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ホンダ、全日本ロードレース選手権の新設クラスST1000で高橋裕紀選手が初代チャンピオン獲得 記者会見

最終戦でのジャンプスタートペナルティで起きた第2のトラブルを明かす

2020年11月7日 開催

CBR1000RR-R FIREBLADEにまたがる高橋選手(左)と手島チーム監督(右)

 日本郵便 Honda Dream TPは11月7日、2020年シーズンから新たに新設されたクラス「ST1000」にて、11月1日の最終戦でシリーズチャンピオンを獲得した高橋裕紀選手と手島雄介チーム監督を迎えて記者会見を開いた。

 2020年度の全日本ロードレース選手権は、新型コロナウイルスの影響を受け、延期や中止が相次ぎ8月9日~10日にようやく開幕。しかし、次ぐ第2戦は台風の影響で中止となり、全4戦での開催となった。

日本郵便 Honda Dream TPライダーの高橋裕紀選手
日本郵便 Honda Dream TPチーム監督の手島雄介氏

 高橋選手は第1戦をポール・トゥ・ウィン。さらに第3戦もポール・トゥ・ウィンで連勝。第4戦は惜しくも2位で終え、年間タイトルに王手をかけた状態で最終戦を迎えた。ところが、最終戦直前の練習で転倒してしまい左手首の骨と肋骨3本にヒビが入るケガをしてしまい、万全ではない状態で最終戦に挑んだ。

 最終戦ではジャンプスタート(フライング)のペナルティを受け最後尾まで落ちてしまったが、そこから猛追を見せて16位でゴール。その時の様子を高橋選手と手島監督が語ってくれた。

高橋選手が乗るホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE

 高橋選手は「別のレースでジャンプスタートした選手がいて、自分も気を付けようと思っていたのですが、スターティンググリッドで握力が落ちている左手が少しずつクラッチをつないでしまい。早くスタートしてよ~と思いながら後輪のブレーキをかけて粘ろうとしたのですが、ズルズルと前に出てしまい。完全にアウトだなと思いながら走り出しました。でも直ぐにペナルティが出なくて、もしかしてバレてない?(笑)なんて期待もしましたが、結局2周目の後半にペナルティが提示されピットへ戻りました」と当日の様子を振り返った。

 続けて「ペナルティはピットロードを決められた速度で通過するだけのライドスルーペナルティだったのですが、コースに復帰してから自分の順位がどこまで落ちたのか分からず。レースは11周ですから、残りの周回数で挽回しなければならない。でもジャンプスタートペナルティは想定していなくて、当初は優勝争いをしたうえで、チャンピオンを獲るつもりでしたから、最低20位で3ポイントとれば優勝できるというのは、しっかり記憶していなかったんです。確か20位ぐらいだったような……といった感じで。で、ホームストレートを通過するときにサインボードを見たら、ポジション15って掲示されて、あれ? 15位までしか落ちてないのかな? なんて思ってたら次の周では20と掲示されて、やっぱりそんなに甘くないかと思っていたら、次の周では29と。そこで、これが現実の順位だと悟りました(笑)」と思い出し苦笑い。

 また、手島監督もその時の様子を「いや~、もう完全に混乱しました。過去に最後尾からという経験がなかったもので、何秒で走ればいいのか計算するのに時間がかかってしまった。ポジション15と出したときは完全に取り乱していました」と回顧。

 また、高橋選手は「ホームストレートに出ても、前に誰も見えなくて、どこまで追い上げなきゃいけないんだろうと心配になりました。で、20位まで追い上げたときにピットのスタッフはまだまだ行け! とサインを出してくるから、あれ? やっぱり20位じゃダメなんだと思いました」と話すと手島監督は「違うんです。もう大丈夫だと体を使ったジェスチャー(両手を広げて下げるような仕草)したり、親指を上げて(いいねのハンドサイン)もう大丈夫だぞと伝えたつもりが、もっとペース上げろと伝わってしまった。これは今後の課題ですね」

 結果的に高橋選手は追い上げの手を緩めずに疾走。結果的に16位でチェッカーを受け、ポイントを獲得、新設ST1000クラスの初代チャンピオンに輝いた。

 また、高橋選手は2021シーズンはTSRホンダからEWC(世界耐久選手権)へ参戦することを発表しているが、日本郵便 Honda Dream TPから今期と同じくST1000クラスへの参戦も検討していると明かした。