコンバージョン

2020年8月27日 発表

MONET MaaSコンバージョンの第1弾となるマルチタスク車両。ベースはハイエース グランドキャビン

 MONET Technologiesは8月27日、メガウェブ トヨタシティショウケース(東京都江東区)において、「MONET MaaSコンバージョン」の第1弾を公開した。今回用意されたのは、車内レイアウトを柔軟に変更可能な「マルチタスク車両」、そしてコロナ禍でのパーソナルスペースや換気に配慮した「パーソナルベンチレーションキット」の2モデル。どちらも企業および自治体向けの車両となる。

 MONET Technologiesは「モビリティサービスを通じて人々の暮らしをもっと豊かに」を企業理念に、ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資により誕生。車両とシステムの両面から人・モノ・サービスを繋ぎ、新しいモビリティを作り出すことを目指している。今回のMONET MaaSコンバージョンは、その土台、車両面をカバーする役割を担うもの。

マルチタスク車両

 ベースとなったのは幅広いボディバリエーションを持つトヨタ「ハイエース」系の中でも、スーパーロング×ワイド×ハイルーフの組み合わせにより、もっとも広いキャビンスペースを有する「グランドキャビン」。5380×1880×2285mm(全長×全幅×全高)のボディは、2-2-3-3の4列シートにより最大10名乗車が可能となっており、送迎車などでもおなじみのモデルだ。

 マルチタスク車両ではリアキャビンのシートを撤去。キャンピングカーなどでもおなじみの重歩行フロア仕上げでフラット化するとともに、複数の「エアラインレール」が埋め込まれる。シートやテーブル、キャビネットにはレール固定用の専用アタッチメントが取り付けられており、工具を使うことなくそれらを自由な位置に固定することが可能。シチュエーションに応じて8名乗車(後部のみ)からテーブルを装着してのオフィス利用など、自由な車内アレンジが可能となる。

 こうした車両が用意された背景には、多人数乗車が可能なコミューター車両は多くの自治体が採用しているものの、朝夕の送迎時間帯以外はあまり活用されていないという実情がある。だが、このマルチタスク車両なら送迎用をメインに使いつつ空き時間にはレイアウトを変更することで、遠隔地での行政サービスだったり、休日は道の駅やショッピングモールなどでの広報活動だったりと、1台でマルチに使うことができるワケだ。

MONET Technologies株式会社 代表取締役副社長 兼 COO 柴尾嘉秀氏
後方キャビンには3mの長さを持つジュラルミン製のエアラインレールが埋め込まれている
レール間隔は約12cm
テーブル
レバーを跳ね上げて固定をフリーに
レバーを倒すことで固定が完了。工具いらずで脱着が可能だ
シートは最大で横に3脚並べることができる
フル乗車時のシート配置
テーブルとシートを装着した状態。テーブルは駐車時のみ利用可能
専用シート
専用シート。背面デザイン
シートベルトアンカーとリクライニングレバー
固定用アタッチメント部後方には移動時に便利なキャスター付
アタッチメント部を下から見たところ
装着時は丸穴に合わせてレールにはめ込み、半ノッチずらして固定する構造
キャビネットも自由に移動可能。ホイールハウスを避けるため側面に切り欠きがある
オフィス的な利用を想定し、間接照明だけでなく埋め込みタイプの高光度LEDライトも用意
照明のスイッチ
エンジン停止時も利用可能なFFヒーターを装備(オプション)
リアビュー
マルチタスク車両概要

ベース車両:トヨタ ハイエース グランドキャビン
車両登録方法:持ち込み登録
架装内容標準装備:フロアレール(後部)、専用シート(後席8席)、LED室内照明、USBポート(後部5か所)、専用リアヒーター
架装内容オプション:テーブル、24インチモニター、カーテン(全面)、専用内装パネル、空気清浄機など
乗車定員:10人(後席8人)
販売価格:車両+架装 820万円(税別)~/架装のみ 420万円(税別)~

パーソナルベンチレーションキット

 コミューターとして利用されるオンデマンドバスや送迎車などへの架装を想定したもの。昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて開発されたもので、乗客のパーソナルスペースの確保とそのエリアの換気が考慮されている。

 各座席はカーテンおよび後方の隔壁によって独立させるとともに、特許申請中の独自強制換気システムにより空気の滞留を防止。シートにはビニールシートカバーを装着することにより、乗客下車後の車内清掃が容易となっている。

パーソナルベンチレーションキットを装着した車両
キャビンスペース。カーテンと隔壁によりパーソナルスペース化が可能
運転席とリアシート間にも隔壁を用意
後方から見たところ
エアコン吹き出し口を利用したベンチレーションシステム
既存車両への取り付けはもちろん、不要時には取り外しが可能
導入した外気をリアエアコンに供給
シート上に設けられた吹き出し口から各シートスペースに
カーテン使用時。各スペースの空気は上から下に抜ける
各スペースからの空気は後部に設けられたブロアファンで車外に排出する
排気効率を考慮してファンと同サイズの開口部を用意
外気の導入と強制換気のイメージ
パーソナルベンチレーションキット概要

ベース車両:トヨタ ハイエース グランドキャビン
架装内容:前席・後席間の隔壁、後席の個別隔壁・カーテン、強制ベンチレーションシステム、ビニールシートカバー(後席のみ)、後席インターホン(5席)、体表面温度を測定する非接触式測定器、専用ダストボックス
乗車定員:10人(後席8人)
販売価格:71万円(税別)~