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自工会 豊田章男会長、50年変わらなかった組織を変革 「トップも含め全職員が自動車産業全員の思いを背負う覚悟と自覚を」

2020年9月24日 開催

日本自動車工業会 豊田章男会長

 JAMA(日本自動車工業会、以下自工会)は9月24日、報道陣向けに会見を開催し、二輪業界、大型車業界からの副会長を加えるとともに、組織体制を変革する発表を行なった。会見には豊田章男会長らが出席し、1967年以来約50年変わらなかった組織を変革することなどが発表された。

 新たに副会長として加わったのは、ヤマハ発動機 代表取締役社長 社長執行役員 日髙祥博氏、いすゞ自動車 代表取締役社長 片山正則氏の2名。豊田章男会長(トヨタ自動車 代表取締役社長)、神子柴寿昭副会長(本田技研工業 取締役会長)、永塚誠一副会長(日本自動車工業会 専務理事)は引き続き会長、副会長職を担い、理事会とともに自工会を運営していく。

 従来は理事会の下に、常任委員会、その下に12委員会を置く組織形態だったが、理事会の下に5委員会を置く組織形態に整理。「各組織の役割を明確化し、事業遂行に最適な編成に見直す」としている。

 また、このタイミングで自工会ロゴも変更。新生自工会を推進するシンボルとして位置付けている。

新理事名簿
新委員会組織
事務局新組織
新ロゴ

 豊田章男会長は、自工会は「自動車産業の役に立つ、国の役に立つための組織であり続けてほしい」と語り、1967年以来約50年変わらなかった組織を変革。「トップも含め全職員が自動車産業全員の思いを背負う覚悟と自覚を持って何とかお役に立っていきたい」と、新しい組織形態に対する期待を語った。

税制要望1
税制要望2

豊田章男 日本自動車工業会 会長あいさつ

 みなさまこんにちは。豊田でございます。前回開催させていただいた4月に、私から緊急事態宣言のもとで自動車産業がやるべきことは3つあると申し上げました。

 1つ目は、もの作りの力を活かし、医療従事者をはじめとしたエッセンシャルワーカーの方々を少しでもサポートしていくということ。画面にありますのは一例ですが、自動車産業のたくさんの仲間たちが知恵と、もの作りの技能を活かし取り組んでくれました。

 2つ目は、何としても事業を継続して内需の維持に貢献しようということでした。

 そして3つ目は、やがて復興の兆しが見えたときに自分たちが復興の牽引役になっていこう、そのために準備をしておこうというものでした。

4月に発言したこと

 生産や販売の現場は、感染対策に苦労しながらもとにかく事業を続ける努力を重ねてくれました。クルマやバイクが安心な移動手段として見直されるようになったことも後押しとなり、5月は前年比55%まで落ち込んでしまった販売も7月、8月には前年比80%台まで回復するに至りました。

 自動車の回復は、部品だけではなく鉄鋼、電池、運送など幅広い産業の回復にもつながっております。前回、自動車生産の経済波及効果の数値をご紹介させていただきました。自動車が1生産すれば、世の中の生産経済活動が2.5誘発されるというものです。

自動車産業は復興の牽引役
ほかの産業への波及
経済波及効果は2.5倍

 われわれが工場を置くある町の市長が、「自動車の工場が動くと町が生き返る」と発言されたニュースを目にしたとき、2.5という数値を肌身で実感した気がいたします。改めて事業を止めちゃいけない、復興の牽引役を何としても担っていくという思いを強くいたしました。

 先日、内閣総理大臣の交代がございました。8年にわたり安定した舵取りをしていただいたこと、安倍前総理にまずはありがとうございましたとお礼を申し上げたいと思います。特に海外諸国に向け、顔の見える日本のトップとしてリードいただき、海外で事業展開するわれわれに最大限のお気遣いをいただけたこと本当に感謝しております。

 そして、前総理を官房長官としてずっと支えておられた菅さんが、新たなリーダーとして総理に選ばれました。「国民のために働く内閣」とおっしゃられた言葉は私どもとても頼もしく思っております。われわれ自動車産業も、日本国民のため、国のため、という思いで日々仕事をしております。新内閣が国民のために働こうと言ったとき、自動車産業の力をもっとあてにしていきたいと思っていただけるよう、私どもも努力を続けてまいりたいと思います。

 今まで何度も申し上げてきておりますが、自動車は100年に一度の大変革を迎えております。CASEなど、もっと幸せな暮らしを実現するための新たなモビリティ社会作りへの挑戦です。この挑戦は、われわれ自工会の会員各社が本当に心を1つにして、力を合わせていかなければ実現できないものだと思っております。その軸となっていくのがやはりわれわれ自工会であるべきです。

 自工会は、1948年、70年ほど前に自動車製造工業の健全な発展を図ることを目的として発足いたしました。その後、経済成長やモータリゼーションが進む中1967年に諸団体とも合流し、今の形の自工会となりました。

 当時、排ガス規制や貿易摩擦など、個社では乗り越え難い苦しみがある中、オールジャパンで立ち向かおうという自工会は、まさにその軸となってまいりました。先ほど申し上げましたとおり、100年に一度の変革を迎えた今、自動車産業は再びオールジャパンで結束していかないといけません。

 モビリティの未来をこの日本から作ることができれば、われわれが事業展開している世界の国々にも笑顔になっていただけるなどと思います。そして、世界からも「ありがとう」と言っていただけるような、日本の自動車産業になっていければとも願っております。

 私は現在、2度目の自工会会長職を務めさせていただいております。今期は、会員各社の皆さまに背中を押していただき、この春からは3年目の任期に突入いたしました。来年を含めますと4年連続で自工会の仕事をさせていただくことになります。

 長く自工会に携わり強く感じていることがございます。2年ごとに会長が変わる体制であったことも一つの要因かもしれませんが、自工会がとても硬直した組織になっておりました。例えば、組織の構成1つとっても、50年間全然変わってきておりません。

 これでは自動車産業の未来に向けて、業界全体の軸の役割を果たしていくことは難しいのではないか、と感じております。そして4年の任期をいただいたからこそ、私にできることが何かあるのではないかと考え、自工会が本当に頼れる業界団体に生まれ変われるための具体的な提案をいくつかさせていただきました。

 先ほどの理事会でその提案に賛同をいただいたところでございます。

 日本にはさまざまな道がございます。それぞれの道に合ったモビリティが日本で生まれ、発展を遂げてまいりました。それぞれの役割を持ったモビリティの経営トップの方々に、今回から副会長になっていただくことになります。

 二輪代表のヤマハ日髙社長。大型車代表のいすゞ片山社長。おふたりに新たに副会長を務めていただきます。昨年より副会長の乗用車代表ホンダ御子柴会長、そして私も含め、このメンバーでとにかく頼られる自工会に変わってまいりたいと思います。

 改めてよろしくお願いいたします。

 ただ、会長、副会長だけが動いていても本当に変わっていくことはできません。いずれまたトップは変わっていってしまいます。会員各社から構成される業界団体としては、やむを得ないことかもしれません。

 しかし、トップが変わっていっても自工会はこの先もずっとぶれずに、自動車産業の役に立つ、国の役に立つための組織であり続けてほしいと私は願っております。自工会に働く約100名の職員は、全国に550万人いる自動車産業の仲間たちの代弁者だと考えております。

 職員たちが仲間たちのためにもっと汗をかいていこうと思えるよう、委員会などの体制も見直してまいりました。トップも含め全職員が自動車産業全員の思いを背負う覚悟と自覚を持って何とかお役に立っていきたいと自ら動いていく、そんな自工会に生まれ変わっていきたいと考えております。

 新たにいただいたこの2年の任期を通じて、この変革を何としても成し遂げ、定着させていきたいと考えております。

 今日ここでご紹介した新体制の皆さんとともに、心を合わせて「未来の幸せをつくる自動車産業」「本当に頼りにされる自動車産業」を実現してまいりますので、メディアの方々も含め、多くの皆さまに引き続き応援いただければと思います。

 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

「未来の幸せをつくる自動車産業」「本当に頼りにされる自動車産業」